バンドエイジ
「いって〜〜!!」
コートの真ん中で、少年が頬を抑えてしゃがみこんでいる。
「英二、また擦りむいたの?」
その姿を見つけて駆け寄ってきた不二が呆れた様に言った。
「だって〜〜!!」
菊丸は子供のような声を出した。
「俺、保健室行ってくる!不二、練習戻っていいからにゃ!」
そう言って菊丸は頬を抑えたまま保健室の方へ走って行った。
「えっ?ちょ、英二!?今日ってたしか・・・・。」
そう言おうとした不二だったが時すでに遅し。
菊丸はコートを出て、すでにはるかかなたに消えていた。
さすが、アクロバティックプレーヤー!(関係あるのか?)
「今日、保健の先生休みなのに・・・・。」
当然ながら、不二の呟きは菊丸に聞こえるはずもなかった。
「大西先生〜〜!!」
そう叫びながら菊丸はガラリと保健室の扉を開けた。
「あり?大西先生いないのかにゃ?」
そう言いながら周りをキョロキョロと見回す菊丸。
そして、突然の背後からの声に驚いた。
「何してるの?」
「にゃにゃ!!?」
猫語で叫んで菊丸は後ろを振り返った。
「っ!?」
あまりに驚いたのか、菊丸はススッと一歩後ろに下がりながら叫んだ。
そこに立っていたのは、学校でも評判の美少女・だった。
彼女は日誌なのか、何かノートを抱えて保健室に入ってきた。
「なぁに〜?その反応!後ろへ引かなくても良いでしょーー!!」
ぷぅと頬を膨らませてが言った。
「え、ご、ごめんにゃ!」
菊丸は真っ赤になって慌てて言った。
「英二くん、顔赤いわよ?熱でもあるの?
今日保健の大西先生休みだから調子悪いなら帰った方が良いわよ?」
そう言いながら手に持っていた日誌を保健室の机の上に置いた。
「え!?大西先生休みにゃ!?」
菊丸は困った、という顔で言った。
「英二くん、私と同じクラスでしょ。
今日朝の連絡で先生言ってたじゃない。聞いてなかったの?」
呆れたようには言った。
「だ、だって朝って眠いしにゃ・・・。」
ちょっと顔を赤らめて言う菊丸に、ははぁ、とため息をついた。
その姿もまた可愛い。
は菊丸の顔を見上げた。
すると、彼女はふと彼の頬の擦り傷に気付いたようだ。
「その頬・・・・。」
そう言いながらは菊丸の方へ歩み寄る。
「えっ!?これにゃ??これはさっき練習中に・・・・」
頭の後ろをポリポリかきながら、菊丸は恥ずかしそうに言う。
はまたはぁ、とため息をついて菊丸の顔に接近してきた。
「もう・・・。英二くんってなんでそんなに怪我するの?
あくろばてぃっくとかいうプレー、よくないんじゃない?」
「にゃに言ってるの、っ!アクロバティックは最高だにゃ!!」
「そう・・・?」
そう言いながら菊丸の顔を覗き込んで、擦り傷のある頬をそっと触る。
の顔が菊丸の頬のギリギリまで接近する。
可愛い・・・・・!
「しょうがないなぁ・・・。」
そう言うとはスッと向きを変えて、薬の入っている棚の方へ歩いて行った。
そして、菊丸に背中を向けたまま言う。
「私が手当てしたげるから、そこ、座ってて。」
そう言って薬瓶をゴソゴソと探している。
「え?が!!?」
あまりのうれしさに、菊丸はそう言った。
「あら?私じゃ何か不満でも?」
薬瓶に手を伸ばしながらは振り返って言った。
「不満があってもあんたに拒否権ないからね。
大西先生がいない以上誰かが手当てしなきゃいけないし、
私も保健委員なんだから怪我人ほっとくわけにいかないから。」
また棚の方に目を向けながらは言った。
「ふ、不満なんかないにゃ!(むしろ嬉しい!)」
そう言いながら菊丸は患者用の椅子に腰を下ろす。
は細い腕に薬瓶やガーゼを抱えて、先生用の椅子に座った。
そして菊丸の顔に手を当て、消毒を始める。
「ちょっとしみるけど、我慢してよね。」
そう言いながらピンセットで薬をしみ込ませたガーゼをつまんで
傷口にそっと置く。
「うにゃあっ!!」
菊丸がいたみに声を出した。
「ちょっと!静かにしてよ!消毒出来ないでしょ!!」
「だって痛い!」
「そのくらい我慢しなさい!」
先生のような口調では言った。
菊丸は目をギュッと閉じて痛みをこらえようとした。
は再び消毒を始める。
「痛いにゃ・・・。」
「しつこいわよ!ちょっとは我慢して!」
菊丸は少しずつ目を開いた。
せっかく自分のために手当てをしてくれているを、
少しの間でも見逃したくないと思った。
は馴れた手つきで薬を扱って、手当てをしていく。
「って、上手いにゃ!」
「え?」
そう言った瞬間、二人の目が合った。
はかぁっと赤くなって目を逸らす。
「そりゃ、私だって女だからね!」
赤くなりながら、手元に集中し始める。
(可愛いにゃぁ・・・・)
菊丸はそんなの姿をじっと眺めていた。
は、自分より背の高い菊丸の頬をじっと見上げて手を動かす。
細い、白い手でどんどん傷口を癒していく。
そんな姿はたまらなく美しく、可愛らしい。
「・・・・。」
そんなを見下ろしながら菊丸は言った。
「何?」
手は止めないで口だけ動かす。
「俺、のこと好き!」
「は!?」
は一瞬硬直して手を止める。
「、彼氏とかいる?」
「はぁ?」
「いないよね?」
「別に・・・・。」
はっきりしない返事だ。
「俺のこと嫌い?」
「えぇっ!?き、嫌いじゃないとは思うけど・・・。」
赤くなりながら言う。
「可愛いーーVv
そっか、嫌いじゃにゃいんだね!じゃあこうしても?」
そう言いながら菊丸は持ち前の敏捷性で(?)
一瞬のうちにを保健室のベッドの方に押し倒す。
「ちょ、英二くん!?」
はびっくりして菊丸を見上げる。
「保健の先生はいないんだから二人っきり!」
そう言いながらに口付ける。
「ちょっ・・・ん・・・」
浅いその口付けは次第に深くなっていく。
「ん・・・・。」
は息が出来ない。苦しくて。
ようやく菊丸はの唇から自分の唇を離した。
「えいじくぅん・・・・。」
潤んだ目で菊丸を見上げる。
「、俺のこと嫌いじゃにゃいんだよね!?」
「嫌い・・・じゃないよ・・・。でも、いきなりこんなこと・・・。」
目がますます潤む。
菊丸は、自分が欲情しそうになった。それを必死にこらえた。
「ごめんにゃ・・・。」
そう言ってから離れた。
「え・・・・。あ、謝らないでよ・・・・。」
赤くなっては言った。
「いきなりだったからちょっと驚きはしたけど、
でも・・・ちょっと嬉しかったよ・・・。」
顔を赤らめて照れくさそうには言った。
「ほ、ほんとにゃ!?じゃあ続きやっていい!?
まだキスしかしてないんだよっ!!」
「いや。」
は即答した。
「にゃ、にゃんでっ!!?」
「だって恥ずかしいじゃない。ここ、学校よ。
それに私保健委員の日誌書くためにここ来たんだから・・・
仕事もしなきゃ・・・。」
そう言いながらさっき机の上に置いてあった日誌の方へ行く。
「あ・・・・!」
思い出したようには言った。
そして菊丸の方へ再び歩み寄る。
「忘れてた。」
そう言いながら救急箱の中からバンドエイジ・・・
もとい、バンドエイドを取り出して菊丸の頬にペタリを張った。
「ハイ、終わり!」
はにっこりと笑って菊丸に言った。さっきのことなど、無かったかのように。
「ありがとにゃ・・・。」
「また怪我したら、いつでも手当てしてあげるから!」
そう言ってにっこり笑うとは日誌を持って廊下へ走って行った。
その顔がほんのり赤かったことは、鈍い菊丸には分からなかったようだ。
「ふぅん・・・英二、そんな裏があったんだ・・・・。」
一方その頃、英二の帰りが遅いので
保健室の窓からすべてを覗き見していた不二が、
真っ黒なオーラを出してそう呟いていたことは、誰も知らない・・・・・。
END
私の初の菊丸ドリー夢なのですが、いかかでせうか??
駄目ですねー、ていうか手当てしてるとこなんかバカップル・・・?
しかも菊ちゃんがこんなに攻めるなんてさ・・・・。
でも菊丸だから健全だろうということでキスでやめておきました。(笑)
本当はBくらいまでいこうかと思ったんだけど・・・・・(オイオイ)
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