危険な相談室

忍足侑士。
自称・『可愛そうな恋する少年を救う恋愛相談士』である。

今日も彼は恋愛相談室(男子テニス部部室)にいた。
どうやら今は助手(跡部少年)はいない様子だ。
※『恋愛相談室』についての説明は鳳ドリを参照ください。


「ねぇ忍足。」
そんな彼の元へ本日足を運んできたのは、
学年一の人気を誇ると言っても過言ではない、美少女だった。


「なんや、やないか。」
「何よそのつまらなそうな言い方は。
 折角あたしが寂しい一人身の君のところへ来てやったのよ。感謝しなさい。」

「ずうずうしいやっちゃなぁー。ところでなんか用か?」
「用も無いのにこんなむさ苦しい部室に来るわけないでしょーが。」
「ほんま失礼なやっちゃ・・・・」

黙っとればかわえぇのになぁと一言付け足す忍足少年。
二人はどちらかというと友達のような付き合いである。


「それより、どないしたんや?もしかして恋愛相談か?」
ニヤーッと笑いながら忍足少年が尋ねた。

「ん・・・まぁ否定しないでおいてあげる。」
そう言うと少女は少し顔を赤くした。


その反応に驚いたように目を見開く忍足少年。
「なんや驚いたわぁ・・・・
 どうしたんや?やっぱ跡部のことかいな?」

そう。少女は実は跡部の彼女というポジションにある。
学年でも人気の1・2を争う二人が付き合っているのだ。
当然僻むものも少なくないが、「あの二人なら仕方ない」と思う者がほとんどである。


「今度さ、跡部の誕生日じゃん?」
「あぁ、そういえばそうやったなぁ・・・・・」

「それでね、プレゼント悩んでるんだけど忍足なんか良いアイディアない?
 あんたいつも跡部と一緒にいるんだしなんか知ってるでしょ?」
「俺は別に好きで跡部といるわけやないで。」
恋愛相談室の助手として跡部を使ってんのはどこの誰だい忍足少年。


「せやけど、跡部の欲しいもんやったら知ってるで。」

つまらなそうに2本足で立たせた椅子に座っていた忍足少年は、
むくっと体を起こしてニッカリと笑って言った。

「おー流石忍足ー。で、跡部は何が欲しいの?
 言っとくけどあんまり金かかるもんは駄目よ。」
「金なんて1円も要らへんで♪
 手間もかからんくてそれでいて跡部が喜んでしか出来へんものや♪」
「???」

自身をあげればええねん!」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・せやからな・・・・」

無言の少女に対して忍足少年は説明を続ける。


が裸になって体にリボン付けて
 『プレゼントはあ・た・しvv』なんて言えば跡部はもう喜んでをベッドに・・・・・・」


ボキッ


気がつけば床に転がる忍足少年の屍。
その横で手をパンパンとはらう少女。


「ごっめーん、忍足vなんか私最近記憶がおかしくなっちゃうことがあってーv
 もう一度言ってもらえるかしら?」
ニコッと満面の笑みで問い掛ける少女。

そして床から必死に這い上がる屍・忍足少年。


「せやからが裸になってな、『私を食べて〜♪』ゆうて・・・・・」


ドゴォッ!

忍足少年の腹部目掛けて飛んできたすさまじいパンチ。
それを見事決めて勝ち誇る少女。


「何すんねん・・・!!
 俺はお前が悩んどるから思って真剣に相談に乗ってやっただけやで!?」
「どこが真剣によ!」
「俺はいつだって真剣やで!」
「ぎゃーもうっ!あんたに頼んだあたしが馬鹿でしたよー!」
額に青筋を浮かべて少女は部室を出ようとした。

「あ、ちょー待てーなっ!まだ話は終わっとらんで!」
それを必死に食い止めようと地面から這い上がる忍足少年。

「もうあんたと話すことなんて無いってば・・・・」
呆れ顔では忍足を突き放す。


「ほら、コレ!いざという時のために持っていきぃ!」
そう言うと忍足少年はに小さな包みを渡した。
「何、コレ・・・・・?」
「いざという時のためや!」

そんな忍足を横目で見ながら、はその小包を開いてみた。
中から出てきたのはさらに厳重に包まれた小包と
伝言のように走り書きされたメモ用紙。

そのメモ用紙に書かれていたのはこんなこと。


!跡部と頑張るんやで!
 このゴム最近発売された新作でえらい弾力性ええねん!
 ほな、跡部の夜のお供、頑張るんやで!』


ドカァッ


またしても屍となる忍足少年。
「酷いやないかっ!折角の俺の好意を!!」
「アホ!これのどこが好意よ!」
「思いっきり好意やないか!跡部喜ぶでーvvあ、せや!!
 ただそれ付けるだけじゃ面白ないし口ゴムでつけたり!
 跡部どんな顔するやろなーvvちゃんと後から俺に報告するんやっ・・・・」


バキィッ

忍足少年・生きてるのが不思議なくらいだった。
「忍足、最後に一言。
 純粋な少年まで汚したりするんじゃないわよ。特に2年のO少年とかね。」

それだけ言い残し、屍となった忍足少年を残しては部室を出た。
その手には、場の勢いで貰ってきてしまったあのゴムが握られていた。

(なんであたしはこんなモノ持ってるんだろ・・・・)
その手の中の物体を睨み、ボソリと呟く少年。


「おい・・・・・・」

少女は部室を出てしばらく歩いたところで、跡部少年と出会ってしまった。
こんな時に会うなんてタイミングが悪い、と少女は心底思った。

「あぁ跡部か・・・・今から部室行くの?」
「あぁ。」
「ふーん。中に変な物体が倒れてると思うから処分しといて。」
「・・・・・あぁ?」

何のことだよ、と言いながら跡部少年が少女の顔を覗き込む。
その時、彼女の手に握られてる先ほど忍足少年から貰った物体が目に入った。

「何だよ、それ・・・・?」
そう言って少女の持つ物体を指差す。

少女はヤバい!と思いとっさに後ろ手に隠した。
「何でもない。」

しかしそんな行為はますます怪しいとしか言い様がない。

「何なんだよ?」
そう言って跡部少年は強引に彼女の腕を掴んで、その物体を手に取った。


「ばかっ、跡部っ・・・・!!」
「・・・・・・・・・」

その物体を眺め、しばらく無言の跡部少年。

「・・・・・・・・・」
少女も言い返す言葉なく黙り込む。


しばしの沈黙


「お前・・・・・そんなに俺をシたいのか?」
「ばかっ!そんなわけないでしょーが!」

口ではそう言いながらも、あんなに手の早そうな跡部少女と自分が、
まだ全くの肉体的な関係が無いことに少々不安を感じる部分はあった。


「ま、俺としてはお前は大事にしたかったんだが・・・
 あいにく、俺は性欲には困ってねーしなぁ。」
「(コイツ、殺してやろうか・・・・・)」
「でもお前がこんなに乗り気なら・・・・なぁ・・・・・?」
そう言ってニヤと笑う跡部少年。


「俺の誕生日に、俺ん家でな。」


忍足少年に感謝すれば良いんだかよくないんだか・・・・

END

なんか最後がイマイチ・・・(っつーか最後しか跡部出てきてないじゃん!)
ってかむしろこれは忍足ドリーム・・・・?(死)
後半跡部が・・・・跡部ぢゃないよぉ・・・・・(泣)
跡部くんの誕生日(もう一ヶ月以上前ですが)だったことを思って書いてみました。

忍足ファンの方、失礼致しました。(ペコリ)