外を見れば一面の銀世界。
 いや、銀世界なんて言い方するとすんげー綺麗な場所みたいだけど。

 確かに綺麗ですよ。一面真っ白で。
 好きな人は好きなんじゃないの、この景色ね。
 だけどあたしに言わせりゃぁ・・・・


 ただ寒いだけだね。

雪やこんこん

 あぁ寒い。
 今日は朝から白い雪が舞い降りている。
 もうほんっとーに寒くて・・・・一生この布団の中に入っていたい気分。

 うん、そうしよう。今日はこの布団から出ないことにしよう。それがいい。


 と思ってるそばから・・・・



 「おいーーーーっ!遊びに来てやったぜーーー!!」

 
来なくていーー!!と叫びたかった。
 なんでこんな日に限ってアイツが来るんだか・・・


 「あら岳人ちゃん、いらっしゃい。」
 いらっしゃいじゃない!っつーか帰れ! という私の心の叫びなど届くはずもなくお母さんと岳人の話し声が聞こえる。

 「ったらまだ寝てるみたいなの。起こしてきてあげて。」
 来るなーー!!
 ってかお母さん!年頃の娘の寝起きを男に見せるんですかっ!?酷いですよーぅっ!!

 それに答えるようにドタドタと階段を駆け上がってくる音が聞こえてきた。あぁ来たよ、私を幸せの絶頂から突き落とす大魔人が。


 「ーっ!起きろよ!雪だぜ雪!!」
 「あーがっくんおはよう。見りゃ分かるよ、雪だってことくらい。」
 「なぁ雪合戦しようぜ?侑士とかも誘ってきてさ!」
 「その侑士くんって子誘って二人でやってきなよ。あたしは寝てるから。」
 そう言ってあたしは布団の中に潜り込んだ。

 「そう言うなって!もやろうぜ?」
 「嫌だ。」
 「なんでだよー!」
 「寒いから。」
 「雪なんだぜ、雪!?」
 「だから何。」
 「遊びたいとか思わねーの?」
 「思わない。」
 「太るぜ?」
 「ほっとけ!!!」


 あたしが布団をのけてガバリと起き上がると、そこにあったのは岳人の顔の大アップ。
 岳人があたしのベッドの真上から覗き込んでいた。そして何を思ったか、私は一瞬顔を赤らめてしまった。

 「うわー!が顔赤くしてるー!」
 「ば、ばか岳人!もうちょっと向こう行ってよ!」
 「なんでだよ?」
 「なんでも!」
 「昔は一緒に寝たじゃん?」
 「知るか!!」
 っつーかこんなときに昔の話を出すなよ今畜生。


 「なぁなぁ!折角の雪なんだから外行こうぜ!」
 「雪が降ってんのになんでわざわざ外へ行くのよ。」
 「雪合戦は嫌なのか?よし、じゃあ雪だるまを作ろうぜ!」
 「アホ!寒いのが嫌なのよ。」
 「、ババァだな。」
 「アンタが幼稚すぎるのよ!!」


 「良いから早く着替えて来いって!来ないと無理矢理着替えさせるぜ?」
 そう言って岳人はニヤーっと笑った。コイツはいつからこんなに黒くなったんだろう・・・幼稚なくせに。 大方テニス部のメンバーの影響だと思う。いつかあのメンバーシメたる!!
 「嫌だってば。」
 「じゃあ無理矢理着替えさせて良いワケだ?」
 「警察に訴えるよ。」
 「俺のアクロバは警察につかまるようなヘマはねぇって。」
 「それは犯罪ってもんだよ。」
 「じゃあが着替えれば良いだけのことだろ。」


 結局あたしが折れて、この寒い中彼に付き合わされることになった。



 私はコート・マフラー・手袋・帽子を完全防寒で外に出た。
 「お前着過ぎ・・・だるまみてー!!」
 「お黙りなさい。」
 「なぁなぁ鎌倉作ろうぜ?」
 「さっきから言うことどんどん変わっていってるよね・・・」
 「だっては雪だるまも雪合戦も乗り気じゃないっぽいし。」
 「鎌倉も一緒だよ。ってかあたしのために鎌倉作ってよ。寝るから。」


 すると岳人はしばらく何か考えているようだった。そしてポンと手を一つ叩いてあたしに言ってきた。
 「じゃあさ、雪合戦で賭けようぜ?、負けたら俺の言うことなんでも聞けよ?」
 「嫌だ。」

 ズルッ

 人差し指を一本立ててすんごい楽しそうに言ってた岳人がこけそうになってた。

 「滑りやすいから気をつけなきゃぁ。」
 「あのなぁ!」
 「ってかその賭け私の負けで良いから家戻りたいー。」
 「それ、本当だな?」
 岳人の顔がまたニヤっと笑った。一体岳人はテニス部でどんな教育されてるんだろう・・・今度見に行ってやろう、うん。
 「いや、まぁ・・・・」
 「じゃあ俺の奴隷になれとか言ったらなるわけだ?」
 「それはちょっと・・・・」
 「女に二言はねぇだろ。」
 「あたしにはあるの。」
 「女じゃねぇからか?」
 「いや、あたしがすべてだから。」
 「跡部みたいなこと言うなよ。折角部活休みでせーせーしてるのに。」

 あー、跡部って岳人がよく話してるテニス部の部長だっけ? 聞く限り最低のヤツっぽいけど。岳人の黒さはそいつ譲りかな。


 「じゃあ、俺の彼女になれよ。」
 「・・・・・・・・」
 「なんで無言なんだよ!!!」
 「いや、なんて言えば良いのかなって・・・」
 「普通イェスかノーだろ。ってか俺の言うことなんでも聞くんだからイェスしかないけどな。」
 「そう言いたくないから悩んでるんじゃない。」
 「いや、だから拒否権は無いんだってば。」
 「人権の侵害だー訴えてやるー!」
 「お前、テレビの見すぎ。」
 「あ、分かる?」

 「で、答えは?」
 「うーん、とりあえず寒いしー、みたいな?」
 「疑問系で返すなよ。ってか寒いのがなくなれば良いワケだな?」
 「いやそうは言ってないけどさ。今は寒いことしか頭にない。」

 「じゃあこうしてろよ!」
 すると岳人は横にいた私をギュッと強く抱きしめてきた。


 「ば、バカッ!何考えてんの!?」
 あたしが顔を真っ赤にして言うと岳人は楽しそうに笑っていた。
 「だって寒いんだろ?暖めてやるって!」
 「やめてよ恥ずかしい!」
 「良いじゃん?俺たち既に恋人だし。」
 「なってないし!」

 いつから岳人こんなんになっちゃったのよ!テニス部のやつら、いつかシメる!!!絶対!!

 「なぁなぁ、暖かい?」
 「ってか苦しい・・・」
 「素直じゃないよなー。」
 あははーとか笑ってるし。いやすんごい恥ずかしい。

 「なぁなぁ、素直に暖かいって言えよ。俺と付き合うって言えよ?」
 「後半部はちょっと納得出来ないなぁ・・・・」
 「暖かいだろ?」
 「・・・・・・・」
 「暖かいんだろ?」
 「・・・・・・・」
 「暖かいだろってば。」
 「まぁ普通にしてるよりは・・・・」

 「やったー!」
 そう言って岳人は私を抱きしめている手に更に力を込めてきた。いや苦しいってば・・・ただでさえ力の差とか歴然なのに・・・・・


 「、俺と付き合えよな?」
 「まぁお友達から・・・・」
 「幼馴染なのになんで今更お友達からなんだよ!」
 「告白にOKするときの常套手段でしょ。」
 「あ、じゃあOKってことなんだ?今OKって言ったよな??」
 「・・・・・・・・」
 「なんで黙るんだよ。」
 「いやなんとなく・・・・。言い返す言葉なかったし。岳人黒いし。」
 「じゃあ認めたんだよな?俺の彼女だって!」
 「なんかどんどん話がエスカレートしてくよね。」
 「事実だし!」


 「は絶対俺の彼女だからな!」
 「はいはい。」

ヤバイ・・・岳人にハマっちゃったよ・・・どうするよ自分・・・!!
いやね、なんとなく予感はしてたんですけどね・・
跡部連載で岳人が黒くなりだした頃から。(何)

にしても微妙だ・・・岳人、好きでたまらないのに書きにくい・・・
口調がどんななんだか分からない。
このドリ見てると岳人は黒いんだか幼稚なんだか・・・・・・