今日も氷帝学園テニス部部室・・・もとい、『恋愛相談室』には
 人の悩める子羊の姿があった。

 彼の名は、鳳 長太郎

相談室再び 中編

 その日一日、鳳少年は落ち着かなかった。
 何故ならば・・・明日は、初めて出来た彼女との初めてのデートなのだ。
 そこで氷帝1の色男(←自称)忍足に相談したところ、またもや余計なことを吹き込まれたらしい。


 「あぁ〜〜〜!!先輩は雰囲気にまかせや♪なんて言ってたけど・・・!! 初デートでさんを襲うなんて俺には出来ません・・・・!!
 あッ、でももしさんがそういうことを期待していたら、意気地の無い男と思われてしまうのだろうか・・・!?あぁああ俺はどうすれば良いんだ・・・!!!?」


 こうして夜は更けていくのであった・・・。



 ―翌日―
 「うわぁぁぁ!!」
 昨日、緊張のあまり眠れなかった鳳少年は、あろうことか、寝坊してしまったのだ。
 「行ってきます!」
 慌てて家を出たものの、もう既に約束の時間を1時間も過ぎている。
 それでも鳳少年は全速力で待ち合わせ場所である駅まで走る。 日頃、テニス部で鍛えられているお陰で結構速い。

 (さん、呆れて帰っちゃってたりして・・・)
 そんな不安が、鳳少年の頭をよぎる。


 駅に着いて、辺りをキョロキョロと見回す。
 それらしい人物はいない。

 (さん・・・やっぱり帰っちゃったのかな。)
 鳳少年が、がっくりと肩を落としていると、
 「鳳くん?」
 と、背後から聞き覚えのある声で名前を呼ばれた。

 「さん!!!」
 振り向くと、そこには今一番会いたいと思っていた人物が立っていた。
 初めて見た私服。
 (制服も似合うけど、私服だともっともっと可愛い・・・いやそうじゃなくて!!!///)

 「あのっ・・・」
 「わざわざ走ってきてくれたの? ・・・・・有難うね///」
 「え・・・俺、遅刻したのに・・・怒らないんですか?」
 「え?普通はココで皆怒るものなの?」
 「そりゃ・・・怒るんじゃないですかね?」
 「そうなんだぁ・・・。でも鳳くんだってワザとじゃないでしょ。そんなことより、早く行こっ♪電車来ちゃうよ。」
 「は・・・はい!!」


 「全く・・・デート初日から遅刻するなんて鳳は何考えとんのや!」
 街路樹の陰から見ていた忍足少年が声を挙げた。
 「フフン。アイツは女の経験が無さすぎんだよ。やっぱあの女に相応しいのは俺様だろ?」
 「跡部、人の女は取ったらアカン。お前も恋愛相談室相談員の一人としてそのくらい弁えんと・・・・」
 「
俺は相談員じゃねぇよ!
 「何言うとんねんvお前も今日着いて来たっちゅーことは俺の助手としてそれなりの意識が出てきたってことやん?」
 「
てめーが引っ張ってきたんだろーが!!
 「照れんでもええやん。」
 「やれ樺地。

 こうしてこの二人も当然というか、ストーキングである。


 そして、一行は電車へと乗り込み、遊園地へとやって来た。


 「うわー!私遊園地って久しぶりだなー!ねぇねぇ!鳳くんはまず何乗りたい?」
 「(嗚呼そんな可愛い顔でこっち見てっ!)え・・・?えーっと・・俺は何でも良いですよ。さんはどうなんですか?」
 「う〜ん・・・どうしようかなー。」
 そう言って少女はパンフレットを見ながら考え込んでしまった。


 「鳳のアホッ!なんでそこでお化け屋敷言わんねん!!」
 サングラスと帽子を着用した二人(跡部少年も強制的に付けさせられた。ちなみに忍足少年の自腹らしい)が華々しいでき立てカップルの後をつけていた。
 「なんでお化け屋敷なんだよ・・・・」
 彼もパンフレットを片手にしているところを見ると遊ぶ気満々なのだろうか・・・
 「跡部、お前は分かっとらんなぁ・・・お化け屋敷へ入ったら女の子が『キャー怖い!助けてー!』っちゅーんがデートの常識やん?」
 忍足少年は妙な関西弁のトーンで声を1オクターブ高くして言った。
 「気持ち悪い喋り方すんじゃねぇよ・・・・っつーかデートの常識っつったら観覧車だろ?」
 「おっ跡部って結構ロマンチストなん?」
 「バーカ。こういう時はヤれる場所を選ぶのが常識だろ。知ってるか?最近の観覧車ってカーテン付いてるんだぜ。(ニヤリ)皆色々試してみたがるもんなんだよなぁ・・・」
 「・・・・。 あ、二人が歩き出したで!後付けるんやからな!」
 「ちっ・・・面倒くせぇ・・!!」


 「んーじゃあジェットコースターか観覧車が良いなぁ・・・」
 「え・・・ジェットコースターか観覧車?(また正反対のモノを・・・)じゃ、じゃあまずはどっち乗りましょうか・・・?」
 「うーん・・どっちも捨てがたいんだよなぁ・・・」
 「そ、そうですか・・・」


 こういう時、彼氏ならどういう決断を下してあげるべきなんだ・・・!?
 いや俺はどっちでも良いんですよ!さんと一緒に居られるなら!!! だけどここで中途半端な返事して『頼りない』なんて思われてしまうのは困るし・・・!
 嗚呼俺はこういう時どう言うべきなんですか・・!?忍足先輩なら・・・何て言うんでしょうか・・・・!!
 ジェットコースターって言うのはやっぱり男の方が『大丈夫だよ』みたいな感じでかっこよく女の子を守ってあげるのが普通なんですよね・・・?
 じゃ、じゃあやっぱジェットコースターを選ぶべきですか・・・?
 いやいや観覧車のカップルって言うのは・・・・・・・


 ・・・・・・・・・・


 この時、鳳少年の頭の中でとあることが余技ってしまった。


 な、何考えてるんだ俺はっ!!!
 べ、別に観覧車に乗ったカップルは皆セックスしてるワケじゃ・・・・ない・・・ですし・・・・
 ハッ!も、もしかしてさんは俺を試してるんですか・・・!? ワザと2つの中から選ばせて、俺の意思を問おうと・・・!?
 じゃ、じゃあさんは誘ってるっていうんですか!?俺は『観覧車』って答えるべきなんでしょうか・・・!!



 「え、えーと・・・じゃあ最初は観覧車行きましょうよ。ゆっくりお話したいですし・・・・」
 「そだね♪じゃあ行こうー!」
 そう言って二人は観覧車へと歩き出した。



 「あ、あの二人、観覧車へ行くみたいやん。」
 「鳳のヤツ、結構やるんだな・・・女経験無さそうだったから楽勝だと思ってたんだが・・・いや、勿論俺なら楽勝だが・・・侮れないぜ。」
 「何一人でブツブツ言っとんねん・・・。」
 そう言いながらも二人はしっかりと鳳少年と少女の後をついていった。


 「うっわー!ここの観覧車って大きいんだねー。」
 「そ、そうですね・・・・。」



 っていうかさん・・・!大きさじゃなくてもうひとつ、注目してほしい点があるんですけど・・・・!
 だ、だってここの観覧車・・・!ここの観覧車って・・・・!!!!

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久々の更新です、このアホシリーズ・・・(汗)
アキラちゃんとの合作です。
どこをどっちが書いたか分かりますか??(笑/分かるわけねーだろ!!)
跡部と忍足が出張ってるように見えますがこれのポイントは妄想してる長太郎ですので。
ってか跡部がアホすぎですいません・・・・(^_^;