恋のハードル 第2話
「はじめ・・・?」
は黒い笑顔でにっこりと笑う。
「どういうことか・・・説明してくれるわよね?」
コイツは不二の親戚かと思うような黒い笑み。不気味である。
「はじめちゃぁん〜?この人知り合いなのぉ〜?」
麗華はそう言いながら観月に抱きついたまま観月を見上げる。
プッツン
の血管が何本か切れたようです。
黒い炎がごぉごぉと燃えている。
「っ!!誤解ですよ!話せば分かります!!」
観月は慌てて否定しようとするがの黒い炎は燃え続ける。
「ふぅーん。人を散々追っかけ回して罠にハメてまで付き合っておきながら、
付き合い始めて1ヶ月経って今更許婚がいましたなんて
どの面下げて言うつもり?」
顔は笑ってる。でも目は笑っていない。
「っ!こ、これには訳があるんですよっ!!」
「はじめちゃん〜?」
「へぇー?どんな訳?」
(怖いですよ・・・・・とりあえずその黒い炎を消してください・・・・
ー・・・・・・・・・)
の黒い笑顔&炎に負ける観月。
それにかまわず麗華は相変わらず観月にベッタリだ。
「随分可愛い許婚がいるのね!良かったじゃないv」
そう言ってニッコリと毒を含んだ笑顔で笑う。
「さようなら!」
そう言うとはつかつかと女子寮へと歩いて行った。
「ちょっ・・っ・・・・・・!!」
引きとめようとしたのだが・・・・・
「キャーVvねぇねぇはじめちゃんっ!!学校の中案内してよぉーーv」
そう言いながらぎゅーっと観月の服を引っ張る麗華のせいで観月は動けなかった。
「はじめちゃんーv麗華図書室とか行ってみたいよぉVv」
「麗華さん・・・なんで突然来たりしたんですか・・・・?」
「えぇっvはじめちゃんに会いたかったからに決まってるでしょぉv」
「だからってねぇ、麗華さん!学校にまで来なくても良いでしょう!」
「なんでそんなに怒ってるの?」
麗華の顔がさっきまでのチャラチャラした顔から真剣な顔になる。
こんな顔出来るんだ、と観月は驚いていた。
「学校まで来たりしたら、麗華さんは目立つでしょう。私服も派手ですし。」
「さっきの人、はじめちゃんの恋人?」
真剣な顔で聞く。麗華のこんな顔を見るのは観月も初めてだ。
「・・・・・・・・・・・・。」
とりあえず何も言わないでおいた。
「そう・・・恋人なの・・・・・・」
麗華はポソリと呟いた。
しばらくの沈黙の後、麗華がまたちゃらけた顔になって話し出す。
「ねぇねぇはじめちゃんってばぁv図書室見せてよぉっVv」
「・・・・・・・・・・(・・・・・・)・・・・・・・・・・・・・」
その頃は。
「エミ!!」
親友・神楽エミの部屋の扉を開けて大きな声で叫んだ。
「ど、どうしたのっ!!?!?スクールは?」
エミが驚いてに聞く。
は怒りながらエミに話す。
「あぁ。もうあたしあんなとこ行かないから。」
「どーしちゃったのよ!!?」
エミが心配そうに、驚きながら聞いてくる。
はにっこりと、今度はさっきほどは黒くない笑顔で笑いながら言った。
「駅前のクレープ屋、美味しいって評判だヨ!一緒に行こう!!」
そう言ってエミの手を引く。
「へ!?ちょっ・・・っ!!?」
「エミ、クレープ嫌いじゃないでしょ?」
はエミの手を引きながら聞いた。
「いや、そうじゃなくってさぁ!観月くんと何かあったの?」
「観月?そんな人いたかしら?」
真っ黒なオーラが出てきて、にっこりと笑顔で微笑みながらはエミを見つめる。
「(・・・怖いぞ・・・・何があった・・・?)・・・・・?」
「クレープ、食べに行くわよね?」
黒い笑顔で微笑みかけられる。エミ敗北。
「は、はい。行きます。」
「んふっvじゃ、行こうかv」
何気に観月に似た喋り方な。
と、いうわけではその日から、スクールへは勿論のこと、
テニス部のマネージャーもやらなくなった。
「最近さん来ないみたいだけど、何かあったの?観月?」
「何でもありません。それより練習に集中しなさい、木更津。」
あれ以来麗華は毎日観月のもとへ通い続けている。
だが、観月が他の部員に知られないようにとこっそりと会っているため、
幸い以外の部員にはバレていない。
そこまでして麗華の存在を隠そうとする理由はというと、
(もし僕に許婚がいるなんて知ったら部員のやつ等がに手出すでしょうからね。
木更津なんかきっとそれを良いことに
『観月に捨てられたの?可哀想に』とか言って
を誘惑するでしょうからね。)
と、いうわけだった。
だがあの日以来は観月とは一切口を聞いてくれない。
始めの頃の、観月がを追っかけ回していた時よりも酷い。
あの時はは観月から逃げようとしていた。
だが、今は完全に観月がいないかのように接するのだ。
全くの無視。完全に。一言も話してくれないのだ。
観月にとってこれ以上悲しいことは無かった。
そしてとうとう観月はじめはある決心を決めました。
その日の夜8時。
寮の門限はとっくに過ぎて、ほとんどの生徒は自分の部屋に入っている。
観月は用意しておいたロープで窓からコッソリと抜け出した。
そして女子寮へと向かう。
女子寮のの部屋の下まで来ると、
またロープを使って壁を登り、の部屋の窓まで辿り着く。
そしてそこから窓をノックする。
トントン
机に向かっていたは突然の物音に驚いて
慌てて窓の方へ駆け寄る。
ガラガラッ
窓を開ける。そしてそこにいた観月の存在を見つける。
「は、はじめっ!!?」
さすがに観月のこの行動には驚いたらしい。
今まで無視してきたが声をあげた。
「さんの声、久しぶりに聞いた気がしますよ。」
そう言ってひょいとの部屋へあがりこむ。
「ちょっと!こんな時間に男が女の部屋に来て良いと思ってるの!?」
は怒って言った。
「仕方ないでしょう。、学校じゃ相手にしてくれないですから。」
肩についた汚れをパンパンはらいながら観月が言った。
「はじめがいけないんでしょ!!」
「僕が僕の口から一言でも『麗華さんは僕の許婚だ』って言いましたか!?」
「だって!あの子が言ってたじゃない!!」
「とりあえず話だけでも聞いてくれませんか?信じるかどうかはあなたの自由です。」
「・・・・・・とりあえず言ってみれば?」
の言葉に観月はにっこりと笑うと話し始める。
「麗華さんとの許婚話はたしかに本当のことです。
でもこれは僕たちが小さい頃に親が勝手に決めたもので
僕たちの意思ではないのです。」
「でもあの麗華って子はずいぶんその気みたいだったけど?」
「麗華さんは麗華さん。僕は僕です。」
「・・・・・・・・・・・。」
「僕が愛してるのはだけですよ・・・・?」
そう言いながら顔を近づける。
「ちょっ・・・やめてよ・・・・・・」
は真っ赤になって言った。
「でもさ・・・可愛かったじゃん・・・・・・
お金持ちっぽそうだったし・・・・
もしかして私なんかより麗華ちゃんの方が観月とつりあうんじゃないかなって・・・・」
「何言ってるんですか!」
「だって・・・私、あの子に勝てる自信ないもの・・・(性格以外は)
顔も、行動とかもあの子の方がずっと女の子らしいみたいだし・・・・・」
「!たしかには麗華さんと比べれば上品でもないし気品もないし・・・・」
「(プッツン)」
「女の子らしいところも少ないしガサツな面も多いですよ。」
「(ブチブチッ)」
「でもねー、にはなりの・・・・・」
バッシーーン
気付いた時には観月はの顔面ビンタをくらっていました。
「上品でもないし気品もなく女の子らしくもなくて
ガサツな面も多くて悪かったわね・・・・」
お得意黒笑顔。
「ちょっ・・・!!最後まで聞きなさい!」
「おまけに麗華ちゃんより可愛くなくて素直じゃなくて?あーそうですかー」
「そんなこと言ってないでしょう!」
「もう来なくて良いよーはじめちゃんv」
そう言って笑うとは扉を開けて、観月を廊下へ押し出した。
「!話を聞きなさい!」
「じゃあねーは・じ・め・ちゃんv」
そう言うと笑顔で扉をガチャリと閉めカギをかけた。
「っ!!開けなさい!!」
そう言いながら観月は扉を叩く。
「観月くん!!?何をしているんですか!!?」
「え・・・?」
そう声をかけてきたのはなんともタイミング悪くも先生!
「もう門限は過ぎたんですよ!?女子寮に入るなんて何事ですか!!」
「あの・・・先生・・・」
そのまま観月は職員室へ連れて行かれました。
最高の災難に遭った日でしたとさ。
第3話
前作の「罠」では観月にまんまとしてやられたヒロインだったので、
今回はちょいと観月を困らせようと思って書いてます。
この後もちょいとみじめな観月ちゃんになりそうな予感・・・・
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