恋のハードル 第1話
観月にまんまとハメられて、
付き合い始めて1ヶ月が経ちました。
私、は毎日割と楽しいと思われる生活を送っています。
「さん、もっとラケットを振り切った方が強い玉が打てますよ。」
「は、はい・・・・。」
観月はじめと付き合い始めてすぐに、
マネージャーだったは観月と同じテニススクールに通うことになりました。
観月が無理矢理にを引っ張り込んだという感じです。
でも私は嫌じゃありません。
少しでも長い時間、はじめと一緒にいられるのなら、すごく幸せだから。
そりゃ昔はうっとおしかったけど、今は私もはじめのこと・・・・
そんな平和な毎日が続いている、ある日のことでした。
「えええええぇぇぇぇぇぇぇ!??」
寮中に響き渡るほどの大きな声で驚き叫ぶ声。
声の主は観月はじめ。ただ今部屋にて電話中である。
『は、はじめ・・・?どうしたのその驚きようは・・・?』
「あ、あの・・・お母様・・・、今何とおっしゃいましたか・・・・?」
電話の相手は地方に住む観月の母親。
『聞こえなかったの?来週麗華ちゃんがそっちへ行くって。』
「ちょちょちょちょっと待ってください!!
麗華というのはあの麗華さんのことですよね!!?」
『あらはじめったらそんなに嬉しい?
麗華ちゃんもはじめに会うのすっごく楽しみって言ってたわよ。』
「い、いえそうではなくて・・・・今来られたりしたらが・・・・。」
『?お友達の名前?』
「あ、いえ・・・・・」
『変なはじめねぇ・・・とにかく、そういうことだから、覚えておいてね。』
「え、あの・・・ちょっとお母様・・・・!!?」
ツーツー
切れた。
-------------麗華さんが・・・来る・・・・・・・
「はじめーおはよっ☆」
「へ?あ、あぁ、ですか。おはようございます・・・・。」
「はじめ、なんか暗くない?」
「そ、そうですか?そんなことないと思いますが・・・・」
今ではすっかりバカップルとも言えるこの二人。
「そう?でもなんか変だよ?熱でもある?」
「ありませんよそんな・・・・・。」
「無理しちゃ駄目だよ!じゃあ今日も授業後スクールでね!」
そう微笑みかけるとは教室へと走っていった。
観月は今日も可愛いなと思いながら走っていくに手を振っていた。
観月の頭の中ではずっと思考回路が回っていた。
あの’麗華’という名の少女のことだった。
(麗華さんが来る・・・・・どうすれば・・・・
もしと麗華さんが会うようなことがあったりしたら・・・・
考えたくもありませんね・・・
はぁ・・・一体どうすれば良いのでしょうか・・・・。
そうですよ!麗華さんとが会わないようにすれば良いんです!
あぁ、でもそんなことが果たして出来るのでしょうか・・・・
あの麗華さんから隠れてとコッソリ会うなんてこと・・・
出来そうにないんですが・・・・)
「観月、27ページの3行目から詠んでみろ。」
「へ?は、はい・・・。『だから僕はその時・・・・・』」
色々と考えている割には当てられてもちゃんと読めるところがすごい。
---------そうですよ、と麗華さんが会わないようにするしかありません・・・・・!
だが、現実はそう甘くはありませんでした。
そして日にちはあっという間に過ぎて、次の週の月曜日。
「ー!今日暇?」
「ごめんー、エミー!私今日もスクール行くの!」
「あっそっか!観月くんと一緒にね!アンタも結構続いてるわねー」
「失礼な!でもテニスってやると楽しいよ、結構。気分転換にもあるし。」
「んーーー私パス!運動系好きじゃないもん。」
「そっか。ほんとゴメンねーエミー」
「良いよ、気にしなくって。また明日ね!」
「うん。ばいばい。」
そう言ってはエミと別れると、観月の教室へ行こうとした。
「あ・・・・ラケット忘れちゃった・・・・・・」
廊下へ出た瞬間、とても重大なことに気付いた。
ラケットを寮に忘れてきてしまったようだ。
ラケットがなかったら当然ながらテニスは出来ない。
(はじめのクラスはまだ授業終わってないみたいね・・・・
今のうちに寮へ行って取ってこよっと!)
そう思うとは寮の方へ向かった。
だがそこで、思いがけない出会いがある。
そこにはキョロキョロと不安げに辺りを見回す少女がいた。
フリルのスカートをはいて、肩からプラダのバッグを下げている。
相当の金持ちと見た。
(でもフリルとプラダってあんまり合わなそうだな〜・・・・)
はその少女を不思議そうに観察しながら色々と考えていた。
「あぁっ!もうっ!なんで東京の学校ってこんなに広いんですのっ!!」
(いやいくら広くても普通は学校の中で迷ったりしないだろ・・・)
はそう思ったが、
さすがに迷ってる人を見捨てるわけには行かなかったので声をかける。
「あの、どうかしたんですか?」
が声をかけると少女はチラリとを横目で見た。
涙を浮かべた潤んだ目で。
「あなた、この学校の子ですの?」
気取った、ブリッ子の声。
(うわ〜こういう子って嫌い〜〜)
は心の中ではそう思いながらも態度には示さないように、
「そうよ。あなたは?私服だし、ここの生徒じゃないわよね?」
「そうなんですよぉ〜ちょっと知り合いの子を探してたのよぉ。
東京の学校って広くて迷ってしまいましたわぁv」
スゴク軽いしゃべり方。チャラチャラしたしゃべり方。
でも悪い人ではなさそうだった。
「あのぉ〜観月はじめって人の部屋ってどこか知りませんかぁ〜?」
ぴくん
が’観月はじめ’という言葉に反応する。
さっきからすごくブリッ子したしゃべり方でムカツク子だけど、
可愛いことは認めざるを得ない。
しかも雰囲気とか持ち物からしてかなりお嬢様という感じだ。
「観月さんに何か御用でも?」
はキツイ言葉で聞き返す。
「そんなこと、あなたに何か関係があるんですかぁ〜?」
プッツン
(抑えろー抑えろー、ー・・・・)
「一応さー、教えてるのあたしなんだから、
そのくらい聞いても良いと思うんだけどーーー」
はイライラを抑えながら答えた。
「えへぇ〜恥ずかしいなぁ〜Vv」
(この女ぁ・・・・・)
青筋がピクピクしている。
だがそんな様子に気付きもしないで少女は相変わらずちゃらけた感じで答えた。
「わたしぃー、はじめちゃんの許婚なのぉ〜Vv
久しぶりにはじめちゃんに会いに来たのよぉ〜〜」
(あー・・もう・・・この女と話してるだけでムカツク・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
へ・・・・・?)
「許婚・・・・・?」
「きゃあっv麗華恥ずかしいぃっVv
言っちゃったわぁっvぜんぜん知らない女の人にぃっv」
「いや私が聞いてんのはそんなことじゃなくて・・・」
「許婚ってあなた知らないのぉ?結婚を約束した男の子と女の子のことよぉv」
「んなこと知ってるわよ!!そうじゃなくって!!」
怒りモードがもう少しで全開になりそうな雰囲気です。
「はじめちゃんと私はねぇーずぅっと小さい頃から結婚する約束してたんだよぉVv」
「はぁ!!?あんた何言ってんの?」
「何ってぇ・・・?そのまんまなんだけどなぁ〜Vv」
(ちょっと待て!聞いてねーぞ、はじめ!!
どういうことよ!!?許婚!?コレは夢よね!そうよね!!?)
「っ!麗華さん・・・!!」
突然背中に聞こえてきた声は観月はじめのもの・・・・。
「はじめ・・・・この子の知り合い?」
はすかさず聞いた。
「遅かったですね・・・まさか二人がすでに会ってしまうなんて・・・・」
観月の言葉が途切れたのはあの麗華の所為だ。
「はじめちゃんっVv」
そう言いながらは観月に抱きつく。
「麗華さん!!」
顔を赤くして麗華を引き離そうとする観月。
何がなんだか分からなくって、
怒った方が良いのかどうかさえ分からなくただ呆然と立ち尽くす。
観月に抱きついたままスリスリとほお擦りをしている麗華。
「はじめちゃん!会いたかったんだよぉVvv」
そう言いながら麗華はギュッと観月のブラウスを握る。
「麗華さん・・・・・・!!」
観月が自分から離そうとしてもビクともしない。
「はじめ・・・・・・・。」
はおもいっきり真っ黒なオーラで話す。
「説明してもらおうかしら・・・・?一体この子とはどういう関係なのか・・・・・・」
黒い炎がメラメラと燃えているようだ。
第2話
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