愛のバンダナ
「ちゃん、そこのタオル取ってくれるかな?」
「あっ、ハイ!ちょっと待ってください不二先輩!」
「ちゃーーんv転んじゃったよー!手当てしてくれる?」
「菊丸先輩またですかー?待っててくださいねー」
男子テニス部マネージャー青春学園2年。
紅一点の存在でその笑顔と素晴らしい仕事のこなしから
部員のほとんが彼女に思いを寄せている。
そう、彼も例外ではなかった。
「フシュー・・・・・」
海堂薫
いつもはクールな彼なのだが・・・・・・・・
「海堂くんもドリンクどうぞ。」
そう言いながら笑顔でドリンクを差し出すに頬を少し赤らめる。
「あ、あぁ・・・・・」
短く、小さく返事をしてドリンクを受け取る。
海堂だってに思いを寄せるのは皆と同じ。
だがその性格からなかなか仲良くはなれない。
の周りにはいつも誰かがいる。大抵は何人かの男子に取り囲まれている。
自分だってもっとと話したいのに、それがなかなかできない。
たまにが話し掛けてくれたときも、さっきのように照れてしまってあんまり話せない。
(ちっ・・・・・・)
「ちゃん、今日部活終わった後、送って行ってあげるよ。」
「えっ良いですよぉ、そんな!いつもいつも悪いです、不二先輩!!」
「気にしなくて良いよ。僕の大事なマネージャーにもしものことがあったら・・・・」
「不二先輩、僕のって何スか?
先輩、不二先輩と一緒にいると危ないッスからオレと帰りましょうよ。」
「越前くん、邪魔しないでくれる?」
(どこかの原黒大魔王が一番邪魔だな。
ちっ・・・俺だってたまには話したいぜ・・・・)
そう思いながらも争奪戦の様子を見ている海堂。
ちっと舌打ちして部室へと入って行った。
だがそんな海堂にも勝機が訪れる。
その次の日の授業後のことだ。
今日は竜崎先生がお休みで、部活が休みとなった。
海堂はいつもの道をランニングしていた。
だが、そこで彼は思いがけないものを見た。
「・・・・・?」
そう、今日は男テニが休みで部員たちは皆帰ったはずだった。
そしても(不二先輩たちと一緒に)帰ったはずだった。
だが海堂がそこで見たのはテニス部の部室の方へと走っていくの姿だった。
海堂は驚いて、そのまま走って校門を抜けた。
そして部室の方へと走る。
ガチャ
部室の扉を開ける。
「か、海堂くん!!?」
部室の中で何かを探していたはびっくりして振り返って叫んだ。
「ど、どうしたんですか!?今日は部活はお休みですよ!?」
目を見開いて海堂をまじまじと見る。
「お前こそ何してるんだ・・・・・」
「昨日ここに筆箱忘れちゃって・・・・・・取りに来たんです。」
そう言いながら部室のロッカーの中とかを探している。
「あれか・・・・?」
海堂はロッカーの一番上のところにちょこんと置かれているピンクの筆箱を指差した。
「あっ、あれです!!
きっと部長が忘れ物だと思ってあそこに置いてくれたんですね・・・・」
そう言いながらは筆箱を取ろうと手を伸ばすが、届かない。
の身長は150cmくらい。低い。
「うわ〜届かない・・・・」
そう言いながら必死に手を伸ばそうとするがたまらなく可愛い。
はふと自分の横にあった椅子を見つけると、それを持ってきて
その上に乗った。
「あっ取れた〜」
そう言いながら無邪気に笑う。
だがその時だった。
ガタッ
「きゃっ・・・・・・」
筆箱を取って椅子から降りようとしたは足を滑らせ、そのまま床に落下した。
「っ・・・・!?」
に見惚れていた海堂は慌てて駆け寄る。
「痛っ・・・・」
は涙を目にいっぱいにためてひざを抑える。
「おい、大丈夫か!?」
海堂もいつもの冷静さを失ってひざえお抱え込んだのにあわせて体制を低くする。
の抑えているひざは赤く染まっている。
「立てるか?」
そう言って海堂は手を差し出した。
「だ、大丈夫・・・・・・」
涙で溢れた目で海堂を見上げては言った。
海堂は一瞬顔を赤らめるが今はそんな場合ではないと我に返る。
は海堂の手をギュッと握るとひざに手を当てたまま立ち上がった。
海堂はふと何か思いついたように自分のバンダナをはずす。
そして体制を低くしてのひざにそれを巻きつけた。
「海堂くん・・・・・?」
海堂がのひざにバンダナをあてたのでは自分の手をそこから離しながら言った。
「これ、巻いとけ。何にもないよりはマシだ。」
バンダナがみるみるうちに赤く染まっていく。
は悪いことしたな、と思いながらそれを見ていた。
「ありがとう、海堂くん・・・・・・」
「保健室、連れて行ってやる。」
そう言うとを抱き上げて(お姫様だっこ)部室を出て、保健室へと歩いて行った。
「海堂くん・・・!?そんな・・・私重いよ・・・・・」
顔を真っ赤にしては言うが海堂はお構いなしに歩いていく。
と二人きりになれることなんてもう二度とないかもと思っていたから。
そのままは保健室へ連れて行かれた。
だが海堂はを保健室まで運ぶと
「じゃあな」
と一言言って走って行ってしまった。
真っ赤になって。これ以上といたら・・・すごく恥ずかしくて・・・
真っ赤になって全力疾走した。
ちゃんとしたお礼を言い損ねたは「海堂くん・・・!!」と止めようとしたが
足が思うように動かない。
は手当てが終わると仕方なく一人で家へと帰って行った。
そして次の日。
ことの次第を知らない部員たちはの足を見て口々に問う。
「ちゃん、その足の怪我・・・・」
「どうかしたのか?」
「何があった?」
「あ・・これは昨日ちょっと転んじゃって・・・でも大丈夫ですよ。」
そう言って笑顔で微笑みながらはちらと海堂を見る。
海堂は顔を赤らめてから視線を逸らした。
はクスッと笑って部員達に視線を戻す。
二人のそんな様子にはまったく気付かない部員だった。
「心配しないでください。大丈夫ですから。」
にっこりと微笑んで言った。
そして部活後。
「ちゃん、帰ろうか。」
「あっ・・不二先輩、ごめんなさい!」
「やっぱ不二じゃ危険だしね。俺と帰ろうにゃ♪」
「それより俺と帰ってよ、先輩。」
「家まで送ってやる。」
「まだ明るいからって安心してちゃ駄目だよ?」
不二の誘いを断ったを見た部員はチャンスとばかりに一斉にを誘う。
「え・・・いえ・・・せっかく誘ってくれたんですけど・・・・」
はそう言うと海堂の方へと歩み寄る。
「私、今日海堂くんと帰りますね。」
「!!?」
嬉しさと驚きのあまり、声にならない叫びをあげる海堂。
「ちゃん・・・・!?」
不二は不二で開眼して二人を見る。
「海堂くん、迷惑・・・・?」
上目使いに海堂を見上げてが言う。可愛い!!
「いや、かまわないが・・・・」
と、恐ろしげに不二の方をちらりと見る。
やはりというか彼の周りには黒いオーラが溢れている。
「ふーん・・・海堂、明日が楽しみだね・・・・・」
そう言いながら不二は去って行った。
ちょっと・・・というかかなり、怖いがと一緒に帰れるならこのくらい、と思った。
「海堂くん、昨日は、本当に有難う・・・・・」
帰り、一緒に並んで歩いていた二人。最初に口を開いたのは。
「コレ、ごめんね・・・汚しちゃって・・・・・・・」
そう言いながらカバンの中から
血で赤く染まった海堂のバンダナを取り出して、海堂に差し出した。
「気にすんなよ・・・・・」
そう言いながら海堂はそのバンダナを受け取った。
「本当にごめんね。海堂くんの大事なバンダナ・・・・・
でも・・・昨日うれしかったよ。」
そう言うとは海堂の方を向いてにっこり笑った。
「(可愛い・・・)・・・・・・」
海堂は頬を赤らめての顔を見る。
「あっそうだ!今から一緒にバンダナ買いに行こうか!!」
そう言いながらは海堂の手を取る。
「え・・・?」
あまりに突然のことで海堂は驚いて目を見開く。
「一緒にバンダナ買いに行こう!出来れば・・・・・お揃いのとか・・・・・」
も顔を赤くして照れながら言った。
「本気かよ?期待しちゃうじゃねーか・・・・」
「期待して良いよ・・・私、海堂くんのこと好きだから・・・・・・」
真っ赤になりながらちょっとうつむき加減にが言った。
「とりあえず名前で呼べよな、・・・・・」
「薫、返事は・・・・?」
「俺も好きに決まってるだろ・・・ずっとお前のこと見てたんだからな。」
END
1222HITの桃さんのリクで海堂ドリー夢です。
リクは逆ハーっぽい感じで海堂の勝利、ということでしたが・・・・
こんな感じで良いのでしょうか・・・?(汗)
あぁーー・・ぜんぜん駄目ですねぇ・・(泣)
あんまり逆ハーっぽく出来ませんでした;;;
でも、桃さん、リクエスト有難う御座いました〜〜Vv
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