Afternoon of one day



「ねぇ、お茶しない?」


今時こんなナンパ文句で誘ってくる男がいるだろうか?

数年前で消え去ったと思われたこのナンパ文句・・・・
まさか未だに使っている人間がいようとは誰が予測出来よう。



と・こ・ろ・が!!



今!今私の目の前にいるこの人は堂々とこの言葉を・・・・?

友達の瑠璃が試合してるっていう山吹中ってとこのテニスコートを見た帰り
いきなり声をかけてきたこの少年はっ!

正直一瞬固まったね。ま、返事なんて決まってるけど。


「嫌だ。」


てっきりOKされると思っていたのか、(思う方が間違ってると思うけど)
にこにこと機嫌最高という様子だったその少年は
「えっ?」と慌てた表情になった。



「勿論俺がおごるんだよ!?」

「だから何。」

コイツ本気で成功する気だったのか?


呆れるというより何というより・・・・・


面白い!!


ちょっとからかってみることにした。




「っていうかさ、『お茶しない?』なんて何年前の言葉?
 あ、いや言葉そのものは現代なんだけどさ、
 今時そんな口説き文句にひっかかる女がいると思ってんの?」


「思ってるからやってんじゃん♪」
語尾に♪マークまでついている。

思いっきり自信満々だ。コイツ、本気だ!

可笑しい・・・けど妙に興味深い。
一体何を根拠にそう思ってるのか。



「いるわけないじゃん・・・・・・」
呆れた声で私は言ってみた。

「俺が今まで誘った女の子はみんなこれでついてきた。」
「う、嘘でしょっ!!!?」

思わず目を見開いて聞き返してしまう。

しまった!折角冷静に対応していた私のイメージがっ!!(何)




「嘘じゃないってば!
 俺が誘った子で失敗したの君が初めてだよ。」
「あんたどこに住んでんの?」

北海道か?沖縄か?
どこだそんな言葉に惑わされる女たちがいるのはっ!


「?東京だけど?」

「んなアホな・・・・・・・」

思わず肩の力が抜ける。



「本当だってば〜〜〜!
 だからさ、君も俺と一緒にお茶しようよ〜〜vv」

「一つ聞くけど、今まで君が誘ってきた女の子たちは
 君のどこを好きになったって言うの?」
「え・・・?だって俺が声掛けるとみんな
 『わぁっvvJr選抜の千石さん!?』
 ってキャーキャー叫ぶんだよ?」
「せんばつ?せんごく?」

顔中に?マークを浮かべ私が聞き返した。

「だって、君も興味あるんでしょ?そこから出て来たんだし。」

そう言ってニヤと笑って山吹中のテニスコートの方を指差した。



「テニス?あ、私興味ないから。」


ちょっとあっさり言い過ぎたかな?千石って人一瞬固まってるよ。
ま、どうでも良いけど。

「え・・・だって見に来てたんじゃ・・・・・
 俺ホラ!さっきそこのコートで試合してた千石だよ、
 せ・ん・ご・く!!」
「知らないし。私友達の女テニの試合見にきてただけだから。」



「あ・・そうだったの・・・・・・」



千石という人はかなりがっかりしたようだ。

勿論ナンパになどひっかかるつもりはないが、
何よりこの人、妙な興味を注がれるのだ。


何気にナルシ入った部分もあるけど
今の話聞いてると女の子には人気なようだし、
それに最初の誘い文句は印象的だったし。



色々考えた結果、私の結論はこうなった。



「ま、少しくらいならお茶付き合ってあげても良いよ。」
私は千石さんの方へ向き直ってにこりと笑いながら言った。

「マジ?やっぱ俺ってラッキー☆
 すぐそこにケーキ激ウマの店あるから行こうよ♪」
「良いよ。」



コイツはまだまだ観察の予知があるわね。


というわけで私はこの千石という人と一緒に
喫茶店へと向かったんだ。



「言っておくけど私はお金出さないからね。」
喫茶店の椅子に座りながら私は千石さんに向かって言った。


「俺は女の子におごらせるようなことしないってば!
 あ、そういえばまだ名前聞いてなかったよね。
 ちなみに俺は千石清純だよ♪」
「(コイツ、女慣れしてると見た!
  しかも自分からちゃんと名乗る辺り・・・・しっかりしてるのね。)
 私は。青春学園の高等部の2年。」



「と、年上っ!!!???」
メニューをパタンと落として千石さんは私の方を見た。
「なんか文句あるわけ?」
「え、いや別に・・・・・・
 ところでちゃんは何にする?ここの店どれも美味いよっ☆」

「(いきなりちゃん付け?)
 ねぇ、私馴れ馴れしいの嫌いなのよねー・・・いきなり名前呼び?」

「え?何か変?だってもう俺たち恋人同然なんだし当然でしょ?」




「はぁ?」


誰がいつそんな風になったんだよ。


「いつから恋人になったのよ。」
「え・・・だってちゃんは俺の誘いOKしたワケだしさ。
 それって俺の彼女になることにしたってことでしょ?」
「勝手に意味取らないでよっ!!」
「ま、そういう細かいこと言わないでさっ☆別に良いじゃん♪」

「良くないわよっ!」
「あ、この日替わりケーキセットが良いね。
 ちゃんもこれで良いよね?」


「人の話を聞かんかいっっ!」
「店員さーん!この『日替わりケーキセット』二つお願いしまーす。」

千石さんは片手を勢いよく上げて店員さんに注文した。



「ちょっと千石さんっ!!」
私の話をモノともしない彼に思わず私は立ち上がり
テーブルから身を乗り出した。



と、その時だったんだ。



「あ、スキめっけ♪」


そう言ったかと思うと、千石さんは私の後頭部に手を回し、
そして一瞬のうちに奪われた私の唇・・・・・・



「なっ・・・なっ・・・・・」
真っ赤になった私は後ずさり気味に席に座った。

ちゃん結構ガード堅そうかな〜って
思ってたんだけど案外スキあるんだね♪」
「ちょっ、どういうつもりよっ!!
 こんなに人がいっぱいいるのにっ!!(////)」
真っ赤になった私は唇を摩りながら
涙目気味に千石さんに言った。


「うっわー。ちゃんその顔激可愛いvvもしかして誘ってる?」
「ば、馬鹿っ!」
「あ、それからさ、さっき俺のこと千石さんとか呼んでたけど
 清純って呼んでよね。やっぱちゃん可愛すぎvv」


「い、いい加減にしっ・・・・・・!!!???!?!?」


真っ赤になった私を彼はテーブル越に抱き寄せながら
再び唇を奪っていった。

今度はさっきのようなモノではない。深く、長いキスだった・・・・・・・



ちゃんスキだらけ♪」



「(///////)」


彼にはもうこれ以上何も言えない・・・・
こんなのは初めてよ、全く・・・(////)


思えば彼に興味を持った時点で、
私は彼に好意を抱いてしまっていたのかもしれない・・・


人生最大の過ちとなるか、それとも幸せに繋がるか・・・・・・



ある日の午後の出来事だった。



最近の私の趣味が人間観察なので。(何)
いやいや私はだてに人間観察してませんヨ☆
なのでまたこういうヒロインにしちゃいました。
なかなか更新されない山吹中・・・・
ルドルフ以外は滅多に更新されてませんが・・・・・
今回は管理人的にそこそこ気に入ってたり。(自己満)