宿題サボリの掟
「あっ、〜♪何してんだよっ!?」
放課後、教室で一人残っていた。
そこへやってきたのは向日岳人だった。
「あら向日くん。忘れ物ですか?」
「なんで急に向日くんなんだよ・・・気持ちワリィ・・。
俺は明日提出の宿題忘れてきちまったんだよ!」
「失礼ですね。
気をつけないと。ってか岳人も宿題ちゃんとやるんですねぇ・・・」
はしみじみと言った。
「一体どうしたんだ?変なしゃべりかたして・・・悪いモンでも食ったか?
っつか何言ってんだよ!俺を馬鹿にしてんのか、アーン?」
「30点ですね・・・似てませんよ。」
「マジ!?結構自信あったんだけど!」
「不合格です。逝ってよろしい!」
そんな妙な会話から始まった。
「ところでは何してんだ?」
「見て分かりませんか?今日提出だった宿題をやっているのですよ。」
「だからその妙な喋り方やめろって・・・話しにくい・・・・」
「うん、自分でもそう思う。」
「何のためにやってたんだよ!」
「え、だって放課後一人で教室に残ってるって、
なんか生徒会長とかが資料整理してるみたいじゃん?
そういう雰囲気だそうと思って。」
「がいくら頑張ってもそういう雰囲気にはならねーから安心しろ。」
「失礼ですね。」
「本当のことだし。」
周りから見てれば何度もツッコミたくなるような会話だった。
しかしこの漫才のような会話は、思わぬ方向へと発展する。
「にしてももちゃんとマジメにやってるんだなー。
っつか要するに宿題やってなくて残らされてるんだろ?だっせー!」
そう言って向日はゲラゲラと笑い出した。
「お黙りなさい。私は岳人、君が何故に毎回宿題やってこれてるのか不思議で仕方ないのよ。」
は宿題のノートにスラスラと鉛筆を走らせながら言った。
「へへん。俺は真面目だからな。」
「それは跡部が自分で『俺様は優しい』って言うのと同じくらい説得力が無いと思う。」
が表情を変えずに冷たく言い放った。
「嫌な例えするなよ、・・・」
少し顔を歪める向日を見て、は勝ち誇ったように笑った。
にしても跡部、酷い言われようだ。
「でもな、俺はがどうしても知りたいっつーんなら教えてやらなくもないぜ?」
「何が?」
「なんで俺が毎回宿題をやってこられるのか。」
向日の唐突な言葉にはよく分からないという表情をした。
「やってこられるからこられるんでしょ。」
そう言って半ば呆れ顔になっていた。
「ちっちっち。甘いな!俺が宿題を毎回真面目にやる人間に見えるのかよ!」
「見えないけど現実そうなんでしょ?」
「ま、俺にはちょっとしたテクニックがあるからな。」
「はぁ??」
は動かしていた手も止め、向日の方を向いた。
その様子を満足げに見た向日は楽しそうに語りだす。
「いいか、。宿題をサボるのにはちょっとしたコツがあんだよ。」
彼はとても誇らしげだ。
まるで小さい子供が何か自分の自慢話を聞かせるかの如く。
「コツ・・・?」
「そ♪宿題普通にサボってたんじゃみたいに残されるのがオチだろ。」
「ウルサイわね。」
「だから、ちょっと頭を使って、うまく誤魔化すようにすんだよ。」
「はぁ???」
は眉をしかめて聞き返す。
「まず宿題サボりの掟その1!
全部サボるんじゃなくて、少しずつサボる!」
ポカンとしているをよそに、向日は続ける。
「だからな、例えば宿題が4ページ出てた時には2ページだけやる、とか、
バレない程度にすんだよ。
全部やっていかなかったらすぐバレるだろ。」
「そりゃまそうだろうけど・・・・」
「でな、問題は答え合わせする時だよ。ここがポイント!!」
「・・・・・・・」
は何と反応すれば良いのか分からず、とりあえず黙っておくことにした。
「答え合わせの時にな、2〜3問に1回○打つようにして、他の時はフリだけしとくんだよ。
そんでみんなが4ページ分○つけ終わる時に、
自分は2ページ分終わるように適当にペースを合わせる!」
「・・・・・・」
は口をポカンとあけて、呆れたような興味を持ったようなよく分からない顔をしていた。
「ほら、大抵問題って大きい問題の中にいくつか小さい問題が入ってるじゃん?
それで小さい問題一つ一つに○打つヤツと、大きい問題1つにつき1つ○打つヤツといるじゃん?
それで大きい問題に○つけるフリして小さい問題に一つ○うつの。分かる?」
「なんとなく・・・・・」
「よしよし!の頭もちゃんとした脳みそ入ってんだな!」
「・・・・・・・・」
「次にな、そうやって宿題をごまかした時には
どうしてもみんなよりノートを使ってるスペースが狭くなるじゃん?
だからな、問題書く時に1行ずつ空けるとかで他のヤツとは違ったノートのとり方すんだよ。
そうすると先生も『こういうノートのとり方してるとこんなモンなのかな』みたいに思うワケだ。」
「・・・・・うん・・・・・・」
とりあえず返事だけは返したという感じだった。
「あとはな、漢字とかみたく何度も書く宿題とかあるじゃんか?」
「うんあるね。すんごい面倒くさいと思う。」
「だろ?だけど先生とかってああいうのあんまり一々チェックしてないんだぜ?
だから2〜3行抜いてもぜんぜんバレねぇ。」
「最低・・・・」
「生きていくための常套手段だろ。」
「いや違うと思う。」
呆気に取られたように向日の話を聞く。
相変わらず自信満々な様子で話し続ける向日。
「それからな、数学とかは分かんなかったらあんまり考えちゃいけねぇよ。」
「まぁキリが無いからね・・・・」
「あぁ。数学の場合はな、とりあえず図形をノートに写すんだよ。
そしたらそこに補助線とかいっぱいひいておくの。
そんで『いっぱい考えたんだけど、努力したんだけど分からなかった』を演じるんだよ。」
「・・・・・・・・」
また黙り込んだ。
「そうすると先生は『おぉ向日、こんなに一生懸命考えたのか?』ってなるワケだ。」
「先生可哀想・・・」
というの言葉は無視して向日は続ける。
「それであとは答え合わせの時いかにも『真剣に聞いてます』って感じで目輝かせとくんだよ!」
「・・・・・・・」
「ま、これで大分宿題の時間は短縮出来るんだぜ!」
「・・・・・・」
「見直したか?」
「ちょっと・・・・・」
見直すなよ、とツッコミたいところだ。
「だろだろ!?
あ、それからな、宿題は家でやるの嫌だったら授業中にやれば良いぜ。」
「バレない?」
「ノートの下に宿題のノート置いて
たまにちらちら黒板を見ながらいかにも『ノート取ってます』って感じにすれば。」
「その悪知恵を少しでも宿題に向けられないの?」
「悪知恵じゃねぇよ!俺は世渡り上手なんだよ!!」
自分でそういう向日に、は『よく言えるね』と言いたかったが、やめておいた。
正直、少し参考になったことは否定出来なかったからだ。
「あ、それからな、どうしても宿題全く出来なかった時は
『宿題やるの忘れました』じゃなくて『持ってくるの忘れました』って言えよ。
なんっつーかさ、先生から見るとやっぱやるの忘れるのと持ってくるの忘れるのじゃ違うぜ。」
「よくもまぁ先生の心情を理解していらっしゃることで・・・・」
正直言っては驚きまくっていた。
世の中、これほどまでたかが宿題をサボるためだけにこれだけのことを考えた人間がいたとは。
「まぁなー!とにかく俺のテクすげーだろ!?」
「うん。ある意味すごいと思う。」
「じゃあ、なんかくれ。」
「ヤダ。」
「何でだよ!折角人が親切に教えてやったのに!」
向日はぷぅーっと頬を膨らませて言った。
どんなに悪知恵が働いていてもやっぱり子供なんだなぁとは改めて思った。
「フフン。岳人、私に話したことが全ての間違いよ!
あんまりダダこねると今話してた手口、全部先生にちくるわよ?」
そう言っては微笑んだ。
そのオーラは非常にどす黒い。
「はっ!?おいちょっと待てよ!、そりゃねーだろ!?」
「しーらないっ♪」
「っ!」
「なーんてvウ・ソv言うワケないじゃん。あたしもこれから存分にためさせてもらおうと思ってるのに。」
意地悪くベッと舌を出しては言った。
「うっわ。最低・・・!じゃあコレ、お詫びな!」
ちゅっ
向日はの両頬を掴んで自分の方に向かせると、
その唇に軽く、触れるだけのキスをした。
「なっ・・・・何・・・・?」
「宿題サボリ講座の授業料、のファーストキスで頂きました。」
「馬鹿馬鹿!ファーストって知っててやってるんかい!」
「俺も初めてだしいーじゃん?」
「よくない!」
「いーのっ!は俺に感謝するべきだろ?これから宿題楽になるぜ♪」
「ぎゃー!あたしのファーストキスはたかが宿題サボリ講座の授業料に消えたのかーー!!」
「たかがって何だよ!役に立っただろ!!」
叫ぶに対して向日が叫び返す。
「とにかく、のためにやってやったんだぜ♪これくらい当然。じゃあな☆」
そして、向日はひらひらと手を振って去って行った。
さん、これからの宿題に役立つと良いですねサボリ講座。
っつか岳人の口調がわかんねぇ・・・!好きなのに・・・本命なのに・・・!!!(涙)
なんか岳人夢は会話中心になるのは何故だろう・・・・
にしてもアホですな、自分・・・・(爆)
とりあえず、11月中旬から12月にかけてのドリーム更新のために
私が塾の宿題に使っていた技たちです。
ってか説明下手でわかり難かったらスミマセン;
大したことないように見えますが、結構効果あるんですよ!
現にあたしはこの方法1ヶ月続けてほぼ毎日ドリ更新を果たせたんですから!!(本当)
しかも全く先生にバレてませんv
あたしはとりあえず『よい子の健全な中学生』で通してありますからvv(ウソつけ)
この宿題サボリ講座が全国のドリサイトの管理人さんの役に立つことを願っています。(立つわけねぇだろ)
アハハ・・・受験生の言うこととは思えませんな・・・爆
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