愛が生まれた日 第2話

赤澤先生

数日前に私達の高校に教育実習生として来た色黒の男の先生です。
女子高で、カッコイイ男子とは程遠い生活をしている生徒にとって、
彼はかけがえない存在となっているようです。

先生が来てからもう1週間は立とうとしているのに
彼の周りに集まる女生徒の数は一向に減る気配はありません。

親友の神楽瑠璃ちゃんもそんな赤澤先生親衛隊(違)の一人です。



ま、私は赤澤先生は別に何とも思わないんだけどね・・・



なんか頼りないところ多そうだし、
すぐコキ使われそうなタイプだし、専門分野は国語っぽそうだし。(意味不明)


なんにしても、どうでも良いって感じ・・・・・・・・・


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さん。」
「はい、何ですか?」
「今日の授業後、職員室まで来てほしいのです。」

担任のカリスマが私に言った。

多分また何か頼みたいことがあるとか言うんだろうけど・・・・
私はクラス委員ってだけで雑用じゃないんですけどー!!!(怒)

「分かりました。」

とは言っても反抗するわけにも行かないし、
私は素直にOKするわけよ。



「瑠璃ちゃんー、私職員室行ってくるからゲタ箱で待っててよー。」
「分かった。でも赤澤先生に手出したら承知しないからね!」
「誰も手出さないってば。」



というわけで私は職員室へ向かったんです。
職員室まであと数メートルというところで
私の担任と赤澤先生が何かを話しているのが聞こえてきた。

一瞬足を止めてその会話を聞いてみた。
途切れ途切れに会話が聞こえてくる。

「赤澤先生、実習日誌はもう書けたんですか?」
「いえ・・まだです・・・・」

「しっかりしてもらわなくては困りますよ。
 我が校の名誉に掛けても、そういった仕事はキッチリこなしてもらわないと。」

「はい・・・」

赤澤先生のショボンとした声が聞こえてくる。
瑠璃ちゃんも私に「承知しない」っていう前にあのカリスマ教師を承知するなよ。

「そもそも我が校は・・・・・・・・・・・・」
カリスマの延々とした話が続いているようだ。

「貴方はどういった動機で教師になろうと思い、この学校へ来たのですか?」
「それは・・・・・・(家から通う交通費が一番安いからだとか近くに
 安い家賃のアパートがあったからだとかもあるが・・・・・)」

「この学校へ来たのも貴方が希望したそうですね。」
「はい・・・(高校のリストを見た時、「女子高」だと知らず(共学と読み間違えた)
 希望してしまっただけだなんて言うわけには・・・)」

「とにかく、今後はもっとしっかりしてくださいね。」
「はい・・・。あの、少し外へ出て来ます。」


そう言うと赤澤先生は職員室から出てきた。
先生はショボンとした様子で歩いていた。


(どうしてこう上手く行かないんだろうなー・・・・
 教育大学にギリギリ合格したのは良いんだが・・・・・・・)


先生どこへ行くんだろう。


なんとなく、
何故かは分からないけど気になって赤澤先生の後をつけてみることにした。
(ストーカーかよっ!)

それにしても何で先生さっきここを選んだ理由、答えなかったんだろう・・・?

普通ウソでも
「この学校は校風や色々な面で
 私が教師として学ぶ場に最も相応しいと思ったからです。」
くらい言うよね。

あ、ただ単にそこまで頭が回ってないだけか。

それにしても私赤澤先生なんかには興味無いハズだったのに・・・
なんか赤澤先生頼りなさげで謎っぽいとこが多くて
(女生徒の質問にも答えないから)
私にしてみると考察し甲斐があるのよねー☆



(そういえば百合さんがこの高校卒業したんだったな。
 百合さんが高校の頃好きだったっていう先生の写真もあるかもしれないな。
 ここまで来たし、資料室に行けば写真とかあるかもしれないし
 百合さんが好きだった先生は数年前に食中毒で死んだらしいし。)

あ、赤澤先生、資料室に入って行ったみたい。
何かあるのかな?
とりあえず私は資料室の扉から1メートルくらい離れたところで
中の様子を見てみることにした。

先生は何かを探してるみたいだけど・・・・・

(確か百合さんが卒業した年は・・・・あ、これだな。)
赤澤先生は何年か前の卒業アルバムを取り出していた。
中身はこの距離からじゃ見えない。

(お、これが百合さんの高校の頃かー!可愛いな!
 それから百合さんが好きだったって先生は・・・・・・・・・!!!???)

赤澤先生はアルバムのページをパラパラと捲りながら真剣に見入っているようだ。
(く、黒ずんでて顔が見えないじゃないか!くっそー!)
すると、ブツブツと何かを呟く声が聞こえてきた。


「全く、俺も何やってんだよ・・・・ソイツはもう数年前に死んだんだ・・・
 死んだヤツのこと考えてたって仕方ないのにな・・・!
 今が大切なんだよ、今が!!」


何のこと言ってるんだろう?何か自分に言い聞かせているような言い方だった。
私は一言も漏らすまいとして耳をそばだてていた。

「もうソイツのことなんか忘れよう!俺は今のために頑張るんだからな・・・
 そのために俺も教師になったんだからな・・・・・・!
 そうだよ!俺も百合と同じ位置に立つんだから!!」

死んだ人間・・・・?今のために・・・・?一体何のことだろう。。。

「はぁ・・・(なんかホッとするとアクビが・・・
 昨日も色々学校のこと考えてて眠れなかったからな・・・・)」

すると赤澤先生は資料室から出てきた。



私は逃げる間も隠れる間もなく、赤澤先生と一対一で向かい合うことになった。
「き、君は確かさん・・・・・」

赤澤先生は目に溜まった涙を手で擦りながら驚いた様子で言った。

私は赤澤先生と目が合った瞬間硬直して、しばらく喋れなかった。

「は、はい・・・・・」
ようやく出た言葉がコレだった。

「あの・・・先生、今・・・・・」
「ずっと聞いてたのか?」
「あ、いえ・・・・・」
「そうか・・・・・・」

それだけ言うと赤澤先生は廊下を歩いて職員室の方へと向かって行った。



っていうか何!?さっきの!!
卒業アルバム見ながら泣いて!?死んだ人間がどうとか言って・・・・・!?

きっと・・・

きっと・・・・・

恋人が死んだのね・・・・


それで先生、あんなに頼りなさそうでいつも弱気なように見えるんだ!
嫌な過去を背負ってる所為で・・・!
それでさっき先生にこの学校へ来た動機を聞かれた時も答えなかった!

「恋人の母校だったから」なんてなかなか言えないもの・・・・・


嗚呼、なんかミステリアスで素敵!!!!


すごいわ赤澤先生!こんなに人間観察し甲斐のあった人って初めて!
なんか赤澤先生、すっごくかっこよく見えてくるし・・・!!


私、本気かもね。(クス)


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ちょっとオマケとして・・・・
内容分かりにくかったかもしれないので簡単に解説を。
百合というのは赤澤が惚れている某学校の教師なんです。
近所に住んでて赤澤の憧れの人。
それで赤澤は自分も教師になろうと決意。
そして百合は昔この聖カロスト女学院の卒業生で、
高校生だった頃、ある担任教師に惚れていたらしい。
ところが数年前、その先生は食中毒死(何故に食中毒?)
百合の思いは届かないままに終わったのです。
(ていうかあれだけ読んでここまで想像しろって方が無理・・・・;)
ただ一応人物関係は決まってますので。
それに百合さんはやっぱオリキャラとして(響子さん風に)登場させたいので。
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やっと書けました・・・・
っていうか大分元ネタと重なっちゃいましたね・・・・・;
ヒロインが勘違いする辺り、「恋人が死んだ」以外の理由が思いつかなくて・・・
結局原作通りですわ。
でもどうしましょうねー・・・流石にヒロインに八神と同じことやらせるワケには・・・
(考えてから連載作れよ)まぁ頑張りますわ。