罠 第3話
とりあえずまずは観月に少しでも近付くことが第一だと思った。
このまま毎日・毎放課観月のところに通いつめるだけじゃラチがあかない。
まずは観月の行動に合わせてやろうじゃないの!あたしがね。
ふふ・・・待ってなさいよ観月・・!!
次の日、私はいつもより1時間も早く起きた。
と、いうのはテニス部の朝練を見に行くためである。
テニス部はご苦労なことに、毎朝早くから練習している。
ウチの学校のテニス部は都内でも有数の実力校らしいから当然といえば当然かな。
そこで、まずは私が観月の生活に合わせてやろう、という作戦より、
朝練の応援に行ってやろうという魂胆でございますわ。
私はいつもの2倍のスピードで朝食と着替えを済ませた。
そして朝のテニスコートへと向かった。
そこにはテニス部のメンバーが練習をしている姿があった。
裕太と赤澤が打っていて、観月はその二人を見て何やらノートに鉛筆を走らせている。
よく見ると小指が立っていてああさすがだな、と思った。
と、そんなことはどうでも良いんですよ。(観月風)
私は観月のいるベンチの方へちお歩いて行った。
観月との距離があと数十メートルの時、観月は私に気付いたようだった。
しかし、彼は私と目が合うとすぐに逸らしてしまった。
ムカツク・・・・!!!
「おはよう観月。」
ベンチに座って相変わらず鉛筆を動かす観月に、私はにこやかに話し掛けてみた。
「・・・・・・・・」
観月からの返事は無い。
一言に言えば『無視』されている、ということだ。
と、そこへ、私の存在に気付いた他の部員たちがやってきた。
「くすくすおはようさん。(今日もとっても可愛いよ)」
「あれ、だーね!こんな時間にどうしたんだーね!」
「先輩、おはようございます。」
「一体どうしたんだ、?」
打ち合いをしていた裕太と赤澤までもが寄ってきた。
私は彼らに対してもニッコリと笑顔で返した。
しかし、私が口を開くより早くこの男は。
「良いから、こんな人は放っておいて、貴方たちは練習を続けなさい。」
こ、こんな人・・・・?
ざけんなよ観月!調子乗るのもいい加減にしやがれ!!!!
おっと・・・暴言を失礼・・・
ムカツク・・・けどもう一度振り向かせてやりたく思えてくる。
意地悪されればされるほど、そう思えてくる・・・・。
意地悪なところが好き!!・・・・・かもしれない・・・・・・。
「みんな、朝早くからご苦労様。練習頑張ってね。」
観月の言葉は聞き流して、私は満面の笑顔でそう言った。
部員達は『はい!』と声を揃えて返事をしていた。
その様子を見ていた観月はというと、『はぁ〜』と一つ大きくため息をついていた。
これは駄目だ・・・このままじゃ進展しそうにない。
仕方ない。この手だけは使いたくなかった。 って・・・別に『手』ってほどのものじゃないかもしれないけど。
後々面倒なことになりそうだからだ。
だけど今は観月優先。こうでもしないと少しでも観月と一緒にいられるようにしなきゃ!
あたしは何時の間にか、本当に観月に惚れてしまっていたらしい。
不覚だと思う、一生の。
だけど、惚れちゃったモノは仕方ないじゃない・・・・
とにかく観月に接近してやる。
明日から・・・・私は男子テニス部マネージャーになるんだからね・・・
その日、私は先生のところに入部届を受け取りに行った。
名前や必要事項を書いて、準備は万端。
絶対、観月をその気にさせてやるんだから・・・・!!
第4話(最終話)へ続く
話が進んでませんな・・・
次回で一応完結です。
さて、突然冷たくなった観月の本音とは?
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