カ ワ イ イ
「あっ、壇くん、今時間ある?」
昼休みに、突然僕の教室へ入ってきたさんが言いました。
「は、はい!!い、今行きます!!」
ぼ、僕は壇太一!山吹中男子テニス部のマネージャーです!!
今僕を呼んだのはちゃんと言って、
僕と同じマネージャー仲間です。
ぼ、僕はさんのことが好きです!!
でも、多分さんは僕のこと、ただの友達としか思ってないんです。
友達どころか、
ただのマネージャー仲間だとしか思ってないかもしれないです・・・・。
それにさんは僕より一つ年上です。
でもなんで先輩って呼んでないかと言うと、
それはさんが
「堅苦しいの嫌だから先輩とかつけないで良いよ」って
言ってくれたからです。
さんはいつも可愛くて優しくて、とっても素敵な人なんです!!
「あのね、マネージャーの仕事のことなんだけど・・・・・」
そう言いながらさんは僕に計画表みたいなものを見せてくれました。
「じゃあ、ここはどうすれば良いんですか・・・?」
「んーー・・ここはさ、こうすれば・・・・」
「なるほどです!すごいです!!」
「壇くん感動しすぎー!」
さんは笑いながら言いました。
でもさん、本当に頭も良くて、
うまくテニス部をまとめてくれているんです。
だから本当にすごいんですよ!
「だ、だってさんは本当にいつもすごいです!!
みんなをしっかりまとめてて・・・
僕だって同じマネージャーなのに・・・!!」
「何言ってるの!壇くんは頑張ってるじゃない!
もっと自信持って!」
さんのその言葉だけで、僕はすごく自信が持てます!!
「あ、ありがとうございます・・・!!」
僕はペコリと頭を下げました。
「あっ、ちゃん発見ーv」
どどどどどどど
そう叫びながら走って来たのは千石先輩です。
「あっ、千石先輩、こんにちはv(にこ)」
ダダダダーン!さん可愛すぎるです!!
ほんとにほんとに可愛いんです!!
「ちゃん何してんの?今、暇なの?
俺と屋上でも行かない?vv」
あぁっ!駄目です、さん!千石先輩と屋上へ行ったりしたら、
さんが何されるか分かりません!!!
でも、僕は1年生で、
背も小さいから千石先輩に何か言うこともできずに、
とりあえず見ていることにしました。
「ねぇねぇ!行こうよーVv」
そう言いながら千石先輩は先輩の手を引こうとします。
「あっ、ごめんなさい、千石先輩・・!
私今壇くんとマネの打ち合わせしてるんです!」
さん良かったです!ちゃんと断ってくれたんですね!!
「えー・・良いじゃんそんなの!」
「駄目ですよー!また今度にしましょ。」
今度は行くんですか!!?あぁっ!
僕がさんを守ってあげたいです!!
「絶対だからねーv」
そう言うと千石先輩は走って行きました。
今日は千石先輩、なぜか諦めが良いです。良かったです。
「うちのテニス部の先輩ってみんなかっこいよねー・・v」
さんが走っていく千石先輩の後姿を見ながら言いました。
「えぇっ・・・!」
「どうかした?壇くん?
だってかっこいいじゃない、千石先輩も亜久津先輩も!」
「先輩は・・・・・・」
「ん?どうしたの?」
さんが僕の顔を覗き込みます。
僕は少し顔を赤くしました。
「さんは、千石先輩や亜久津先輩が好きなんですか・・・・?」
「え・・?どうしちゃったの、壇くん?顔赤いよ・・・・?」
「(/////)」
「うわぁv可愛いVv」
可愛い・・・・・
さんはいつもそうです。
千石先輩と亜久津先輩は「かっこいい」だけど、
僕は「可愛い」なんです。
さんにとっては褒めてるのかもしれないけれど、僕は嫌です。
だって僕だって男の子です。
可愛いなんて言われたくないんです・・・・・
「か、可愛い・・・・・」
僕が呟きました。
「壇くんっていっつも可愛いわよねvエヘヘv」
そう言って僕の顔を見ています。
僕だって・・・・
「かっこいい」って言われてみたいです・・・・・・・・
「ご、ごめんなさい!!」
その場にいるのが耐えられなくなった僕は
全速力で走ってさんから離れて行きました。
「壇くん・・・!?」
さんがそう叫んだように聞こえたけど、
僕は廊下を全速力で走ります。
先生ごめんなさい。僕は廊下を走ってしまいました。
運動場の隅っこのベンチに、そっと座りました。
僕は泣いてるみたいです。
いつも僕は可愛くて、千石先輩たちはかっこいいなんです。
僕はかっこよくはないかもしれないけれど、
だからって可愛いとは言われたくありません。
どうしたら、もっと背高くなれるでしょうか・・・・
どうしたらさんに僕は男の子として見てもらえるでしょうか。
「壇くん・・・・?」
ベンチに座ってた僕を見下ろすような形で立ったさんが、
僕に話し掛けてくれました。
「さん・・・!ごっ、ごめんなさいです!!突然走ったりして・・・・・!」
僕は涙を拭おうと思って目をごしごしこすりました。
「あの・・・もしかして私何か酷いこと言った・・・・?」
「い、いえ!!さんは悪くないです!!」
そうです。悪いのは勝手にかっこいいって
言われたいなんて思ってる僕の方です。
「そう・・・?」
そう言うとさんは僕の隣に座りました。
「でも、私と話してる時に走って行っちゃったんだもん・・・
あの・・何か酷いこと言ってたなら、ごめんね。」
「あ、謝らないでほしいです!!悪いのは全部僕です!!」
「ねぇ!隠し事とかしないでよ!!」
え・・・?それって、どういう意味なんですか・・・・?
「隠し事なんて・・・・・」
「なんで逃げちゃったの・・・・?」
「ぼ、僕・・・・・・・」
「僕だって男の子です・・・・・『可愛い』なんて言われたくないです!!
さんはいつも千石先輩たちのことは『かっこいい』って言うけど、
僕のことは『可愛い可愛い』って・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「僕だって男の子だから・・・『可愛い』なんて言われたくないんです・・・・・・!」
「ごめんね・・・・・」
「あ、謝らないでください!僕が勝手にワガママ言ってるだけです!!」
「ううん。気にしてるなんて思わなかったんだよ。
でもね・・・・・・」
「???」
「私は、かっこいい千石先輩や亜久津先輩たちよりも、
かっこよくて可愛い壇くんの方が好きだな・・・・・・・・」
ダダダダーン!
さんの顔が真っ赤です・・・!
好きていうのはどういう意味なんでしょうか!!???
「す、すき・・・って・・・・?」
「私、壇くんのこと、好き・・・vだから思わず可愛がりたくなっちゃうんだよね・・・」
さんが顔を赤くして言います。とっても可愛いです!
「ぼ、僕も・・・・さんのこと・・・・好き・・・です・・・・!!」
い、言えました!やっと!
やっとさんに、僕の気持ちを伝えることが出来ました!!
太一、やりました!!
「エヘヘ・・・壇くん、マネージャーの仕事やてる真剣な時とか、かっこいいよ。」
「あ、ありがとうです・・・!!」
END
世にも珍しい壇くんドリームですよ!!
いや、でも壇くんのこと「かっこいい」って言わせようって時点で
無理があると・・・;
でもなんとなくこのネタ思いついたから書いてみました。
あっはっは・・・見事玉砕・・・(ちゅどーん ←玉砕した音)
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