その一言で

向日岳人。

俺のダブルパートナーや・・・それなりに顔はええし(ま、俺には及ばんけどな)
テニスも出来るしモテるらしいんけど・・・


何がいかんって・・・・馬鹿なんや・・・・・・・・


「おい向日。」

あー、始まったわ。また跡部のヤツ岳人をコキ使う気やな。

「何だよ跡部」
「これ、部室まで運んどけ。」
「何で俺なんだよ!それは跡部の仕事なんだろ!」

「何だやらねぇのか?もきっと悲しむだろうなー・・・」

出た。これが岳人を縛り付ける魔法や・・・

っ!?そ、そうか!!よし、頑張るぞ!」


阿呆・・・・・




ほんまにコイツは扱いやすいタイプや・・・っつーか馬鹿なだけやけど。
何かをアイツに頼む時、
言葉のどこかに「」って言葉を入れるだけで
アイツは馬鹿みたいに何でも言うこと聞くんやから。



ちなみにさっきから話題に上ってる「」ってのはのことや。

学校でも1・2を競う可愛い子でえらい人気ある子なんやな。
その女の子がテニス好きらしくてよくテニス部見に来とる。
それで岳人は自分の身分もわきまえずに惚れてしまったわけやわ。

せやけど跡部もその子狙ってるっちゅーし・・・

っていうか部員ほとんど狙っとるな。(俺も含めて)

流石に岳人ほど馬鹿にはなっとらんようだけど・・・



「なぁ岳人。」


」という言葉を言われて嬉しそうに荷物運びさせられてる馬鹿な岳人に話し掛けてみた。
「ん?何だ忍足?」

顔がニヤけとるぞ。のことでも考えとったんか・・・・

「お前ほんまにそれでええんか?」
「何が?」
「だーかーらー!
 お前はそうやっていっつも部員にパシられてて満足なんか言うてんねん!」
「パシられてなんかないぜ!俺はただのためを思ってだなー!」

「(本気で言ってるんかコイツ・・・)あのなー・・
 お前本気でそんなんでちゃんが喜ぶ思っとるんか?」
「あぁ!本気も本気大本気だぜ!」


「ほんまもんの阿呆や・・・・・」


俺が小さい声で呟いた。
「ん?何だよゆーしー!」

「いや、何でもあらへん・・・・もう勝手にしぃ・・・・」


もう面倒見切れんわ・・・・



「お、岳人発見。」
あ、宍戸まで来よったわ。
「ん?何か用かよ宍戸?」
岳人は荷物を運びながら宍戸の方を振り返って言った。

「それ終わったらで良いからよ、俺のタオル取ってきてくれよ。」

「えー!なんで俺なんだよー!」
「何でってそりゃもちろんちゃんのためだろ。」

「あ、そっかー!じゃあこれ運んだらダッシュで行ってくるから待ってろよ!」


岳人・・・・・なんか俺ダブルスパートナーとして恥ずかしいわ・・・・・


「よーしっ!のために愛の汽笛を走らせるぞー!」
意味不明やて。そう叫ぶと岳人は勢いよく走って行った。

「なぁ宍戸・・・お前まで岳人をコキ使うのやめたり・・・・」
「何言ってんだよ。そういうお前が一番コキ使ってんだろ!」


あ・・・バレとったか・・・・俺は結構影でコキ使ってるつもりやったんけど・・・


「俺より跡部の方がすごいと思うぜ。」
「どんぐりの背比べだぜ。」
「何やと?」
「あー、忍足そんなに怒るとに嫌われるぞー!」


俺を岳人と同レベル扱いかいな・・・!(岳人には悪いけど)


と、そんなところへ・・・・


「あ、がいるぜ。」

「何やて?」

ふと振り返るとそこにはベンチに座って
いつものようにテニス部を見に来てるちゃんがおった。

「岳人も馬鹿だなー!パシリさせられてる間に来ちゃってるんだから!」
「お前が行かせたんやろパシリに・・・・」
「お前だって内心喜んでるだろ、忍足。」

「黙り。」

俺と宍戸がそんなこと話してると、
流石は我が校最も手の早い鬼畜、跡部がに迫っていた。(違)

「よぉ。」

「あ、部長の跡部さんですね。こんにちは。」
にこにこ笑って挨拶しとる。ほんま可愛いなぁ・・・
岳人があそこまで本気に(っつーか馬鹿に)なるのも分かるわ〜

「なぁお前、今彼氏とかいねぇの?俺の女になれよ。」
いきなりかいな跡部・・・ほら、ちゃん困っとるやないか・・・
「いやそれはちょっと・・・・」

冗談に捕らえとるなちゃん。苦笑しながらそんなこと言って・・・
そういうオオカミには気をつけとかんといかんで・・・・




あーー!!跡部が俺のに近付いてるーーー!!!!

どどどど(←走る音)


お、帰ってきよったなパシリから・・・・


「何だよ向日・・・なんか用か?」
「何か用かじゃないー!俺のに何近付いてるんだよー!」

あーぁ、当のちゃんは困り果てとるわ・・・
こうやって跡部と岳人が話しとる間にちゃん連れて逃走したろうかなー・・・

「雑用はひっこんでろ。」
「誰が雑用だよー!」
のために雑用になったんだろ・・・・」

「え・・・?私のため・・・・??」

ちゃん混乱状態やな。

「え、のため!?そ、そっかぁ・・・そうだよな!!」

お前ほんま馬鹿な性格しとるわー・・・

「そうだぞ。だからのためにひっこんでろ。」

「そ、そっか・・そういうもんなのか!?でものためなら・・・・」


岳人・・・お前が阿呆なんは知ってたけどまさかここまでとは思っとらんかったで・・・・


「あの・・・向日さんってレギュラーなのに雑用もやってるんですか?」
「あぁ?ん・・・まぁ・・・・」

跡部も返事に困っとる・・いい気味やわ・・・

「雑用ってわけじゃないけど荷物運びとかはよくやってるぜ!」
岳人、ひっこんだんじゃなかったんかいな・・・

「うわー!すごいんですね〜!レギュラーってだけでもすごいのに雑用もこなせるなんて!」
「へー、俺すごい!?だっていつものためだったしなー!」
「(どういう意味だろ・・・?)すごいですよ!雑用出来るなんて向日さんやさしいんですね!」

「だったら俺と付き合って〜!」


「はい!」



(((((((!!?)))))))
一同絶句



「やさしい人って好きです!」
「やったー!」



岳人・・・・長年の苦痛の日々がしっかり報われとるやないか・・・
ほら、流石の跡部も驚いとる・・・・
にしてもこの二人付き合ったらきっと・・・・



氷帝一のバカップル・・・・・・






初のがっくんでがっくんかなり馬鹿すぎ・・・・・しかも意味不明(汗)
そして何故か忍足視点です。なんか第3者視点で書きたかったので。
それにしても関西弁って難しいです・・・・いぶきは名古屋弁ですもんv
もうほんっとーに生粋の名古屋弁・・・!らしいです。人に言わせると。