相談室再び 前編

 「お、忍足先輩・・・!!」
 「お、鳳やないか!あれ以降、さんとはどや?」

 今日も賑わう忍足少年の恋愛相談室。 彼のお陰で自分の想い人・少女と結ばれた鳳少年は、心から忍足相談士のことを尊敬していた。

 そんな彼は今日も忍足少年の元へやってきた。 そしてその彼に反応する(恋愛相談室助手)跡部少年。


 「実は・・・・その・・・・また相談に乗ってもらいたいことがあって・・・」
 「おう!何でも相談しぃや!」


 「お前ら、もっと静かにしろ・・・・・」
 一人不機嫌なのは跡部少年☆(この星は一体・・・?)


 「ほんで?何があったんや?」
 「はい!じ、実は・・・その・・今度さんと一緒に遊園地行くことになって・・」
 跡部少年を無視して話し始めるお二人さん。

 「ほんまか!?ちゃんと進展しとるやないか!」
 「は、はい!忍足先輩のお陰です!!でも俺こんなの初めてだし、その・・・さんにどんな風に接してあげれば良いのか分からなくて・・・」


 「フン、情けないなぁ、樺地。何なら俺がと見本見せてやろうか?」
 つまらなそうに頭に手を当て二人を見ていた跡部少年が、ニヤと笑いながら二人に向かって言う。
 が。


 「そうかそうか!そういうことやったら俺に任せとき☆」
 「は、はい!流石忍足先輩です!!」
 ぱぁっと輝く笑顔で言う鳳少年。


 そして不機嫌メーター上昇モードの跡部少年。コメカミがピクピクしていて爆発寸前状態のご様子です。


 「まずデートっちゅうんは始めが肝心や!遅刻は厳禁やで!待ち合わせ30分前に着いてまう勢いで上等や!」
 「も、勿論!絶対遅れませんよ!!!」
 「せや!ほんで待ち合わせ15分くらい前になったら『楽しみで早く来過ぎてしまいましたよ。』のメールやな!!」
 「な、なるほど!やっぱり女の子ってメールに弱いんですか・・・・?」
 「勿論やで!」


 「(そうなのか・・そういうもんなのかよ・・・・?)」(←メールはほとんど打たない跡部少年)


 「そんで次は遊園地の中やけど・・・とりあえず会話を絶やしちゃアカンで!とにかく盛り上げるんや!」
 「た、たとえば・・・?」
 「例えば?例えば俺みたいにこういっつも賑やかにな、彼女笑わせるようなギャグで場を暖かくしてやるとかな・・・!」


 「それじゃ逆に場が冷えるぜ、忍足・・・・」
 ボソリと呟く跡部少年。
 いつも無視されっぱなしの彼の発言だが、今回は見事に忍足少年にツッこんだ。


 ヒュ〜〜〜

 寂しい風が吹いた。


 「ま、そんなことはええとして・・・・次にや、中入ったらやっぱ男らしいとこ見せなアカン!せやからお化け屋敷かジェットコースター当たりに乗って、『きゃ〜〜怖いよ〜鳳〜〜!!』言う彼女に『大丈夫ですよさん。』くらい言うてやるんや。」


 関西弁トーンで話す忍足少年の話に跡部少年は一瞬言葉を失った。しかし、このまま彼を暴走させるのは危険と悟ったか、(流石部長)
 「耳障りな声出してんじゃねーよ、忍足。死ね。」
 跡部少年の冷たい一言。だが、健全な鳳少年は忍足少年をフォローする。


 「跡部先輩、ダメですよそんな言い方しちゃ!!忍足先輩は俺のために自らの体を這って色々教えてくれてるんですよ!こんなに恥ずかしいことでも忍足先輩は気にせずやってくれてるんです!そんな恥ずかしい先輩に酷いこと言っちゃ駄目ですよ!!」


 「・・・・・・・」
 「・・・・・・・」


 ヒュ〜〜〜

 またしても冷たい空気が流れる。


 「鳳・・・・」
 「あ、忍足先輩、どうぞ続けてくださいv」
 一点の曇りすらない太陽のような笑顔で言う鳳少年。

 ひょっとしたら彼は跡部少年よりも強いのかもしれない・・・・

 「ほ、ほな続きいくで・・・・」
 必死に平然を装う忍足少年。

 呆れ顔で見る跡部少年。



 「それからな、初デートで是非とも収めておきたいんが手を繋ぐことと一緒に写真撮ることやな。」
 おぉ。意外と普通な忍足少年。跡部少年なら間違いなく『初デート=初H』
 「や、やっぱそのくらいは進展するもんなんですか・・・?」
 なんと可愛らしい鳳少年。 顔を真っ赤に染めて焦りながら忍足に問う。


 「初デートで手ェ繋ぐだけなんて進展遅すぎるだろーがばーか。」
 やはりそう言うか跡部少年。しかしここにいるのは君と違って純粋な可愛い少年なのだぞ。頼むから汚さないでおくれ。


 「あぁ!まぁお化け屋敷にでも入れば嫌でも手繋ぐことになるわ!写真はまぁ使い捨てカメラ持っていくか、帰りにプリクラ撮るかやな。」
 いつも通り無視される跡部少年。もう至極自然な光景になりつつある。
 「へぇ・・・写真撮るのって・・・さん嫌がったりしないでしょうか・・・?」
 「お前らちゃんと付き合ってるんやろ?それやったら彼氏と一緒に写真撮るのは女の子だって嬉しくて仕方ないと思うで?」
 「な、なるほど・・・・!!」


 「写真なんて嬉しいのはその時だけだぜ。意味ねぇな。それより男女の証ってのは体に付けるもんだろ・・・・?」
鳳少年を汚すな、跡部少年!!!!


 「跡部、お前さっきから五月蝿いで。ちょっと黙っとき。」
 今まで散々無視しといてそれは無いだろう、忍足少年・・・・・
 「とにかくや、鳳!ほんの少しでもえぇからちゃんと進展することを考えとき!少なくとも手だけは繋ぐんや!分かったな?」

 「は、はい!!!!」
 忍足少年の意気込んだ発言に、やる気満々で拳を握り締めて答える鳳少年。その瞳は忍足への尊敬と、デートへの楽しみからキラキラと輝いていた。



 こうして、今日も忍足少年の恋愛相談を受けた鳳少年。
 今週の日曜日はいよいよ少女とのデートである。


 張り切る鳳少年、
 そして尾行しようと張り切る忍足少年、また無理矢理連れて行かれることになる助手・跡部少年。

 デートの結末はいかに!

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また書いてしまった恋愛相談室。(死)
なぜか相談士忍足少年を書くのが楽しくて仕方ないこのシリーズ・・・
ぜひもっと書きたいもんですねぇ・・・・(もう書くな)

それにしても・・・
相変わらず前編はヒロイン無しですね。(オイ)