恋愛相談室 前編

東京都某都市の中。

氷帝学園に通う一人の少年は
恋する男子たちを救うべく働いている少年。


彼の名は忍足侑士。

自称『恋愛相談士』である。



「おい忍足・・・・・」
「なんや跡部?」
「お前はいつまでこんなくだらねー相談室開くつもりだ?」
「恋する少年たちを幸せにし切れるまでや!」
「・・・・・・・」

自信満々に言う忍足に跡部は言葉も出ない。

「ええか跡部。世の中お前みたいに
 何でも思い通りに恋愛出来る男ばっかや無いんやで!
 世の中にはなー、思いが届かず困っている少年たちがいっぱいいるんや!
 俺はそんな少年たちを救うべく、こうやって恋愛相談室をやなー・・・・・・」

「樺地、いけ・・・・」
「ウス。」


今日も忍足少年の恋愛相談室(男テニの部室)は大賑わい(?)である。


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そんな彼らの元へ、今日は一人の悩める少年がやってきた。



「あの・・・忍足先輩・・・・・・」
そう。この少年の名は鳳長太郎。
とても健全で、純粋で、素直で可愛らしい中学2年生である。

その可愛らしい少年のはずの彼が、
これからこの恋愛相談士忍足のせいで、
どんどん汚されていってしまう・・・これはそんなお話である。(何)


「どうしたんや鳳?
 お、そないな顔して、さては恋の相談やな!」
「え・・・あ、、いや、その・・・・・・・」

鳳少年は顔を赤面させる。
その様子を見た忍足少年はニタッと笑い、
鳳少年の肩をポンと叩いて言った。

「気持ちは分かるで、鳳!何でも相談してえな!」
「あ・・・その・・・・・」

「ほんで?相手は誰なんや?」

「え・・っと・・・その・・・・・・・」
ますます顔を赤くする鳳少年。可愛いぜこんちくしょー!

「安心せぇや鳳!俺は恋する少年の見方やで!
 プライバシーは守ったるさかいな、安心して話してみぃ!」

と忍足本人は言っているが、
彼の後ろで呆れ顔で見ている跡部少年がいることは
否定しようの無い事実である。

しかし純粋な鳳少年。
すっかり忍足を信用してしまった彼は思い切って告白する。

「えっと・・・俺と同じクラスのさん・・・なんですけど・・・・・・」

ぴく。
その言葉に跡部少年が反応した。
・・・?」

そう。実は跡部少年もそのという少女に目を付けていたのだ。
これは鳳少年、いきなりピンチか?


「おぉ!あのちゃんやな!
 ほんまかわええもんなぁ!羨ましいで鳳!!
 せやけど恋する少年を守るんが俺の仕事やからな!
 俺はお前の恋を応援したるで!!」
「そ、そんなっ!まだ俺の一方的な片思いで・・・・!!」


「おい。」
跡部少年の低い声が忍足少年の後ろから飛んできた。
が。


「いやいや!俺の恋愛相談受けていけば成功率200%やで!」
忍足少年は跡部少年の言葉は無視である。


「おい忍足。」
怒り気味の跡部少年がもう一度忍足を呼ぶ。
が。


「まず、さんとはどのくらいまで行っとるんや?」
またしても忍足少年無視。
「そんなに仲良くも無いッスよ。
 ただ当番の時とかはちょこっと喋ったりするくらいで・・・・」
「そうなんか・・・ま、普通のクラスメートってとこやな。」


「待て。聞け。」
跡部少年怒りメーター上昇。
が。


「ほならまずは友達以上にならなあかんな!
 それにはまずはやっぱ携帯と家の電話番号・それから住所を聞くことや!」


「あれは俺の女だ。手ェ出すな。」
ついに跡部少年率直に言ってしまった。
が。


「えぇか。番号聞き出す時っちゅーんはな、怪しまれたらあかん!
 自然〜な感じで聞き出す!これがポイントや!」
「は、はい!!」
力を込めて頷く鳳少年。
すでに彼の目にも跡部少年は映ってはいなかった。


「お前ら。いつまで無視してやがる。」
跡部、怒りメーター120%。
が。


「次にや、携帯の番号教えてもらったら
 その日のうちにメール送るんがマナーやで!」
「えっでも迷惑に思ったりしないんすか?」
「それはな、ほんまに嫌われとったら鬱陶しいと思われるやろうけど、
 それほど嫌いでなかったのなら女の子は嬉しいと思うもんなんやで!」
「そ、そうなんですかっ!?」

「(そ、そういうもんなのかっ・・・!?)」←跡部

「そういうもんやで!
 『携帯の番号教えてもらっちゃって嬉しくって早速メールしちゃいました。』
 くらいで送ってみ!絶対女の子は気惹かれるもんやで!」
「は、はいっ!!」


「(おい樺地、メモ帳持ってこい・・・・)」
小声で樺地くんに囁く跡部少年。
「ウス。」
メモ帳を取りに走る樺地少年。


「えっと・・・それじゃあ携帯の番号を自然に聞くっていうのは
 具体的にどんな感じで聞けば良いんですか・・・・?」
「せやなー。まぁこれもクラスメートよりはちょい上くらいにならなあかんでなー。
 ある程度仲良くなっとれば結構簡単やけど・・・・・」
「でも俺はまだ・・・・・・」

さんとは席は近いんか?」
「え?あ、はい。割と。斜め前っすから!」
「何やそれやったら簡単やないか!仲良くなる方法いっぱいあるで!」
「ほ、本当ッスか!?」


「樺地・・・必要なとこがあったらメモっとけ・・・・」
「ウス・・・・」


「方法その1:授業中わざと消しゴムを落として(さんの方に)
 『すみませんさん。拾ってください』って言うんや。」
「は、はい!」
鳳少年は真剣に忍足少年の話に聞き入る。

「方法その2:誰だってノート取り忘れる時っちゅーんはあるやろ?
 特にあの数学の時間の進む速さなんてのはありゃぁもう殺人的やで!!」
「そ、そうッスね!」


「それはお前が馬鹿なだけだ、忍足。」
つっこむ跡部少年。

「せやからな、さんがノート取れなくて困ってる時に、
 授業後さりげなく、『よかったらどうぞ』なんてノート貸してやるんや!
 もうさんはお前のこと気の利く男やと思ってメロメロやで!!!」
「な、なるほど!!」

「その二つやっとけばさんも少しはお前のこと気ぃついてくれるはずや。
 あとは掃除かなんかしてる時に『手伝いましょうか?』なんて言ったら完了やな。」
「す、すごいですね忍足先輩!」

「そんで放課後一緒に掃除した後でそのまんま一緒に帰って
 その帰り道で携帯の番号ゲットや!!」
「お、俺少し感動しました!忍足先輩!!!」
「それから携帯番号聞く時に、
 『この前面白いチェンメが来たんですよ。良かったら送りましょうか?』
 なんて言えば完璧やで!」

「(そういうもんなのかよ・・・・!?)」←跡部


「よし!作戦は分かったな!ほな、健闘を祈るで!!」
「はい!忍足先輩、ありがとうございました!!!」
「俺のことは恋愛相談士と呼んでや!!」
「はい!!!」


元気よく返事をして、鳳少年は部室を出て行った。

「さぁ跡部、俺らも行くで!!」
「あぁん?行くってどこへだよ!?」
「何言うてんねん!
 恋愛相談士として、依頼者の恋は最後まで見守ってあげないかんやろ!」
「だからってなんで俺まで行くんだよ!」
「お前は俺の助手になり、跡部!」
「なんで俺様がんなことしなきゃなんねーんだよ。」
「全国の少年のためや!我慢しぃ、跡部!!」


「樺地、逝け・・・・・」
「ウス。」

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最近氷帝フィーバーな管理人です。
もう跡部が!忍足が!ちょたが!!好きで好きでたまらんです・・・・
ってか前編ヒロインちゃん出てませんね・・・・(汗)
後半は鳳くん、決死にヒロインに近付きますので!!