不器用な愛情

「うわぁ・・・激、可愛い・・・・・・」


一人呟く少年。彼の名は千石清純。
決して「せいじゅん」ではない。「キヨスミ」である。(何)


可愛い女の子を見つけたらじっとしてはいられないのが
彼の良いんだか悪いんだか分からないところ。


「君、激可愛いねv名前は??」
先ほど見つけた少女の元へ駆け寄るとサッと手を取り聞いてみる。

「は、はい・・・?」

何がなんだか分からないまま手を握られてしまった少女は
どうしていいか分からないと言った感じで千石を見る。

「ねね、名前名前Vv」
千石は楽しそうにその少女に向かって話す。


だがその時、千石の背後から忍び寄る黒い影があった。



「清純v」


そう言って背中から突然肩をポンと叩かれた。

その時のハートはピンクとか、赤い愛情の篭った物ではない。
黒い、思いっきり怒ってるハート。

千石は恐る恐る振り返ってみる。

っ・・・!?」
そこに立っていたのは両手を後ろで組んでにっこりと笑って立っている
彼女、だった。

「清純v何してるの?随分楽しそうねv」

その笑顔は黒い。黒すぎる。

「ちょ、ちょっと名前聞いてただけだってば!!」
「ふーん。」


横目でちらと千石を睨み付ける
そしてからまれた少女の方を向いて言った。思いっきり笑顔で。


「ごめんね。突然驚かせちゃって。びっくりしたでしょ?」
「あ、いえ・・・平気です!わ、私用事があるんで!!」
千石のナンパに引け目を感じたのか、
の笑顔が怖かったのかは不明だが、
少女は慌ててその場を去った。


「・・・・・・ちっ・・・・・・・」


千石が小さく舌打ちしたのをは聞き逃さなかった。


「あら?そんなにあの子が良い?
 じゃああの子と付き合ったら?じゃあまたねv」

またしても語尾に黒ハート。
そして必殺技、ブラックエンジェルスマイル。(何)

「は・・!?!!そんなこと言ってないでしょ!!」
という千石の言葉にも聞く耳持たず、はすたすたと歩き始めた。

待ってよぉー!俺にはしかいないってばーv」
千石は甘えたような声を出してを追って走った。

「清純。」
は振り向かず、後ろにいる千石に向かって言った。

「ワッフルで許してあげるv」
サッと振り返ったかと思うとにこりと笑って言った。


「はい!?」

千石は思わず聞き返してしまった。

「もうー・・・はいっつもそうやってなんか請求するんだからー・・・」
金がもたないよ〜と言うように財布を出しながら言った。

「あっそ。じゃあさっきのあの子、引き止めて来たら?」

そう言って笑うとまた歩き出してしまう。

「分かった分かったー!ごめんなさいー!奢りますー!」
千石敗北。

「あら嬉しいv」
は振り返ってにっこり笑うと千石の手を引いて
「さ、行こう!」と言いながら歩き出した。


いつものこととは言え、すごい女王様っぷり。




ワッフル屋にて


「いくらまで頼んで良い?」
ーいっつも頼んでるんだからさ、たまには遠慮してよー・・・」

千石がまた甘えるような声で言う。
の母性本能をくすぐろうとしているらしい。

「浮気する清純が悪い。」
即答。


「浮気なんてしてないじゃん!ちょっと名前聞いてただけじゃん!」
「そういうのを世間一般では浮気って言うのよ。」
「なんで名前聞いたら浮気なの!」
「一般人は違ってても清純の場合は浮気になるのよ。」

たしかに最もな意見。(笑)
だがさっき言ってたことは矛盾しとるぞ。

「何言ってるの!可愛い女の子を見たら
 仲良くなりたいって思うのは当然のことじゃん!!」
まぁそれはそうなんですがあなたの場合は・・・・


「ふぅーん・・・そういうモンなの・・・・・」

マイナス100度で凍りつくような視線で千石を睨み付ける。
その視線にゾッとする千石。ヤバい!と思った。

「店員さんー!チョコとイチゴとバニラと
 あと生クリームも載せてー、それから・・・・・(以下略)」

挙手して店員を呼ぶとが叫んだ。

「ちょっ・・!!!そんなに頼んだらお腹壊しちゃうよ!太るよ!?」

お返しよとばかりにどんどん注文するをとめようと千石が慌てて言う。

「お、お嬢ちゃん・・・?そんなに食べて本当に大丈夫・・・?」
「えぇ、心配しないで。全部
彼の驕りだから。」
「いや、お金じゃなくってさ、体によくないよ・・・・・?」

さすがにこの量に驚いた店員もの暴走を止めようとする。

「心配しないでください。残ったら彼が食べてくれるから。」
「あのね!!!頼むからもうちょっと少なくしてー・・・・・」

千石が泣きつくような声で言う。

「もう・・・!
 奢ってくれるって言ったじゃない。男に二言は無しよ。」
がピシャリと言った。

「そんなに沢山奢ってあげるなんて言ってないでしょ!!」
千石も負けずと突っ込む。

「ふぅーん・・・逆らうんだ・・・・・」
スッと冷たい視線を千石に向ける。

「うわーんー・・・ー・・・!!」
「全く、情けなー!しょうがないなぁ・・・
 じゃあ今日はチョコとバニラで許しておいてあげるわ。」

「あ、ありがと・・・・(何で俺こんなに腰低くしてんだろ・・・・)」


ラッキーなはずの千石もこの少女にかかれば一たまりもない。



(あーぁ・・・『ラッキー千石』って名前も
 に会ってからはすっかり役立たずだよ・・・
 には適わないしさぁ・・・
 でも激可愛いし頭も良いし運動神経も良くてモテるんだよねーは・・・
 だからちょっとナンパしてみたんだけどさぁ・・・
 クラスで一番の美少女だよ、うん・・・・・・
 でもは本当に俺のこと好きでいてくれてるのかな・・・
 なんかいっつも奢らされてばっかだし・・・・)



「清純・・・・」
ワッフルを手に取りながら突然が話し出した。

「何・・・・?」
ワッフルにかぶりつきながら千石が言った。

「女の子なら誰でも良いの・・・・?」
「はい?」
の突然の発言に千石は思わず手を止め、目を点にしてを見た。

「聞こえなかった?さっさと私の質問に答えなさい?」
そう言ってにっこりと微笑む。

「(いやそんな急に聞かれても激困るんだけど・・・・)なんで?」
「質問してんのは私なんだけど?」

ワッフルを口に運びながらは顔を上げずに言った。
だから表情は見えなかったがその言葉は明らかに
『ちゃんと答えないと追加注文するよ?」という警告を表している。



「そりゃ女の子は好きだけどさー・・・俺が好きなのはだけだよ!!」


「ふーん・・そう。」


「え、何?俺がのことが好きだって言うなら
 もう奢らなくても許してくれるの??」
千石が楽しそうに言った。

「駄目。」
即答。

「何それーー!!」
「あら?さっきどこかでナンパしてたのはどこのどなただったかしら・・・?」
ニコ

「お、俺・・・千石清純です・・・。」
「宜しいvそれで、どうして今はワッフル屋にいるんだったかしらねぇ・・・?」
に許してもらうために俺が奢るって言って・・・・・」
「よく出来ましたv」

そう言うとはにっこりと笑う。


(うわー・・マジ可愛い・・・・!
 でも襲ったりしたら後が怖いしなー・・・保て!俺の理性!!)


「あー!美味しかったー!」
ワッフル屋を出るとはすっごく無邪気な顔して叫んだ。

(いつもこうならもっと可愛いのになー・・・)
「何見てんの?」
が聞いてみた。

「別にvねぇー、奢ってあげたんだしさー、
 今からどっか一緒に行こうよーー!」

普段ならこんなこと言おうものなら
またしても冷たい視線をくらって終わりなのだが・・・

「別に良いけどさ・・・・・」

どういう風の吹き回しか!!なんと「別に良い」とのご意見!!


「マジ!?だって
 いつもはこんな時間からなんて絶対付き合ってくれないじゃん!!」
そう。もう時刻は午後6時。

の家の門限の時間なのだ。

「良いよ、門限くらい。清純と一緒にいられるならね。」
「へ?」


今何と・・・・!?


千石は心の中が明るくなるような、
でも何だか本当に信じて良いのか分からない言葉を聞いた気がした。

「人の言ったことくらい聞いときなさい。」
そう言ったの顔はいつもの黒さはなくって、
ちょっと照れてて「激可愛かった」らしい。


・・・・?」


「清純は女の子なら誰でも良いみたいですしね。
 普段から厳しく言っておきたいからね。」


そう言っていつものように黒く笑おうとする。


でもね、

今のは黒くはなれてないよ。


だって顔、真っ赤だもん。



やっぱ、黒く見えるけど、
中身は可愛い女の子なんだなぁって思ったりしたんだよねー・・・


END


2200HITの山ボンさまに捧ぐ、
千石清純ドリ、初書き!やはりというか順番通り書けなかった・・・(汗)
そしてまたしても黒ヒロイン!!
そして何だか意味不明!!
こんなものしか書けなくてほんっとーにゴメンナサイ;;
そして山ボンさま、リクありがとうございましたーーーーーVv