13日の金曜日 中編

「では皆さん、ジェイソンから逃げ切れるよう頑張ってくださいねv」
するとは片手に持っていた紙をバッと広げて大きな声で読み上げる。

「それでは第一回戦、鳳くんv宍戸くん!行ってよろし!」


「お、俺かっ!?」
「宍戸さん、頑張りましょうね。」
にっこりと笑みを浮かべる鳳の姿には、
明らかに『覚悟してくださいよ?』の意味が込められているように見える。


「二人とも、頑張ってください。負けた方にはこの殺人ジェイソンドリンクですよー。」

冗談じゃねぇ!
冗談じゃないですよ!


「宍戸さん。」
コートへつこうとしているところへ、ニッコリと微笑みながら鳳が言った。
「どうした、長太郎・・・?」
「勝っちゃっても良いんですよね・・・?」
「けっ、勝てるんならな。」
「言ってくれますね。」

鳳の瞳の奥で何かがが光った。


「二人ともー早くコートについてくださーい!
 あ、それから審判は私がやりますが、文句はないですね?」
全員がその場で頷いた。

「時間も夜遅いですし、2ゲームのワンセットマッチでいきましょう。」
が審判席に座りながら言った。

「ま、待てよっ!お前のサービスゲームは俺取れるワケねーし俺が不利なんじゃっ・・・」
分かりました。
鳳が笑顔で答えた。

「では、最初のサービスは鳳くんからどうぞ。鳳VS宍戸、鳳サービスプレイ!」


『一・球・入・魂!!』

当然ながら、彼のサービスは決まった。

「ま、仕方ねーか。長太郎のサービスゲームじゃ・・・次は取ってやるぜ・・・」
宍戸はそう呟きながらコートを移動していった。


「両者コートチェンジ!
 では、ワンゲームストューラブ!宍戸サービスプレイー!」


「負けねーぜっ!!」
宍戸が勢いよく空目がけてトスを投げた。
ボールが落ちかけた瞬間、ボールを打とうとした瞬間、彼の頭に響くかのように鳳の声が聞こえた気がした。


『すみません宍戸さん。残念ですが、先輩は俺が貰いますから。』
「・・・・・・っは・・・・?」
頭に響いてきたその声に一瞬気をとられ、手元が狂ってしまったらしい。


「フォルトー!」
審判席からが叫んだ。

「宍戸さんー!どうしたんですかー?らしくないですよー!?」
相変わらず笑顔を浮かべた鳳がコートの向こうから叫んできた。

「お、俺の錯覚・・・だよな・・・!?聞き違いだよな、きっと・・・・ハハッ・・・・」
宍戸はそう自分に言い聞かせながらもう一度そのボールを握った。

「くそっ・・・!」
再びトスを上げた。
今度はミスることなく、ベストな場所で打てた、と思った。
「よしっ・・!サービスさえ上手くいけばあとは俺が攻めに・・・・!」

『宍戸さん、、今日ばかりはいくら宍戸さんでも手加減出来ませんvv』
「・・・何・・・!?」
またしても脳裏に響いてきた鳳の声。
同時にニッコリと笑っている彼の顔も浮かんできた。

そして次の瞬間、彼は信じられないものを見ることになる。


ヒュー

ストン


「・・・・・・・は・・・????」

宍戸の打ったサービスボールはネット前のところで急激に角度を変え、
そのまま真下へと急降下していった。

「「「「「「・・・・・・・・」」」」」」
一同は唖然とした。
宍戸だけではない、周りで見ていた他の者達(と鳳を除く)全員だ。

「い、今のボール・・・・変じゃなかったか・・・?」
その場に立ち尽くしていた者達の仲、岳人がようやく口を開いた。
「なんや、急降下していきよったな・・・・」
「うっわー!まじまじすっげー!!!」
ギャラリーがざわざわと騒がしかった。


「すっっっごいですよっ!!!宍戸くん!今のサーブ!!」
「宍戸さん、良かったですねー!褒められてますよーv」
「は・・?あ、いや・・・今のは・・・・」
「でも残念ですねー・・入らなきゃ意味ないんですよー。」
にこにこと笑顔を絶やさないまま鳳は話し掛けてきた。


結局、その後も宍戸のボールはフォルトしまくりだった。
当然ながら、結果・・・・


「勝者、鳳!」
が審判席から叫んだ。


「おい長太郎・・・・」
コートから出ていこうとしたところの鳳に向かって思い切って宍戸は話し掛けてみた。
「何ですか?」
相変わらずにこにこと微笑んでいる。
「ま、まさかと思うんだがさっきのボールが急降下したのは・・・・」
あーあのボール、すごかったですよねー、宍戸さん。
 でも入らなきゃ意味ないですし、ほんと残念ですけど宍戸さんの負けですよ?お疲れ様です。」
「いや、だからもしかしてあのボールはお前が・・・」
宍戸さん、自分の負けを認めないつもりですか?男らしくないですよ?
「そうじゃないが・・・そのっ・・・・!」

鳳くんの言う通りですよv
ハッとして宍戸が振り返ると、そこにはグツグツと煮えたぎる液体の入ったコップを持ったが立っていた。
「自分の負けを認めないのはいけませんv
 さぁではまず最初のジェイソンの犠牲者は宍戸くんですねvv」
そう言ってニコーッと笑うと宍戸にそのコップを差し出した。

「い、いや・・・だ、だってどう考えたってあのボールは・・・!!」
宍戸さん!俺宍戸さんがそんな人だなんて思ってませんでした!
 自分の負けを認められずに人の所為にしようとする酷い人だなんて!!

「宍戸くん、往生際が悪いですよ。」
はグイとそのコップを突き出した。

「・・・・・・」
宍戸は冷や汗をダラダラと流しながらそのコップを受け取った。

「さ、早く飲んでください。
 言っておきますけど、一滴でも残していたら許しませんからねvv」
「・・・・・・・・く、くそっ・・・・・!!」
宍戸は唾をゴクリと飲むと、目を堅く瞑って一気にそれを飲み干した。


・・・ぅっ・・・・ぐわあああぁぁっぁぁぁぁあああ!!!!


彼の叫び声はコート中、いや学校中に響き渡ったであろう。
彼は叫び声を上げたまま、その場に倒れた。
コップはガシャーンという音を立てて粉々に割れた。

「クスッ・・・良い声ですね・・・・vv」
倒れた宍戸を見ながらが言った。
(((((あ、悪魔だ・・・・)))))
全員が思った。
「やだ皆さん、冗談ですよ。そんな顔しないでください。」
ニッコリと笑いながらはみんなに向かってそう言った。


「あ、鳳くん。この死体、片付けといてくれます?次の試合もすぐに始めたいですし。」
はい☆
君もそんな嬉しそうに答えるなよ。
※念のために言っときますが宍戸くんは死んでません。

「では第2試合始めますよー」
するとは持っていた対戦表を再び広げて読み上げた。
「第2試合は跡部くん対樺地くんですよ!行ってよろし!!」
そう指示すると自分はまた審判席へと上がって行った。

「フフン。やっと俺様の出番か。」
「ウス。」
自信満々にコートに向かう跡部。
それに続く樺地。

コートにつこうとしたその時だった。

「おい樺地。」
「ウス・・・・」
コートに入る前に跡部は樺地を呼び止めると、彼の髪の毛を掴んで自分の方へと引き寄せた。
※念のために言っときますがホモではありません。
「お前まさか勝つ気なんかねーだろうなぁ?アーン?」
「ウ・・ウス・・・?」
「良いか、もし勝ったりしたら明日からクビだぜ?」
樺地よ、君は跡部の護衛は仕事だったのか!
「ウ・・・ウス・・・・」
「負けろよな。」
「ウス・・・・・」
樺地くん、いまどきもっと良い仕事いっぱいあるよ。そこで働きたまえ。


「では、両者コートへ入ってくださーい!跡部VS樺地!跡部サービスプレイ!」




結果は、樺地が跡部に言われた通り上手く手を抜いてくれて、跡部の圧勝となった。
「当然だろ、樺地。」
「・・・・・・・・・・・・ウス・・・・・・」
たっぷり沈黙したあと、樺地が気のない返事をした。

「なんやえらい呆気なかったなぁ。」
「ほんとほんと!いくら跡部でも樺地、もうちょっとやるかと思ったのに!」
ギャラリーもざわざわとザワついた。

「跡部は得意げにコートから出て行った。

「では樺地くんv貴方が本日2人目のジェイソンの犠牲者ですv」
「・・・・・・・・・(ゾゾーッ)」
普段ほとんど表情に変化の無い樺地の顔から血の気がひいていくのが分かった。
「さぁ、どうぞv」
先ほどと同じ液体を笑顔で樺地に突き出す。

「・・・・・・・ウス・・・・」
樺地は恐る恐るそれを受け取るとゆっくりと飲み干した。

「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
沈黙の空気が流れた。
樺地は飲み干すをその場に暫く固まっていた。


バタン


彼もやはり宍戸と同じように倒れてしまった。

「か、樺地でさえ耐えられねぇほどすごいのか、あれ・・・?」
「そうみたいやな・・・・」
「すっげー!どんななんだろうな!!」

「あ・・・!樺地くんを運ぶのって大変ですよね・・・コートの外で飲ませるべきでした。」
ギャラリーが騒ぐ中、一人冷静にそう呟くだった。



さて、次のジェイソンの犠牲者は一体誰になるのか。

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ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!
ドリームじゃない・・・・!!!
これはどう考えてもドリームと呼べるモノじゃないですね・・・
しかも長太郎が黒すぎでごめんなさい。あれが私なりの愛なんです!
あたしは黒ちょたがラヴなんですYOー!ってか意味分かっていただけましたか??
ボールが急降下していったのは長太郎のせいなんですよ。彼の黒魔術です。(何)
ホント、文才が欲しい限りですわ・・・・ι

しかも何気にまた3話になってるし・・・・・・(涙)