また今日も一通の手紙が届いた。
ここのところ毎日だ。
差出人は大体分かっている。
愛しTELEPHONE
「、お手紙が来てるんだけど・・・・」
「誰から?」
「えーっと・・・む」
「燃やして。」
最初の一文字、『む』を聞いただけではそう答えた。
「そう言われても・・・読むだけ読んであげなさいよ、。」
母親は彼女の勢いに押されつつも笑顔で手紙を手渡した。
「いえ・・・大体内容は分かってますから。」
そう言いながらもとりあえず渋々手紙を受け取った。
「うーん・・どうしよっかな・・・・」
学校への途中先の手紙と睨めっこしながらは呟いていた。
するとそこへやって来たのは。
「ーーーーーーっっっ!!!!!」
「あ、来た・・・・」
オカッパ頭の少年が叫んだ。
彼はを発見するや否やがばちょと彼女に抱きついた。と思ったのだが。
スッ
ドカッ
「いってー・・・・!!」
に抱きつこうとしたその少年、向日岳人少年。
しかし、間一髪のところでにひらりとかわされてしまい、見事そのまま倒れていった。
「おはよう向日くん。今日も朝から元気なことで。」
彼を交わしたは何事もなかったかのように岳人を見下ろす体勢で言った。
「くあーっ!やっぱ朝はこうでなくっちゃな!流石だぜー!!」
何が流石なんだか、と思ったが、とりあえず今は無視することにした。
「あー、じゃああたし遅刻すると嫌だし、お先にー。」
手を顔の前でひらひらと振ってはスタスタと歩いて行った。
「あー待ってよー!」
「待てと言われて待つ馬鹿がどこにいるの。」
「俺はに言われたら待つぜ?」
「あたしは向日くんに言われても待たないよ。」
「照れるなって。」
「照れてないって。」
岳人は一切振り返らず進み続けるの後ろについて行きながら話していた。
「なぁ!俺と付き合ってよ。」
「あたしの下僕としてここに尽くす気があるのならね。」
「何だよそれー!俺は下僕じゃなくての夫を希望してるの!一家の亭主だぜ!」
「文句あるならあきらめなさい。」
にっこにっこと笑いながら妄想を膨らます岳人にの冷たい一言がとんだ。
「じゃあさ、せめて携帯番号!」
「随分下げたね・・・でも駄目。」
「良いじゃん、携帯くらい!」
「あたしにかかわらないでおくれや岳人くん。」
「うっわー!が今岳人って呼んだ!?やったー!昇進したぜ、俺!」
「・・・・・・」
はとりあえず黙っておくことにした。
そんな二人の会話に乱入してきたのは朝っぱらからまた更に話をややこしくしてくれそうなメンバーだ。
「また朝から痴話げんかかいな。」
忍足少年だ。
「うわっ侑士!邪魔すんなよ!」
後ろから聞こえてきた声に振り返った岳人がそう叫んだ。
「つっこむところが違うでしょーが。痴話げんかって何ですか痴話げんかって。」
流石のも無視し続けるワケにもいかず、振り返った。
「まんまやん?」
「誰の所為だと思ってんの。」
「さぁ?」
忍足はとぼけたように肩をすくめてみせた。
というのも事の始まりは1週間前のことだった。
「なぁなぁ!お前この前とプリクラ撮りに行ったんだろ?」
「えー?なんでがっくんがそんなこと知ってんの・・・?」
「俺のアクロバをなめるなよ!」
アクロバは関係ないでしょう。
しかし、彼は始終飛び回っている。
始終動き回っている。だから噂も割と耳に入りやすいにだろう。
「確かにこの前撮りに行ったけど。」
この少女はと一番仲の良い友人だった。
「見せてよ!」
「えー!なんでー?」
「良いじゃん!」
二人がそんな会話をしているところに入ってきたのはまたしてもこの男。
「岳人はホンマさんが好きやからなぁー。」
「ゆーしは黙ってろよ!」
ニヤニヤと笑いながら話に割り込んできた忍足に岳人が顔を赤くしながら言った。
「しょうがないなぁー。」
そう言いながらはカバンから手帳を取り出して岳人に見せた。
「うっわー!めっちゃ可愛いし!俺の前だとこんな顔なかなかしてくれないんだぜ!」
「そら岳人、お前嫌われとんのとちゃうか?」
忍足も一緒になってそのプリクラの手帳を覗きながら言った。
「うるせーぞゆーし!」
言いながらしばらくその手帳を二人でずっと見ていた。
「うわ、これめっちゃ可愛い!なぁ!これくれ!」
「駄目!」
「なんでー!」
「それもう1枚しかないの!」
「ケチ!」
「ケチで良いから駄目。」
するとはヒョイっと岳人の手から手帳を取り上げてしまった。
「ハイ、もうおしまい。」
「くそくそっ!あー俺もとプリクラとか撮りてーよー!」
「岳人じゃ無理やわ。」
「何だよそれ!ゆーしひっでー!」
「まぁ俺みたいに魅力溢れる男やったらええかもしれんがな。」
「でもさ、俺の方がかっこよくねー?だってほら、髪型だってばっちりきまってるし?なぁ?」
岳人はニカッと笑いながらに話を振った。
「いや、あたしは忍足くんの方が良いと思う。」
「ほれみ。」
忍足は勝利の笑みを浮かべて言った。
「何だよそれー!畜生ー!
あ、でもさ、じゃあ偶然ゲーセンで会っちゃったりとかして一緒に撮るとかは?」
「どうするつもりや。」
「だからさ、例えばがをゲーセンに誘うとするじゃん?
そしたらその日に俺もゲーセン行って
『やぁ!こんなとこで会うなんて奇遇だね。』って俺が言うとが
『うわーほんと!記念に一緒にプリクラでも撮ろうよ!』って言うとかさ?」
「あり得ないよ。」「あり得んわ。」
二人の声がハモっていた。
「ひっでー!二人して声揃えなくても良いじゃねーか!」
「しかも岳人の喋り方可笑しいし。」
「そうそう。絶対がっくんそんな喋り方しないでしょ。」
「何だよ何だよ!」
「まぁ岳人、まずは携帯番号でも聞くところから始めぇ。」
「はん!俺を馬鹿にしてんのかよ!そのくらいチョロいぜ!」
「そうか?俺は無理やと思うんやけど。」
「あたしも。」
「楽勝だぜ!」
「ほな岳人、一週間以内に携帯番号聞き出せたら俺とから500円やるわ。」
「え・・・あたしも渡すの?」
「大丈夫やて。アンタからさんに教えんように言うとき。」
忍足が小声でにそう耳打ちをした。
「やったぜ!まかせとけ!!!」
「その代わり聞き出せんかった時には・・・」
忍足は岳人の耳元で何かをボソリと呟いた。
「マジ!?それはやめてくれよゆーしっ!」
「だって自信あるんやろ?」
ニヤリと意地悪な笑みを浮かべて忍足が言った。
「そうだけど・・・・」
「ならえーやん♪」
そんな事件があったらしく、
それ以来岳人は毎日ストーカーのように手紙をよこしたりしてしつこく番号を訊いてくるのだ。
「元はと言えば全部アンタ達が悪いんでしょうが忍足。」
「俺は知らんわー。ほな、二人とも頑張りぃ〜♪」
そう言って忍足はニヤニヤ笑いながら先に行ってしまった。
「もー・・・!」
もイライラしながら学校へ向かっていた。
岳人は相変わらず騒ぎながらの後をついて行った。
RRRRR・・・・
その日の夜の出来事だった。
「はい、ですけど・・・・」
『!頼むから携帯番号教えてくれ!』
「またそれ!?もういい加減になさい!」
そう言っては電話を切ろうとした。
しかし、受話器を置こうとした瞬間、その手元から聞こえてきた言葉に一瞬手が止まった。
『は忍足と付き合いたいのかっ!?』
「は・・・?何言ってんのよ・・・・」
『え?ゆーし言ってなかったのかよ・・・?』
「だから何が。」
『もし俺が一週間での携帯番号訊けなかったらゆーしのヤツ、自分がと付き合うって。』
「はぁ・・・・?」
『だから頼むって!このとーり!』
「何それっ!結局何にしてもあたしには不利なんじゃない!」
『だから携帯っ!』
「勝手にしてっ!」
ガシャン
ツーツー
は強制的に電話を切った。
再度電話がかかってくることはなかった。
結局進展しないまま、一週間が過ぎてしまうかと思われた。
ついに期限の一週間目の朝。
「やべー!遅刻したー!!!」
岳人は全速力で走っていた。
学校へ到着すると、大急ぎで下駄箱から靴を取り出し履き替える。
グシャ
「んあ・・・?」
何かが入っていた。
「紙切れ・・?誰だよこんな悪戯すんの!」
広げてみるとそこに書いてあったのは11桁の数字だった。
「な、何だこれ・・・!?俺数学嫌いなのに!なんかの暗号かっ!?それとも・・・・」
「0−9−0−・・って・・・?携帯・・・・?」
ふと裏側を見てみるとメッセージが書いてあった。
『向日くんと付き合う気は無いけど忍足くんと付き合う気もないしね。』
駄目だ・・・最近どうも調子でないよー!
なんか岳人だとどうもギャグが冴えないですなぁ・・・・
この話はほぼ実話なんですよ(笑)
いぶきはこの話の中で言うならお友達のさんの立場でしたが。
ある男子(この話の中で言うとがっくん)がいぶきのお友達ですんごい可愛いMちゃんが好きで好きで。
でもソイツ頭悪いわ顔悪いわ性格悪いわ運動神経悪いわで最低のヤツなんです。
いぶきが『お前じゃ無理だって。』って何回言っても諦めなくて、
一度賭けしたんですよ。携帯番号聞きだせるかどうかで。もう一人、とある男子を混ぜて。
って一番の被害者はMちゃんですよね。酷い友人だね、自分・・・・(最低)
ちなみに結果はソイツ携帯番号聞き出せなくてあたしは500円貰いました。
後でちゃんとMちゃんに謝りながら半額の250円渡しました。(笑)
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