「ハリー・ポッターが見たい。」
皮肉にも、は自分自身が放ったその言葉に足元をすくわれたのだ。
名人、場所を選ばず
「アーン?それが何だってんだよ?」
彼女の一言に跡部が読んでいた雑誌から顔を上げずに面倒くさそうに答える。
「ぎゃー。彼女が映画見たがってるんだよ。彼氏なら連れて行こうとするのが、世間一般から見る『恋人』でしょ。」
「知るか。っつーか違うだろ。」
力説するに対して、跡部の声は冷め切っている。とても冷たい。
「あーやだやだ。あたしはハリーみたいな優しい彼氏が欲しいわー。」
「・・・・・・・・。」
とりあえず無視をした。
「だって跡部は不思議じゃないの?ハリーがあのダーズリー家で育てられながらなんであそこまで少しも捻じ曲がることなる素直な良い子に育ったのか・・・・跡部も少しは見習ってよー。」
「知るか!何だよその脈略のねー解説は・・・・」
「脈略あるじゃん。つまりあたしは素直で優しい彼氏が欲しいの。」
「そうか。じゃあ俺がそうなるようにしてやろう。」
相変わらず視線は雑誌に移ったままだが、今の彼からは信じられない言葉が放たれたように思える。
「・・・・・は??本当!?マジで!!?」
「ウソだバーカ。」
期待などしなければ良いモノを(というかするべきではない)は『なーんだ』と言いながら乗り出していた身を戻した。
「フン。そんなに行きたいんなら連れて行ってやるぜ、映画くらい。」
パタン、と読んでいた雑誌を閉じると、を見てニヤリと笑いながら跡部が言った。
「ホント?男に二言は無いね、跡部!?」
「俺様はお前ら庶民みたく1000円や2000円をケチるほど小せぇ男じゃねぇんだよ。」
フフンと鼻を鳴らして跡部が得意げに言った。
「じゃあ今度2000円奢ってよ。」
「俺様の持つ金は高いぜ。」
「・・・・・・・なんか矛盾してない・・・?」
そんな成り行きの結果、結局跡部の奢りで日曜日に映画館へ行くことになった。いや、むしろがそうさせた。
そしていよいよ日曜日の日。
二人は映画館の前で待ち合わせていた。
「跡部、遅い!」
今まで、跡部が時間通りに来たことは無い。だからも当然時間通りに来るとは思ってなどいなかった。 結局、今日は跡部の15分の遅刻だった。 彼の辞書に『謝る』などという言葉は無いので、
「フン。俺様はお前みたいな暇人と違って忙しいんだよ。」
とだけ言った。
とは言え、待ち合わせ時間にも問題があったように思えなくもない。が、『人ごみは嫌だよ。早い時間に行こう。』という注文をつけてきたので、2人は朝一番の上映である、7時15分からのモノを見ることにしたのだ。
待ち合わせは、が『どうせ跡部は遅れそうだから早めね。』と言って6時45分に映画館前、ということになった。はっきり言って迷惑な話だろう。 日頃部活の朝練で朝早くに起きて学校に行っているというのに、折角の休みであるはずの日曜日まで7時前に起きなければならないなんて。俺様主義の彼にしては上出来だろう。
「じゃ、入ろうか。早く見たいし!!」
はそう言いながら跡部を引っ張るようにして中へと入って行った。
2人の思惑通り、やはりこんな朝早くから映画館へ来る者は少ないらしく、仲には数えるほどしか人はいなかった。2人はなるべく真ん中の、見易い場所へと座った。周りはほとんど人がいなかったので、はなんだか貸切みたいな気分で嬉しかった。
ブザーが鳴り響いて、上映が始まる。幕がスーッと開いて、最初の宣伝が始まった。はその間も『ハリーハリー』といって騒いでいた。その度に跡部が横から『ウルセェ!』の一言を浴びせていた。
「うっわー!始まるし!あーもうハリーめっちゃ可愛いー!」
「ウルセェ!てめー、音が聞こえねーだろーが!!」
興奮し始めるに、跡部がピシャリと言った。
それにしても・・・・跡部・・・・嫌がってた割に見る気満々だな・・・(笑)
しかし、跡部に言い放たれた後もの様子は相変わらずで、声には出さないものの、今にも叫びだしそうなくらい興奮してきていることは、横から見た跡部「にもハッキリと分かった。
確かに見方によっては『可愛い』のだが、今跡部の中に芽生えてきた感情は
―嫉妬―
自分ながらすごくくだらない、と思いつつも、なんだか無性に腹がたってきていた。
「ふぇ・・・ッ!?」
は突然声をあげた。横にいた跡部の手が、ツツッと自分の太腿に伸びてきたのだ。
「ちょ・・・跡部・・・?」
「黙ってろよ。周りに聞こえちまうぜ?」
言うと、彼女の太腿を愛撫していた手とは逆の手で、彼女の顔を引き寄せ、深く口付けた。 唇を割って舌が侵入し、歯列をツーッとなぞる。
「ぷっはぁ・・・。」
唇が離れる時には、既には肩で息をしていた。
跡部は、彼女の唇を開放すると、そのまま舌を這わし、首筋、鎖骨へと赤い華を散らし始める。
「ん・・・や・・・ぁ・・・あと、べっ・・・!こんなとこでしなくても・・・・!!///」
映画館内は暗くて、跡部からハッキリとの顔は見えなかったが、彼女が真っ赤に顔を染めている姿が、彼には容易に想像できた。
「フン。今更やめても良いのかよ?」
そう言って意地悪く笑うと、太腿に這わせていた手をスカートの中へとしのばせ、下着越に秘部をなぞりあげた。クチュリ、いやらしい音が響く。
「ククッ。身体は正直だな。『こんなとこ』でもちゃんと欲しがってるぜ?」
自分から発せられるいやらしい音に、ますます顔を赤くして俯くを見て、跡部はまたニヤリと笑う。
「こんなに濡れてんのに、今更やめてほしいってか?あー?」
「そッ・・・れはっ・・・!!」
が言い終わるか終わらないかのうちに、跡部は下着を下ろし始めていた。
「やだッ・・・恥ずかしッ・・・///」
「もっと足開けよ。」
そう言いながら、狭い座席でめいっぱい彼女の足を開かせる。
そして指を一本、彼女の中へといれる。
「ひゃぁっ・・・!!」
「ククッ。あんまり声出すと聞こえちまうぜ?」
すると、2本、3本と徐々に指の本数を増やし始める。
中でまばらに動かされる跡部の指に対して、唇をかみしめて声を堪えるの姿は、跡部をそそるのには十分すぎるほどだった。
「ヤベェな。もう俺が限界。いれるぜ?」
跡部は座席から立ち上がるとおもむろに自身を取り出し、の覆い被さるような体勢になった。そして自身を彼女の秘部へとあてがう。
「ホントに・・・・?」
「今更ひけるかよ。」
の腰に自分の手をまわしてしっかりと固定すると、ズブリ、中へと挿入した。 中へ入ってきた跡部の自身は、激しく何度も突き上げてくる。跡部のその動きに、は何度も意識を手放しそうになった。
「フン・・・・。もうイくのかよ・・・?相変わらず早ぇな・・・!!」
そして、更に激しく、最奥へと突き上げてきた。
「ぅあっ・・・はん・・・ッ!!」
ついに絶頂を迎えただった。
跡部も彼女より少し遅れて絶頂に達し、ブルッと波打った自身がのナカに欲を吐き出した。
「ったく・・・一人でさっさとイきやがって・・・しょーがねぇヤツ・・・。」
跡部はの乱れた服を元通りに直しながら言った。
「バカバカ・・・!!跡部のバカー!!ハリーを見逃しちゃったじゃないのー!」
問題はそこか?とつっこみたい。が、確かに映画はもう3分の1以上終わってしまっていた。
「フン。『ハリーハリー』ってウルセェんだよ。大体こんな人気の無いところで2人っきりで、おまけにスカートはいてきやがって。どう考えたって誘ってるって考えるのが筋ってもんだろ。アーン?」
「うわ。それってハリーに嫉妬?やっぱ跡部バカだー!!」
「(コイツ・・・・)」
もっと喜べねぇのかよ、と言いたかったが、その言葉は彼の心の中にしまわれた。
「へっ・・・しょーがねぇな。」
そう言ったかと思うと、跡部はをヒョイと抱き上げ、自分のひざの上に座らせた。
「ちょ・・・跡部?これは一体・・・」
は赤面しながら跡部のひざの上で言った。
「フン。映画の最中にも俺のことしか考えられねーようにしてやるよ。」
すると、おもむろに彼女の胸を後ろから掴んだ。
「ゃん・・・ッ!」
不覚にも漏れてしまった甘い声に、は赤面した。
の今日の結論―――弘法筆を選ばず、名人場所を選ばず・・・・・
初めての跡部裏です・・・書きやすそうに見えて書きにくいんです、彼・・・・
そしてなんとなく気に入ったからという理由で意味もなく背景変えてみました。(何)
それにしても前置きがちょい長いですね・・・ごめんなさい;;
でもこれ書いてる時、最初の頃は結構悩んでたんですよ!
でも裏シーンにきたらもうそれはそれは滑らかに紙の上を鉛筆が滑るように動きました。
改めて、自分、腐ってるなぁ、と・・・・(何)
そういえばあたしにしては珍しいんですよね、彼女設定って・・・・(笑)
にしても相変わらず昇進の無い裏・・・・
修行して次回は観覧車の中ででもやってみるかな。早業15分プレイ!(何)
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