恋の駆け引き 第2話
「なぁ岳人・・・お前本気で言うてるんか?」
「何がだよ?」
「せやから・・・さっきの賭けのことや・・・・」
朝の出来事。成り行きからが一週間で跡部に惚れるかという賭けが成立してしまった。
「何言ってんだよゆーしっ!面白ぇじゃん!!」
「せやけどな、賭けの対象にされたちゃんの身にもなってみぃ・・・?」
「ハン!たまには俺らだって跡部をコキ使ってやるぜ!日ごろの恨みだ跡部ーーー!!」
「(岳人・・・お前はアホか・・・)せやけど賭けが終わった後とかが怖いで?
それに俺やったらちゃんが跡部を振ったんなら今がチャンスと思って奪ったろう思うけどなぁ?」
二人は一限目が終わると、の教室を目指して廊下を歩いていた。
「甘いぜゆーしっ!ちゃんを奪うのは賭けに勝ってからだって遅くはないんだぜ!
俺はその前に跡部を従えてやるんだ!!」
ポケットにしまっていた手を出してコブシを握り締めて、興奮気味に言った。
「(俺ダブルスやめようかいな・・・)せやけど・・・賭けに確実に勝てる自信があるんかいな?」
忍足は相変わらずの表情で向日につっこむ。
「だーかーらー!!これから一週間俺たちは跡部の邪魔することに専念すんの!」
「そんな暇あったらテニスの練習しいや・・・」
「ゆーしはちゃんがあんな跡部みたいな狼に取られちゃっても良いのかよ!?」
「いやそらよくは無いと思うけどな。でもどうやって邪魔するかとか決めてるんか?」
わくわくする気持ちを隠せないでいる向日に忍足がため息交じりに聞いた。
「いいか、ゆーし!とりあえずちゃんは跡部を振ったんだから、
今の段階では跡部のことは好きでないってことだろ?」
「まぁそういうことになるな。」
きらきらと目を輝かせて同意を求める向日に忍足はとりあえず頷いてみる。
「だろ?ってことは、今の段階では俺たちが有利ってことだぜ!」
「今の段階では、な・・・・」
忍足は『ちゃんは多少は跡部を意識している』と考えていた。
だからこの一週間、跡部が攻め続ければも振り向くかも、と思っていたのだ。
「じゃあこれからもちゃんが跡部を好きにならないようにするのが俺たちの仕事だぜ!」
「仕事なぁ・・・・」
「まずはちゃんにこの賭けのこと教えてやるんだ!!!」
「それで今ちゃんの教室に向かってるんかいな。」
「あぁ!ちゃんだって賭けの対象にされてるなんて知ったら
きっと跡部にOKなんてするもんか!って思うだろうぜ!!!!」
「(コイツ、黒いな・・・・・)」
二人がそんな会話をしていたさなか、のクラスへ到着した。
教室の扉を開くと、二人は一緒にの姿を探した。
「あ、おったで、岳人。」
「よーしっ!いくぜ、ゆーしっ!!」
そう言って向日は忍足の手をひいての席へと近付いて行った。
「なぁちゃん?今からちょっと時間ええか?」
いつものナンパ口調(何)に忍足が誘った。
「今から?別にかまわないけど。」
は一緒に話していた友達に『ちょっと待ってて』と告げると、
忍足と向日について行った。
「どうかしたの?」
しばらく廊下を歩いた辺りでが二人に尋ねた。
「あんな、ちゃん。怒らんで聞いてくれや。」
「???」
「実はさ、跡部と俺らで賭けしてんだよ。」
「賭け???」
全く話の流れが掴めない。
「そ、賭け♪跡部が一週間以内にちゃんを自分に落とせるかどうかの賭けなんだよ。」
「はぁ????」
思わず間抜けな声が漏れてしまった。
「この前ちゃん、跡部に告られとったやろ?」
「あ、うん・・・まぁ・・・・・」
「それでそのことみんなに知れ渡っちゃってるじゃん?」
「うん・・・なんであんなに噂になっちゃってんの・・・?ってかなんで二人も知ってんの?」
「う・・・・いや、その辺は置いといてさ、
とにかく皆の噂になっちゃってプライドぼろぼろになった跡部が
一週間でちゃんを自分のものにするとか言い出したんだよ。」
「あたしの知らないとこで何が起こってんのよ・・・・・」
驚きの余りポカンとその場に立ち尽くすが呆れ顔で言った。
向日はそれに同意するように頷くと(勿論演技)また話し始めた。
「それでさ、跡部の奴俺らにもどっちかに賭けろって命令してきてさ・・・・」
「は・・・?ちょー待て岳人!?それは違うやろっ・・・・・ッっ・・・」
グニュッ
岳人が忍足の背中をにわからないようにつねった。
「それはお気の毒に。それでお二人さんはどちらに賭けたの?」
「勿論、無理っていう方に賭けたぜ!」
「ふーん、そうなの・・・・」
「じゃああんた達の勝ちだよきっと。」とも「悪いけど・・・」とも何とも言わない。
微妙な返事では返した。
「それでさ、ちゃんの今の気持ちを聞こうと思ってな。」
つねられた背中をさすりながら作り笑顔で忍足が尋ねる。
「だって昨日告白されて振ったんだもの。
『付き合いたくない』これは今も変わってないわよ。」
がそう言うと向日は嬉しそうにニターッと笑って言った。
「そっかー♪そうだよなっ♪よっし!見てろよ跡部ーーー!!
絶っっっ対今までの積年の恨みを数十倍にして返してやるかんな!」
「(積年の恨み・・・?)とにかく今は跡部くんとは付き合う気ないから。安心して。」
「ま、これで一安心っちゅーことか・・・・」
はしゃぐ岳人、つられて苦笑する、ほっと胸を撫で下ろす。
だが、岳人はさらにもうひとつ質問を投げかける。
「ねぇもうひとつ聞きたいんだけど?」
「なぁに?」
「ちゃんは今好きな子いるの?」
「え?いるように見える?」
見事に疑問符ばかりが並んだ会話である。
「見える・・・かな・・・・?」
実際はよく分からないのだが、『好きな人がいる』という返事を期待していたのであえてこう聞いてみる。
「そう?じゃあ『いるよ』とだけ返事しておくわ。」
「そっか。ありがとな!!」
そう言って別れるとは自分の教室へと戻って行った。
「完ッ璧だぜゆーしっ!!!跡部が成功する確率はゼロだな!」
「あんなぁ岳人、どっかのデータマンやないんやから、
適当な聞き込みで成功率を出すもんやないで。」
両手でガッツポーズする向日に忍足は冷め切った声で言った。
「だって聞いたろ。ちゃんは跡部とは付き合う気はない。
おまけに今好きな奴もいる。もう跡部勝てる可能性ゼロじゃん!!」
「まぁそうなんやけどな・・・でもどうもひっかかるんやけどなぁ・・・・」
「何がだよ?」
ノリの悪い忍足に、不機嫌さを浮かべた岳人が聞き返す。
「いや、何ってわけやないんやけど・・・なんや俺のカンや・・・・」
「ハン!そんなん当てになるわけねーだろ。」
岳人もプイとそっぽを向く素振りを見せて言い放った。
「ま、今更ひかれへんしなぁ・・・とにかくちゃんがOKせんことだけ祈っとこ・・・・」
「だからちゃんはOKしないってば。」
その日の帰り、跡部&樺地は監督の元にいた。
「監督・・・・」
「どうした跡部。」
突然呼び止められた榊は無表情のまま跡部に振り返った。
跡部はその場で一礼すると自分の目的を話し始めた。
「実は、マネージャーに推薦したい生徒がいるのですが。」
「誰だ?」
「E組のです。」
「か?」
「はい。今でもマネージャーは何人かいますが、
もう一人くらい、レギュラー専属の(っつーか俺専属)マネージャーがいても良いのではないかと。」
「確かに・・・お前の言うことはもっともだな。はどう言っているのだ?」
「まだちゃんとした返事は貰ってませんが明日にでも交渉するつもりです。」
交渉が成立してもいないのにいきなり監督に言いに行くなんて・・・・
「良いだろう・・・なら行動力もあるからな。
明日、お前からのメネージャー入部届を受け取れることを願っているぞ。」
監督はそれだけ言って去って行った。
へっ、。俺から逃げられると思うなよ。
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岳人じゃねーーーーーー!!!!(第一声)
こ、こんなのがっくんじゃないべ・・・っつーかがっくん黒い・・!忍足白い!!可笑しい!!
なんか話の成り行きでこうなってしまった・・(どういう成り行きですか)
がっくんは受けなのに・・・黒いのは忍足なのに・・・・
馬鹿で可愛いがっくんと忍足がフォローするってのが理想のカップル・・ゲフッゲフッ・・・・
いつどこでこうなったんだ。
まぁなんにしても跡部も災難ですね。
それにしてもこれは本当に跡部ドリームなんでしょうか?
跡部出番少なッッ!!
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