体に悪いよ?
「けっ・・・・・」
亜久津仁、今日も不良道をばく進中。
公園の端でタバコを吸っているのだ。
「つまんねぇ・・・・・・・」
そう言いながら片手に持っているのはいつもながらタバコ。
前回あれだけに言われたにも関わらず相変わらずである。
くっそー・・・・・
この前あの女に会ってからどうもスッキリしねぇ・・・・
恋とかそういうのか?
いや違うな・・・・あり得ねぇ・・・俺が・・・・
それより何より悔しいぜ・・・・
この前はあんな言い方して別れてきたけどよぉ、
スッキリしねぇ!アイツに負けたような気がしててだ。
あの時、あいつ蹴りを寸止めしやがった・・・・
馬鹿にしやがって・・・ちっ・・・・・・・・
あの時は俺だって本気じゃなかった・・・けどムカツクぜ・・・・・・
ドスッ
何かが亜久津の頭を殴った。
「何しやがんだよ・・・?」
そう言いながら振り向いた亜久津の目の前にあったもの、
「こんなとこで何やってんのよ。」
あの時のと名乗る少女。
白い道衣(どうぎ)を黒い帯で縛って、
その帯を握って肩にかけるようにして持っている。
亜久津の頭を殴った物体はその道衣だったようだ。
初めて会ったあの時と同じ目で、亜久津を見下ろしている。
「またてめぇか・・・・・・」
「あぁーーー!亜久津仁!またタバコ吸ってる!駄目って言ったでしょ!」
「知るかよ、んなこと。」
「何言ってんのよ!ソレ没収!そのタバコ、頂戴!!」
そう言って手を差し出す。
「あぁ?なんでてめぇなんかに渡さなきゃいけねぇんだよ?」
「なんでじゃないでしょ!!タバコは体によくないのよ!!」
「んなモン俺の勝手だろうがよ。」
「駄目!!」
「ったくしつこい女だな・・」
「亜久津仁!!」
「それよりよぉ・・・・・・」
亜久津は立ち上がってを睨みながら言った。
「この前の借り、返させてもらうぜ?」
「借り?」
がそう言うが早いか亜久津はの顔面めがけて自分の拳を飛ばす。
「おぉ!」
は驚きながらも少し目を輝かせてその手をよけて、止める。
「亜久津仁!この前よりも良い突きになったわね!!」
亜久津の大きな手を止めてニヤリと笑って言った。
「んだと・・・・」
「でもまだまだ・・・私に借り返すなんて10年早いのよんv」
「へっ・・・俺だって本気じゃねーよ・・・・・」
「負け惜しみ?」
「てめぇ・・・本気で殴ってやろうか?」
「それって私を女だと思って手加減してるってこと?
だったらやめてよね。それって差別じゃない。」
は睨み返しながら言った。
「けっ・・・どんなにガサツでもお前は女だろ。俺だって本気じゃ出来ねぇんだよ。」
「ちょっと待って!それ駄目!本気で手合わせしましょうか?」
そう言ってはかまえる。
「言っただろ。俺はそんなに暇じゃねぇって。」
「こんなとこで一人で油売ってた人が忙しいなんてよく言うわね。」
「あぁ?お前なんかにかまってる暇はねぇんだよ。」
「かまってんじゃん。」
「うるせー・・・・」
そう言うと亜久津はまた座り込む。
「ったく分かんないヤツよね、アンタって・・・・・。」
は呆れたように言った。
数分間の沈黙が続いた。
「なぁ、オイ・・・・・」
また亜久津は立ち上がった。
「今度は何よ?」
亜久津から離れて帰ろうとしていたは振り返った
亜久津は一歩一歩に近づく。
「まだ何かあんの?」
シュッ
亜久津の突きはの顔面スレスレで止まった。
は目を見開いてその拳を見ている。
すごい速さだったんだ。もくる、と思ってよけようとした時にはもう遅かったくらいに。
今までの亜久津の突きの倍以上の速さ。
驚いて声が出せずにただただ亜久津の手を顔を見ていぶに亜久津が言った。
「お前は女なんだよ。」
「・・・・・・・・・」
目を見開いたまま。
「男に油断すんなよな。」
「女だけど・・・・・・・」
はうつむいて言う。
「分かってるよ、そんなこと・・・・・
亜久津仁の方が強いってことくらい、見れば分かるよ・・・・
だけど、自分が弱いって認めちゃったら、それで終わりじゃない・・・・」
「別に俺はお前が弱いなんて言ってねぇよ。」
手を下ろして、タバコに火をつけながら亜久津が言った。
「ただよぉ・・・その無防備さだけはやめろよな。」
タバコを口にくわえて言う。
は上目使いに亜久津を見る。
あんなに気が強いでさえ、この状態ではただの女の子だ。
「アンタに関係ないじゃん!!」
ちょっと顔を赤らめて後ろを向いてが言った。
「ちっ・・・つまんねぇ女だな・・・・・」
亜久津はそう言うと後ろを向いて歩き出した。
「待ってよ、亜久津仁!!」
は亜久津の方を向いて、亜久津に歩み寄る。
「あぁ?」
振り向いた亜久津の手からすかさずタバコを奪い取る。
「何しやがんだよ!!」
怒った亜久津がそのタバコを取り替えそうとすると
ヒョイと手を動かして亜久津の手を避ける。
「コレは没収よ。あっそれからポケットの中にもタバコ入ってんでしょ?それも出して。」
「なんでてめぇにんなこと言われなきゃいけねぇんだよ!!」
「なんでって、体によくないからよ?」
「てめぇにそんなこと心配される筋合いねぇだろ!!」
「筋合いあるわよ!!」
「あぁ?」
歩き出そうとしていた亜久津は再び振り返る。
は振り返った亜久津のポケットに手を突っ込んでタバコを探す。
「何すんだよ!!」
慌ててを引き離そうとするが時すでに遅し。
「あーーった!コレも貰っておくわよ!」
そう言ってタバコの箱を手の上で弾ませながらは帰ろうとする。
「待てよ!返せ!」
「嫌だね。」
平行線なやり取り。
「俺の体が悪くなろうとてめぇに関係ねぇだろ!!」
「あるのよ!!」
「何がだよ!!」
「タバコ吸ってると、その子供にも障害があったりするかもしれないのよ。」
「だから何だよ!!?」
「あたしの子供が障害者になったりしたら嫌だもん!」
「は・・・?」
沈黙
風がびゅうと吹いて、の髪がなびいた。
「だって、あたしの子供が障害者だったりしたら嫌だから!
丈夫な子供を産むためにも夫にはタバコを控えてもらわないと!!」
「・・・・・・・・・・」
「じゃあね!亜久津仁!」
俺は本気であの女に惚れたようだな・・・・・・
END
あっくんドリー夢第2弾!!
タバコ吸った時って子供にも障害がいったりするのかな・・・?
(知らなくて適当に書いてた)
でもなんとなくこんな感じのネタで書きたかったから。
(タバコのせいで赤ちゃん産めないかもって)
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