恋の駆け引き 第1話
「あーごめん。あたしアンタとは付き合いたくない。」
そう言ってソイツ、はひらひらと手を振って去っていきやがった。
初めてだった。
この俺様がこうもあっさりと振られたのは。
はそこそこ美人で、人気も高かった。
でも、俺は絶対OKされる自信があったんだよ。
はっきり言って俺は自分の顔・学力・家柄・運動能力・全て自信がある。
そんな俺様がなんでこうもあっさり断られたんだよ!?
「ぎゃーははは・・・!!!跡部だっせー!!!」
「ほんまやほんまや!!」
「な、なんでお前ら居んだよ!?」
跡部の告白を陰で立ち聞きしていたのか、向日と忍足が腹を抱えて笑い出した。
「だってよー、たまたま通りかかったら跡部が告白してたんだもん。」
「そうや。こんな面白いもん見逃すアホがおるわけないやろ。」
「お前ら・・・・・」
怒りに打ち震える跡部。拳をフルフルと握り締めている。
「残念やったなぁ、跡部。ま、これに懲りずに頑張りぃや!」
「うるせぇ忍足。お前のどこに人のこと言ってる余裕があんだよ。」
「なっ、なんやて跡部!俺はこれでもなぁ・・・」
「あははは・・・!!ゆーしも言い返されてやんの!」
「がくとっ!!」
こんな感じですっかり賑やかムードな跡部たち。
しかし跡部少年、一度断られたくらいで諦めるヤツじゃない。
俺様のプライドをボロボロにしたこと、後悔させてやるぜ。
「ー。あんた跡部くんにに告られたって本当?」
「んー、本当だよーってなんで知ってんの!?」
次の日、学校へ来るなりそのようなことを言い出す友人神楽レナにが聞き返した。
「だってすんごい噂になってるよー。
跡部くんが初めて女の子に振られたって。新聞部も騒いでたし。」
「マジ・・・・?」
「けどさ、って跡部くんのこと好きなんでしょ?」
「え、え・・・?何のことかしら・・・?」
「何惚けてんのよ。なんで振ったの?もう飽きた?」
「ん・・・いや、そういうわけじゃないんだけどね・・・・まぁ色々とよ。」
「はぁ?」
は一つ考えた。
跡部の性格からして、自分が振られたなんてことを人に話すはずがない。
自分だってまだ誰にも話していない。
それが皆が噂しているということは自分たち二人以外の誰かが噂を広めてるということ。
その頃、3年のとあるクラス。二人の少年の周りに人だかり。
「ほんでなー、跡部の奴、そこで真剣な顔して言うたんや!
『お前、俺の女になれ』ってな。」
「跡部らしいよなー。『付き合ってください』とかマトモな告白できねーのか、って感じ!!」
おかっぱの少年と関西弁のメガネの少年。
二人がそう話すと周りに群がっていた生徒たちは興味津々にざわざわと騒ぐ。
「にしても意外だなー。あの跡部が自分から告るなんてよー。」
「ほんとほんと。」
周りの生徒たちが口々に言う。
「それで?そのあとどうなったんだよ?」
「そしたらちゃんが『あーごめん。あたしあんたと付き合いたくないから。』言うて、
その後の跡部の反応を何にも聞かずに去っていきよったんや。」
「ぎゃはははは・・・!!!さん最高!」
「っつーか跡部も傷ついてるだろうな。あいつ女に関しては無敗だっただろうから。」
「だろだろー!?跡部、昨日の夜、きっと寝られなかっただろうぜ!」
「ははは・・!ぜってーそうだ!!!」
「俺様がどうしたって?」
跡部の話題と忍足と向日が他の男子生徒に話し、皆が盛り上がっていたさなか、
突如背後に低い声と共に人影が現れたのだ。
皆恐る恐る振り返ると、そこに立っていたのは腕を組んで仁王立ちした跡部景吾(+樺地)
コメカミがピクピクしていて、かなり怒っていると言って良さそうだ。
しかしよく見ると彼の頬は誰かに叩かれたように赤く腫れている。
「「「「「あ、跡部・・・・・」」」」」
何と言えば良いのか、フォローの仕様の無いのこの状況に、ただ固まる生徒たち。
「忍足、向日、やっぱりお前らか・・・・・・」
二人をこれでもかというくらいにらみ付けて跡部が言った。
「な、なんのことやろーなー岳人・・・?」
「さ、さぁなー?俺たち何にもしてねぇよな、ゆうし・・・?」
「あ、当たり前やろ!!」
目の前で怒りに打ち震える跡部を目の当たりにしながら、
二人は冷や汗をダラダラと流して言った。
「朝学校に着いてみれば今まで付き合ってた女がいきなり頬にビンタくらわしてきやがった。」
跡部は表情を変えないまま静かに言う。
「そ、それは大変やったなー。きっとお前の浮気性にうんざりやったんやろ。」
忍足は必死に苦笑いしながら作り笑顔で答える。
「その後、教室に来てみればクラスのやつ等が全員俺を見てやがる。」
「な、なんだよ跡部・・・注目されてるってことだろ?もと喜べよな。」
向日も必死にフォロー。
「あげくの果てにクラスのそこら中で『跡部がに告白した』という噂が回ってやがる!
これはどういうことだ、忍足!向日!あぁ!!?」
バンッという大きな音を立てて机を叩いた。
物にあたっちゃtいけませんよ跡部くん。
しかし、忍足・向日ペアはついに開き直ってしまう。
「な、何や跡部!俺らは別に嘘は流してへんで!」
「そ、そうだぜ!!俺たちは事実をみんなに伝えてただけだからな!!!」
「事実だろうと嘘だろうと知るか!てめぇら名誉毀損で訴えてやるぜ!!」
「何言うてんねん!
振られたことみんなに知れただけで名誉が潰れるっちゅー跡部の感覚が可笑しいんやで!」
「そ、そうだぞ跡部!ここで俺らの話聞いてたやつらは何回振られてると思ってんだよ!」
ひゅ〜〜〜〜
一瞬場の空気が凍りついた。
否定出来ない事実をいわれてしまったため、言い返せない他の生徒たち。
「そんな下等なやつ等とは俺様は違うんだよ!
高貴な俺様のプライド傷つけやがって!!」
「本当のことやろうが!!」
こんな状態で平行線なやり取り。しばらく終わりそうにない。
ところが、向日の勇気ある(というより愚かな)一言で場の話の展開は変わる。
「はん!跡部、そんなに悔しいんだったらを本当に彼女にしてみろよ!」
「んだとっ!!!?」
その後何か言おうとしたようだが、言い返す言葉がなく『うっ・・』と跡部は言葉を飲み込んだ。
「フフン・・・良いぜ。
あの女に俺を振ったこと、絶対後悔させてやるぜ・・・・・・」
自信満々にニヤリと笑うと跡部が言った。
「自信あるのかよ跡部。じゃ、何賭けるんだ?」
向日も負けじと口元で笑うと場を取り仕切るような言い方で言った。
「(人の恋を賭け事に使うのかよ!)何でも賭けてみろよ。
俺は一週間であの女を俺のものにしてみせるって約束するぜ。」
「よーしっ!言ったな跡部ーーーーー!!!!!」
向日が滅茶苦茶嬉しそうに目を輝かせて跡部に聞き返す。
すると忍足になにやら耳打ちを始めた。
「お前、後でどうなっても知らんで・・・・」
向日の耳打ちを聞いた忍足が呆れ顔で言った。
「はん!跡部だってたまにはこんな風になればいんだよ!」
「何のことだよ。」
跡部が二人に問い掛ける。
「いいか、跡部。
もし一週間でさんから『OK』の返事を貰えなかったら、
その後一週間、跡部は俺たちの言うこと何でも聞くんだぜ?」
向日はかなりわくわくした調子で話す。
「やってやるぜ。」
跡部はニヤと笑うと言った。
勝手に賭けの対象にされてしまったさんは可哀想ですが。
賭けの期間は一週間。
その間に本当に跡部はを自分のモノに出来るのでしょうか。
第2話へ
跡部たん微妙・・・・・
なんか結構長くなっちゃいそうです〜;
ってか私って連載始めると続かないもんなぁ・・・(死)
けど頑張ります。
ヒロインちゃん微妙に黒くなるかもー・・・(またですか。)
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