気付いてないの?

「あーぁ・・・もうすぐテストだねー・・・・」
「ほんと〜かなりヤバいよ〜」

昼休みの何の変哲もない普通の会話。
そしてそれを見守る2つ(4つ)の目。



「・・・・・・・・・・・・・」
「英二、何してんの?」

自分の席に座って頬杖をついてボーッとしている菊丸。
そんな菊丸に向かって不二が話し掛けた。

「ふっ、不二!?お、驚かすなよ!!」
慌てて顔を赤く染めた菊丸が言った。

「フフ・・・またのこと見てたんでしょ?」
「ギクッ・・・・ち、違うにゃ!!」
顔を真っ赤にして言う菊丸。か、可愛い!(笑)

「別に隠さなくても良いでしょ。は本当に可愛いからね。」
「うっ・・・・・・だって恥ずかしいし・・・・」
菊丸はさらに顔を赤くしてうつむいた。


「もしかして英二、バレてないつもり?」
「へ?」

「言っておくけど、このクラスの人はほとんど知ってるよ。」
「へ!?にゃんで!!?」

「それで隠してるつもり・・・・・?」
不二は菊丸の反応に驚いたというよりは半ば呆れたように言った。

「うっそ!?」
「ほんと・・・だから絶対も気付いてるよ。」
「マジ・・・・?」
「うん。」

「ど、どうしよう・・・!
 俺恥ずかしくてこれから生きていけないかもしれないにゃ・・・・」
「英二、とっくにみんな知ってるんだから・・・・・。
 英二はすぐに顔に出るからね。」

「そっか・・・・」



そう。彼こそが悩める少年菊丸英二。
いつもは天真爛漫で明るい彼だけど、最近気になる女の子が出来ました。
その子は同じクラスの

「はっきり言ってみちゃえば?」
「へ?にゃにを?」
「好きだってことをだよ。もうどうせは気付いてるんだからさ、
 今のまま恥ずかしがってるよりいっそはっきり言っちゃった方が楽じゃない?」


「えぇ・・・でももし振られたりしたら・・・・!?」
「その時はその時。僕が代わりにを幸せにしてあげるから安心して。」


「不二・・・・・・・」

「フフ・・・冗談だよ。」
「不二が言うと冗談に聞こえないんだもん!!」

「とにかく、はっきり言わないと始まらないよ・・・?」
「う。うぅ〜〜・・・・・」
菊丸はまた顔を赤らめる。

そしてちらちらとの方を気にしながらも下を向く。
だが二人のそんな会話にが突然入ってきた。


「ねぇねぇ周助、友達のが周助のサイン欲しいとか言ってたんだけど、良い?」
と不二は幼馴染。名前でも呼び合えるほどの仲だ。
菊丸はが突然現れたのではっと顔を赤くして視線を逸らした。

「僕のサイン?別に良いよ。」
そう言って不二は得意のエンジェルスマイル。

昔からその笑顔を見慣れてるにとってはどうってことないのだが、
普通の一般女子のほとんどがこの笑顔にやられる。


--英二、照れてないでちょっとは話したら?

不二はヒソヒソを菊丸に耳打ちをした。

「う、うるさいな!!」
菊丸は顔を真っ赤にして叫んだ。


「何やってんの?菊丸くん?」
はそう言いながら菊丸の顔を覗き込む。

「な、何でもないってば・・・!!」
そう言って菊丸は必死にから視線を逸らそうとする。

「ねぇ・・・・・・・・・。」
不意に不二が言った。
「まさかと思うけど・・・・気付いてないの・・・・?」


「へ?何が?」


まさかコイツも英二と同じくらい鈍いのでは、と不二は心の中で思った。


「周助〜?何のことよ〜?」
が不思議そうに聞く。菊丸は相変わらず視線を逸らしたまま。

「だってさ、英二。何のこと?」
「にゃっ・・・(///)俺知らにゃいもん!!」

「も〜!何よ〜二人とも!教えてくれたって良いじゃない!!」

そう言っては頬を膨らませた。可愛い!と菊丸は心の中で思った。



「ねぇ、そういえばさぁ・・・菊丸くんの好きな人って誰?」

突然が聞いた。

「にゃ、にゃんで!?」
「なんかさ、みんな知ってるみたいなのよね〜
 みんながその話してたから『誰なの?』って聞いたの。
 そしたら『マジ気付いてないのぉ!?』って言うんだもん・・・・・」
は不思議そうな顔で言った。

(本気に気付いてないのか・・・・・・)
不二はそう思っていた。

「だってよ、英二。誰なの?」
「知らにゃい!!」

菊丸はさらに顔を赤くしてと反対側の方を向く。



「まったく・・・しょうがないなぁ・・・・・英二は世話がやけるね・・・・」
「へ?」

菊丸が振り返ると同時に、不二はの後頭部に手を回し、
の顔を自分の顔へと引き寄せた。


「「!!!?」」
菊丸とは声にならない叫びをあげた。


何がなんだか状況のつかめない
抵抗する暇もなく不二の唇へ、引き寄せられていく。

そしてそのまま不二はの唇に自分の唇を重ねようとした。



「駄目ぇっ!不二っ!!」
菊丸は真っ赤になってそう叫ぶとと不二を引き離す。

「どうしたの?英二?」
不二は黒い笑顔で菊丸に聞く。
そして内心うまくいったじゃない、と心で思っていた。

「駄目ったら駄目!にキスしたら駄目っ!!」
そう言って菊丸は不二との間に立ちふさがる。

「どうして?」
不二はもう一息だ、と言うように先を尋ねる。
にキスしたら駄目なのっ!!」
顔中真っ赤に染めて両手を広げての前でを守るようにして立つ。

「クスッ・・・良いじゃん別に・・・・・」
「駄目っ!!」
「菊丸くん・・・・・・?」
まだ気付かないか。鈍すぎだぞ。

は俺のものなのっ!!」
ついに菊丸が叫んだ。

「よく頑張ったね、英二。」
そう言うと不二は二人から離れた。

顔を赤くしたまま菊丸はの顔をちらっと見る。
は訳が分からないという風で菊丸の顔をじっと見ている。


「菊丸くん・・・?『僕の』って・・・・?」
「だって・・・・俺・・・・のこと・・・・・・・・
 ・・・・・・・好きだしにゃ・・・・・・・・・・」


菊丸の顔がますます赤くなる。
そしてその言葉にの顔もポッと赤くなる。



「わ、私も・・・・・・菊丸くんのこと好きだよ・・・・・・・・・」
ちょっとうつむいて頬を赤く染めるといぶkが言った。

「ほ、ほんとに・・・!!?」
菊丸は驚いて、でも少し顔を赤らめて嬉しそうに言った。

「うん・・・!だから菊丸くんの好きな人が誰か気になってて・・・・・」
は照れくさそうに少し笑いながら言った。

「良かったにゃ・・・・・v」



新カップルの誕生です。



「っていうかさぁ・・・・・・・」

不二がその様子を見ながら呟いた。


「ここ、教室なんだけど・・・・・・・」


二人だけの世界に入っている菊丸とは気付くはずもないが、
今やクラス中のほとんどが二人のLOVEシーンを観察中である。


そして次の日から嫌だというほどひやかされたことは、言うまでもない。



END


ずいぶん前からネタだけはあって書いてなかった菊丸ドリ。
黒く見えても内心白いという私にとっては信じられない不二を書きました。(笑)
今回は不二のおかげだしね。さすが策士!!
というかこのネタ、もともとは観月くんのドリーム用だったんですよ!!
でも菊丸の方が合ってそうかなって菊丸ドリ書きました。以上。