僕の憧れは!

ダダダダーン!
こんにちはっ!!僕は壇太一と言いますですっ!!
じ、実は僕は今、すっっっっごく気になる人がいるんですっ!!

あ、勿論亜久津先輩は大好きですよっ!
でもでも亜久津先輩よりもかっこよくて、
本当に本当に尊敬する人が出来ちゃったんですっ!


それは今から1週間くらい前のことなんですっ!

********************************


「レギュラー、全員集まってくださーい。」
ここは青春学園男子テニス部。
ここでマネージャーとして働いているのが彼女、だ。

「じゃあ今日の練習はこれで終わりますから。全員後片付けをして帰ってください。」
彼女は少しクールでいつも落ち着いている。
任された仕事はキッチリとこなすので、部員からも先生からも絶大な信頼を得ている。
気難しいところもあるが、整った顔立ちと綺麗なスタイルから
男子からの人気もそこそこだった。


「あ、そういえばちゃん。
 実は今度レギュラーで打ち上げでもしようと思ってるんだけど、どうかな?」
「いつやるんですか?」
「来週の日曜日に予定している。」
「そうですか。私は結構です。レポートの締め切りも近いので。」
普通の女子なら、不二周助に誘われたともあれば地獄の果てへでもついていくだろう。
しかし彼女は何でもないようにあっさりと断ってしまう。


興味ないことはしないし、面倒だと思ったらやらない。

決して自分のペースを崩さないし、決して人に流されたりしない。
ある男子に言わせれば「そこが可愛い」と言うし、
ある男子に言わせれば「なんか付き合いにくそう」らしい。


だが、そんな彼女の光景を、陰から見ている2つの目があった・・・・・・



「なるほどなるほど・・・・あのちゃんってのが青学のアキレス腱ですねっ!!」

木陰から覗いて取り出したメモ帳にサラサラと鉛筆を走らせている小さな少年。
そう、壇太一である。

「確かこの前の試合にも応援に来てた子ですっ!!」


彼が何故ここへ来ているのかというと、話は数時間前に遡る・・・・・・・・・





「ダダダダーン!亜久津先輩っ亜久津先輩っ!!
 これ、ドリンクですっ!今日も練習頑張ってくださいですっっ!!」
「るせーな・・・・・・」
「僕はいつも亜久津先輩を応援してるですっ!!」

だが、最近亜久津は全くと言って良いほどテニスへのやる気が無かった。
そう、この前の決勝試合で越前リョーマに負けて以来だ。
そのことが太一は心配でならなかった。
(僕はもっと亜久津先輩にテニスやってほしいんです〜〜っっ!)
そうして太一が色々考えた結果がこれだった。

「そうだ、亜久津先輩っ!
 もう一度青学と戦えることになったらまたテニスやってくれるですかっ!?」
「あぁ・・・?」
「僕、青学を偵察してくるですっ!
 青学の強さの秘密を越前くんのことをしっかりデータ収集してくるですっ!
 越前くんの生活をしっかり研究すれば
 きっとまた試合する機会があるかもですよっ!」
そりゃストーカーだろう、と亜久津は心の中でツッこむ。

「そうと決まれば僕、早速行ってくるですっ!!」
そう言いながら、太一は目を輝かせて青学へとやって来たのである。





「あっ、そうだった!
 越前くんを研究するんでしたっ!!えーっと・・・越前くんはと・・・・・」
周りを見渡しながら、思わず立ち上がってしまった太一。
そしてそれをは鋭くも見逃さなかった。
「あ、越前くんっ!今帰るとこみたいですっっ!早速尾行を・・・・・・」
そう言ってリョーマの後をつけようとしたその時だった。

「貴方、ウチの生徒じゃないでしょう?ここで何してるの?」
そう言いながら彼女は太一へと近付いて行った。

「あ、えぇーーっと・・・・強いて言うなら僕の恋の両思いへの第一歩ってとこで・・・・・」

意味が分からない。
顔中に?マークを浮かべるだったが、太一がそう悪い子にも見えなかったらしく、
「ま、別に良いけど・・・・
 もう私たちテニス部も練習は終わったから、
 これ以上いても無駄だと思うよ。
 明日も来るようだったら、ちょっと許せないけどね・・・・」
それだけ言うとはスタスタと歩いて行ってしまった。

「ふぅー・・・助かったぁ・・・・・・ってあああぁっ!?
 越前くん見失っちゃったですっ!!」
慌てて辺りを見渡す太一だったが、既にリョーマの姿はどこにも無かった。

「仕方ないですっ!!
 今日のところはあの女の子を尾行してみるですっっ!!」
そう言って、結局の尾行を開始する太一である。



は部室から荷物を取って来ると、校門を出て歩いて行った。

太一は校舎や木の陰に隠れながらコッソリとの後をつける。

「あぁっ、コンビニに入ったですっ!なるほど!
 学校からこんなに近くにコンビニがあるなら
越前くんも利用してるかもですねっっ!!!!」

メモに走らせる鉛筆の手はどんどん進んで行った。
コンビニでペットボトルを買ったはその蓋を開けて、
少し飲みながらまた歩いて行った。


小さなストーカーがいることも知らずに・・・・・・・



だが、その数分後、悲劇が起こった!(なんかテレビ番組みたいだ・・・・)
「なぁ、あんた。金貸してくれよ・・・っつーか暇だったら俺たちに付き合わねー?」
見知らぬ男たち、一言で言えばヤンキーなのだが、
馴れ馴れしくもの肩に手を置きながら声を掛けてきたのだ。

「ダダダダーン!なんとあれはナンパですかっ!?
 これは面白い情報ですっっ!!」
いつのまにかどこかのデータオタク(約2名)化してきてしまっている気が
するのは気のせいだろうか・・・・

「悪いけど、今は忙しいの。」
は何事も無いかのように答えた。

「す、すごいですっ!
 あんな怖そうな人たちい向かってあんなこと言えるなんてっっ!

亜久津を慕っている太一が言うのもどうかと思う。


「てめぇ・・・・俺たちの言うことが聞けねーのかよ?」
そう言って男の一人がに言い寄ってくる。

「おぉ〜!!まるでどこかの学校の攻キャラみたいですっ!萌えですっっ!」

だんだんとキャラが変わってきているように見えるのは私だけですか、太一くん?
しかもしっかりメモしてるし。



「なぁおい。忙しいってんなら金だけでも出せよ。」
「持ってない。」
「何言ってんだよっ!今さっきコンビニから出てきた癖してなに言ってやがるっ!
 金も持たねーで買い物に来る馬鹿がどこにいんだよっ!」
「馬鹿は貴方たちじゃない?お金ならあるよ。
 でも貴方たちに渡す金は無いって言ってるの。」
「何だとこの女ぁっっ!」


男たちはに殴りかかろうとした。のだが・・・・・・・




「か、かっこいいですっっっっ!!!」


電柱の陰から突然飛び出して来て、大声で叫ぶ声・・・・・・
「なっ・・・・・・」
振り返ったも不良たちも一瞬驚きの余り固まってしまう。

「あ、あの、僕は壇太一と言いますっ!
 山吹中のテニス部でマネージャーをしてるですっ!!」
に駆け寄ってきて手を握り、上下にぶんぶんと振り動かす太一。
「は、はぁ・・・・・・」
先ほどまでの勢いは無くなり、は困った様子で太一を見ている。
不良たちも呆気に取られたように口をポカンと開けていた。
「僕、本っ当に感心したんですっっ!」
目をキラキラと輝かせてを見上げている。

「ナァおい・・あんまりこういうやつらにかかわるのやめよーぜ・・・」
「そ、そうだな・・・・・」


なんと不良たちまで退散してしまうほどの太一パワー!恐ろしい!
「あのっ、それで・・・・えっと・・・もし良ければ・・・その・・・・・」
顔は赤くして、恥ずかしそうに太一は言葉を続ける。
「えっと・・・ぼ、僕の・・・・・・・」
ツバをゴクリと飲み込んで太一は心を落ち着かせている様子だ。
何しろ一目惚れで、一世一代の告白である。
はどうして良いか分からないという感じだ。

「ぼ、僕の師匠になってくださいっ!!!!!」

「は、はぁ・・・・?」
「僕、見てて思ったんですっ!えっと・・・名前は先輩でしたよね・・・・?
 先輩に弟子入りして、
 僕ももっと強くなれば亜久津先輩もきっと僕を認めてくれると思うんですっ!」
「はぁ・・・亜久津・・・・・?」
「僕の両思いへの第一歩に協力してくださいっっっ!!」


こうして太一のに対するストーカー生活が始まった。

久々の更新がこれかよ・・・・・(汗)
太一くんが攻めってのも良いじゃぁないですかぁ〜♪
むしろわたしゃ亜壇よりも壇亜の方が良いと思うんですがおかしいですか・・・?
それにしても甘くないですね〜;ごめんなさいです。