お料理は愛を込めて
「ねぇ。」
「なぁに?」
「明日何の日か知ってる?」
「え・・明日?えっと・・何かの日なの?」
「はぁ・・・・」
友達のミホちゃんは呆れた表情でため息をついた。
「あんたねぇ・・そのくらいの情報収集しておきなさい。
明日ね、桃城くんの誕生日なのよ。」
「も、桃っちの!!?」
そりゃ驚いたさ。
あたしはずっと桃っち(愛称)のこと好きだけどそういうのぜんぜん調べてなかったし。
そっかぁ・・・桃っちは明日誕生日かぁ・・・って!プレゼントどうしよう!?
「そ、そんなの急に言わないでよ〜!プレゼント何にも用意してないよ!?」
「私に聞かないでよ。あ、そうだ。アンタの師匠に相談すれば?
桃城の好きな物とかきっと知ってるんじゃない?」
「し、師匠にねー・・・・」
師匠は確かにすごいけど・・・なんか嫌な予感するしなぁ・・・・
「とにかく私はこれ以上あんた達腹黒組に付き合うのご免だからv(にっこり)」
ミホちゃんも十分腹黒組に入るんだよ。
「あ、そう・・・とにかく私一人でなんとかしてくるから。」
「頑張ってねー」
それだけ言ってミホちゃんは行ってしまった。
さてと、私は恋の相談師、兼私の師匠んとこでも行ってくるかな。
そう、その師匠と言うのが・・・・
「ふーじせんぱーい。」
おぉ!周りに群がる女子の視線!怖い怖い・・・
「やぁちゃんv今日はどうしたの?」
「んーっと・・今日は不二先輩に教えてほしいことがありましてね。」
「どうしたの?」
「お料理のお手伝いしてください。」
私はペコンと頭を下げた。
「料理?」
「はい!料理です!」
色々考えたんだけどさ、桃っちいつも食べてばっかだし、
やっぱプレゼントはお料理かなーって思ったわけだけど。
「ちゃんの頼みなら断れないなぁv」
「流石師匠でございます!!毒味係りは裕太で良いですか?」
「勿論だよ。裕太もきっと喜ぶねv」
うん。あまりに嬉しくて泣き出しちゃうんじゃないかな。
もう二度と家へは帰って来ないかもね。
「じゃあ明日の午後はどうかな?」
「あ、明日!?あの・・・出来れば今日が良いんです!!」
「今日?すごく急だね。」
だって明日まで作らなきゃ。
「分かった。じゃあ今から僕の家へ行こうv」
「はいはーい!」
それにしても今の言葉の時師匠の笑顔、
ちょっと黒くなった気がしたのは気のせいってことにしておこう。
「あ、駄目だよちゃん。お砂糖入れすぎだよ。」
「えぇっ!?甘い方が美味しいんじゃないんですか!!?」
「何言ってるのちゃん。
甘い物が一番美味しいと思える時代は過ぎたんだよ。
今は辛い物の時代だからね。」
「へー!流石師匠は何でも知ってますね!」
〈納得するなよ〉
「そうそう。だから僕は何を作る時にもこの
不二家特製の秘伝調味料を入れてるんだ。」
「ひ、秘伝調味料ですか!?な、何が入ってるんですか!!!?」
「それは言えないなぁ・・・・vv秘密だから秘伝なんだしねv」
「あ、そっか!でもその秘伝調味料を入れると美味しいんですよね!?」
「勿論だよvこれにもたっぷり入れておくからね。」
「うわぁ〜vv流石ですね!やったぁ!!」
「それから最後の味付けはこの唐辛子のすり身が良いんじゃないかな?」
〈唐辛子にすり身なんてあるんですかい?〉
「それも入れると美味しくなるの?」
「勿論。これもたっぷり入れておこうね。」
「すごい料理が出来るんですね!!」
「さぁ完成v」
「きゃああぁぁvvすごい〜vv美味しそうですね〜!!」
そこに出来上がったのは何やら得体の知れない
真っ赤な色したこの世の物とは思えない・・・(以下略)
とにかくすごい。
でも師匠が作ってくれたんだからきっと美味しいんだろうな。
「ありがとう師匠っ!!」
私はそう言って深くお辞儀して師匠の家を出て来ました。
両手に今作った料理を抱えてとても良い気分で家へ帰ったのです。
早く明日にならないかな〜〜〜v
もうワクワクするの何のって、なかなか寝付けませんでしたよ。
そして、運命の瞬間がやって来たんです。
「桃っち桃っち〜〜!!」
私は部活が終わって越前くんと帰ろうとしてる桃っちのところへ行った。
「んあ?お、か。」
「桃先輩、知り合いッスか?」
「あ、まぁな。」
「桃先輩もスミに置けないッスね。可愛い子だし。(ちょっと羨ましいし)」
「良いから、越前、先帰ってろ!」
桃っちがそう言ってくれたのは、どんなに嬉しかったことか。
冷たく桃っちに見放された(違)越前くんはちぇっと舌打ちしながら去って行きました。
「どうしたんだよこんな時間に。」
あぁ、桃っちかっこいいね!!
「えーっと・・・今日が桃っちの誕生日って聞いたもんだからー・・・」
「俺の誕生日・・・?」
桃っちは驚いた様に言った。
「そう!だからね、これプレゼントにお料理!!」
「うおマジ!?開けて良い?」
「うん!開けて開けて!!」
桃っちは楽しそうにその包みを開いた。
そして一瞬硬直の空気が流れた。
真っ赤なこの世のものとは思えない物体がそこに転がっていた。
「・・・・・・・・・・・」
「頑張って作ったんだよ!!」
「へ、へぇ・・・がか・・・?」
「うん!桃っち食べてみてよ!」
目をキラキラさせて、手を組んで桃っちにお願いしてみた。
「(これは何だ・・?ここでどろどろと付いてる赤い液体は一体!?
食いもんなんだよな・・?一応が作ったって言ってるし・・・
別に食えねーもんじゃねーか・・・
そうだよ。世の中食おうと思えば食えねーものはねーだろ!
く、食ってやるぜ!!)」
汗(←冷や汗)でべっとりとなった顔を腕で拭いながら
桃っちはそれを一口、齧っていた。
「・・・・・・・(-o -''')・・・・・・・」
あれ?桃っち固まってる。どうしたんだろう?
「桃っちvv美味しい??」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「美味しいよね?」
「あ、あぁ・・・・・・」
虫の息とでも表現するかのような声で桃っちが答えた。
やったぁ!大成功!!!!
「そっかー良かったーvvじゃあまた作って来てあげるね!ばいばーい!」
「あ、いや・・・・・ま、、、またってのは・・・・」
桃がそう言おうとした時は既に遅かった。
END
不二家特製の秘伝調味料ネタは観月の恋のハードル用のネタだったのに・・・
ここで使っちまってどうするんだよ、・・・・いぶき
いやまぁ観月ドリームはネタいっぱい出てくるから良いかって感じで。
桃ちゃん誕生日なのにネタが思いつかなかったんですもん。。。。
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