観察日記

○月×日
今日はさんは裕太くんの教室にいました。
また裕太くんにチョッカイ出そうとしていたようです。
さんは教室にいない時は大抵裕太くんの教室にいます。
そして僕が行くととても恥ずかしそうにして逃げてしまうんですv
でもきっと、さんが裕太くんと話すのは僕の気をひくためだろうと思います。
そしてそんな彼女が愛らしくてとても素敵です。


△月▽日
今日の彼女のお弁当のおかずは
卵焼き・ウィンナー・ほうれんそうの炒め物・サバ・肉じゃが・みかんでした。
みかんを食べている彼女の姿はとても愛らしくてなりません。
卵焼きはさんの手作りのようでした。
あの焼き具合や形は間違いなく、彼女の作ったモノです!
嗚呼、将来僕と一つ屋根の下に暮らすことになった時にも、
あんな風に手作りのお弁当を作ってほしいモノです。


□月☆日
今の午後、部の買出しで出掛けたところ、
公園で猫をじゃれつかせているさんを見ました。
正直、あれほど買出しに来て良かったと思ったコトはありません。
猫も楽しそうに彼女にじゃれついていて・・・・
正直、僕も猫になりたいと思いました。


(以下略)



「ねぇ観月、さっきから何書いてるの?」
「おや木更津じゃないですか。何の用ですか。」
「質問してるのは僕なんだけど・・・・で、そのノートは何なワケ?」
「これですか?」

放課にせっせと自分の席でなにやらノートに鉛筆を走らせる観月を見た木更津。
彼の野生の勘が、コレは何かある、と思ったらしい。


「見ないでください。これは貴方なんかが見て良いモノじゃありませんよ。」
「観月が作って良いモノでも無いと思うけど・・・・」
「ノートを書くのに権利がいるんですか?初耳ですね。」
「ノートを書く権利じゃなくてさんにプライバシーの権利があるの。」
「なんだ、何のノートか知ってるんじゃないですか。だったら聞かないでくださいよ。」
「ストーカーがいる、って警察に訴えるよ?」
「僕が無罪判決になったら貴方が慰謝料をくれるのならね。」

何とも恐ろしい会話だった。

「何でも良いけど、ほんとストーカーだよね。さんに嫌われるよ。ってもう嫌われてるか。」
一人で喋る木更津淳。
やはりルドルフNo2腹黒を言われただけのことはある。
「ウルサイですね。僕は将来と一つ屋根の下に暮らすんですよ。」
「それは何、さんの下僕として?」
「下僕には裕太くんがいるでしょう。」
「それもそうだね。」
納得するな。


「ねぇそれよりさ、そのノート見せてよ?」
「駄目ですよ。まぁ僕の勝ちは間違い無いでしょうけど念には念を。
 ライバルを増やすワケにはいきません。」

「ふーん・・・じゃあこのさんの写真セット、いらないんだ・・・・」
「何ですって!?」
木更津は数枚の写真をヒラヒラと振ってみせた。

「きききき木更津!?そんなモノをどうやって入手したんですか!!!???」
「くすくす。ちょっとした裏ルートでね。欲しいでしょ?」
「・・・・・・・。」
「欲しいなら欲しいって言いなよ。
 ちゃんと観月の分まで焼き増ししてきてあげたんだから。(そのノート見せてもらうために)」
「本当ですか?」
「うん。だからそのノート見せて。」
「分かりました。但し他の人に見せたら駄目ですよ。」
「分かってるって。じゃあね。」

そう言って木更津はそのノートを受け取るとひらひらと手を振って去って行った。
そしてその後響いたのは観月の激怒の声

「え・・?な、何ですかこの写真・・・・!!?木更津・・・ハメましたねっっ!!!」

バンッと音を立てて、机にその写真をぶつける。モノに当たっちゃぁいけませんよ、観月くん。

ヒラヒラと地面に落ちていく写真に写っていたのは、
むさ苦しい男たちが沢山写っている、男子テニス部の練習風景の写真だったようだ。
裕太や赤澤や柳沢のトレーニング風景の写真が数枚だった。



そして一方ノートを獲得した木更津。
「くすくす。僕が観月のために写真を焼き増ししたりするワケないじゃない・・・・
 って・・・・あ・・・このノート・・・・・」

『数学ノート』

表紙にはしっかりとそう書いてあった。

「観月・・・ハメたね・・・・・」


お互い様なんですね、貴方たち。



「このノートどうしよう、腹いせに燃やしてやろうかな。」
「この写真・・・目に悪いです・・・捨ててしまいましょう・・・・」



そして数時間後

「観月、さっきは数学のノートをどうもありがとう。」
「いえいえこちらこそ、素晴らしい赤澤達の写真をありがとうございました。
 危うく僕の眼が潰れるところでしたよ。」
「お互い様でしょ。」
「貴方と一緒にしないでください。僕は純粋にさんが好きなだけです。」
「純粋な恋をしている男がそんな変な観察ノートなんかつけるワケ?」
「ちょっとした愛の表現ですよ。」


別に表現してくださらなくて結構ですよ。


観月・木更津はその声にハッとして振り返った。
そこに立っていたのはまさしく少女!

「嗚呼さん!会いたかったですよ!」
「どうしたの、さん?」
「さっきまで裕太くんのところへ行ってたのですが・・・・
 なんか妙な胸騒ぎを感じてこの教室へ来たんです。そしたら貴方たちの会話が耳に入りまして・・・」

エスパーかっ!!?


と言いたいところだが、生憎今ここにいる二人はマトモな人間ではない。
「そうだったんですかvきっと僕との愛の訪れの予感ですねv」
「あり得ないね。」
「私もそう思いますよ、木更津くん。」
「やっぱりねv」
意気投合したようなと木更津。
いや、正確に言うなら木更津は意気投合したような気になっている。

「ところで、先ほどからそのノートが気になっているのですが・・・・・」
「え?コレですか?んふっさんなら見せてあげても良いですよv」
「本当ですか?じゃあ是非とも見せていただきたいモノですね。」
「僕の愛の化身ですからねvはい、どうぞ。」
そう言いながらにノートを手渡す観月は馬鹿・・・もとい、とても白い。(笑)


ノートを受け取ったはパラパラと中身をめくり始めた。
「観月さん・・・随分苦労されてたみたいですね・・・・」
「えぇvでも貴方のためなら何てことはありませんv」
「ただストーカーなだけでしょ。」

「毎日毎日、大変だったでしょう。」
「そりゃぁもう・・・だけど貴方さえいれば僕にはそんな苦労なんて・・・・」
「変態だからね。」

「でもね、観月さん。こんなことをしている暇があったのなら、
 青学に勝てるようしっかりとテニスのデータを取っておいてもらいたかったです。」
「全くだよね。」
「黙りなさい木更津。」

「観月さん、このノートしばらく私がお預かりしても良いですか?」
「え?そのノートですか?さんでしたら・・・・」
「ありがとうございます。」
そう言ってはニーッコリと立ち去って行った。

「あ、返却日は貴方の命日に。
地獄で受け取ってくださいv
すると、彼女はそのノートを観月らの目の前でビリビリに破いてゴミ箱へと放り投げた。

「あぁっさんっ!どうしたんですかっ!!?」
慌てて立ち上がる観月。しかし彼女のオーラはそんな彼など寄せ付けないほどどす黒い。

「ちゃんと地獄でもう一度手に出来るよう、焼却炉で処分しておきます。」
全く表情を崩さないまま、ニッコリとただ笑っている。そして、

「あ、それから木更津くん。」
今度は木更津の方へ向き直って話し始めた。

「貴方のかばんのポケットに入っていた、私の写真、焼却炉に入れておきましたから。」
「・・・え・・・?」
流石の彼も青ざめたようだ。

「肖像権の侵害で訴えられなかっただけでも有難いと思いなさい。」

それだけ言って彼女はスタスタと歩いて行ってしまった。
残された観月と木更津はポカンとその場に立ち尽くしていた。


「あぁさん分かりましたよ!あんなノートがなくても僕らの愛は永遠だということですね!」
「ま、写真くらいいっか・・・また入手すれば良いし。」


ルドルフ腹黒組の変態っぷりはおさまる気配すら見せない。

また書いてしまった最強生徒会長シリーズ・・・(何じゃそりゃ)
もうこのヒロイン大好きです・・・(自己満)
にしても無駄に長いですな・・・;

私はストーカーな観月が好きなんです。
勿論意地悪な観月も好きですが・・・ストーカーで策士だったりするのが一番です。
この話はあんまり策士っぽくないですが・・・・
そしてヒロインは更にその上をいくキャラ、それが理想的なんです。(何)