恋のハードル 第3話
「はぁ・・・・・」
テニスコートでため息をつくのは悩める少年観月はじめ。
3日前、恋人のの誤解を解こうと部屋に侵入したが失敗し、
関係は余計悪化。
(はあれから一言も話してくれないんですから・・・)
だがそんな様子を不思議そうに見ながらもニヤリと笑う少年の姿もあり。
その名も木更津淳
「観月・・・絶対何かあったね・・・・・・さんのことかな・・・?」
観月の姿を見ながら呟く。
「知らないだーね。でも観月に聞いても教えてくれないだーね・・・」
「くすくす・・・・」
不適な笑み。何かを企んでいるようです。
「観月、さんと何かあったの?」
「何度同じことを言わせる気ですか、木更津。何でもありません。」
「くすっ・・・何度もって言ってもまだ2回目だよ。」
「それより、さっさと練習を続けなさい。」
「ふーん・・・・・」
木更津は口元でくすっと笑う。
だが観月は意識が無いかのようにボーっとしているので気付かない。
「くすっ・・・・・・」
何かを思い立ったように笑うと木更津は柳沢の方へ近づくと、
柳沢にむかって話し掛ける。
「柳沢部活終わった後、どうせ暇でしょ?」
「どうせって何だーね!」
「くすくす・・今日部活が終わったら観月を尾行するよ。」
「び、尾行!?淳、血迷っただーね!!?そんなことしたら後が怖い・・・」
「来るでしょ?」
「な、なんで俺まで行くだーね・・?」
「アヒルでもいないよりはマシだからね。」
黒い木更津、そして観月を尾行しようとは何とも怖いもの知らず!!
そして部活後。
「では今日はこのくらいで終わりにします。全員寮へ戻りなさい。」
いつものように部長ではなく観月が取り仕切る。
観月はそう言うと自分の部屋へと向かって行った。
「くすっ・・・尾行開始だよ、柳沢・・・・・」
「・・・・・だーね・・・」
柳沢は渋々木更津に付き合うことになった。
観月は部屋へと一歩一歩近づいていく。
そして二人もその後ろから付いていく。
観月が部屋の扉を開ける。
そして周りに誰もいないかを確かめるようにキョロキョロと辺りを見回す
木更津と柳沢は息を殺して柱の陰に隠れてた。
誰もいないと思った観月は部屋の中で入って扉を閉める。
二人は扉のそばで聞き耳を立てる。
すると中からは甲高い女の子の声が聞こえてきた。
「はじめちゃんっvお帰りっ!」
そう言って観月に抱きついているようだ。
その声に二人は目を見開いてさらに耳をすます。
「麗華さん・・・もう少し静かにしてください・・・・・・。」
観月はため息混じりに言った。
「はじめちゃぁんーv疲れたでしょぉv一緒にシャワー浴びようかぁVvvv」
その言葉に木更津・柳沢の二人は噴出しそうになる。
「麗華さん、いい加減にしなさい・・・・・・。」
観月はまるでいつものことであるかのように言った。
木更津と柳沢はついに我慢出来なくなって、そっと、少しだけ扉を開ける。
そしてその隙間から中を覗く。
そこにはベッドに座った観月、
そしてその隣に座って抱きついている少女の姿があった。
「あの子が麗華さんって人かな・・・・」
木更津は小声で呟いた。
「はじめちゃん照れ屋さんだねぇv可愛いVv」
「麗華さんっ!!」
「観月・・・とはどうなっただーね!!」
「くすっ・・・良い物見ちゃった・・・きっと観月とさん、喧嘩したんだね・・・・」
隙間から覗き見しながら二人はヒソヒソ話で話す。
「くすくす・・・・・・」
「淳・・・・?」
「チャンスは今しかないね・・・・。」
そう言うと木更津は口元でニヤリと笑う。
だが、その時だった。
「木更津、柳沢、何をしているんだ!?」
そう言ってきたのは通りかかったバカ澤、もとい、赤澤。
「あ、赤澤だーね!!?」
アヒルが驚いて叫ぶ。そんな赤澤&アヒルの大きな声に、
観月たちもさすがに気付かないわけはない。
「木更津に・・・柳沢・・・・?」
観月はベッドから立つと扉の方へ近づいてきた。
「バカ澤はやっぱりバカだね。折角の良いところを邪魔しないでよ。」
観月なんかにおかまいなしに言う木更津。
彼にとってみればすごい収穫があったのでもうどうなろうと知ったこっちゃないのだ。
「何してるんですか、あなたたちは!人の部屋の前で盗み聞きですか!!?」
そう言って3人に向かって怒鳴る。
「ちょ、ちょっと待て!俺は違うぞ!!って・・・・!?誰だ、その子は・・・・?」
赤澤はベッドにちょこんと座っている麗華を指差して言った。
「くすくす・・・観月の彼女だよ。」
「な、何言ってるんですか!木更津!」
「何だと、観月!!?お前、というものがありながら!!」
「バカ澤!!」
そんなやり取りと一人平然として見ていた麗華はにっこり笑うと元気に自己紹介。
「こんにちはぁ!私ぃー、はじめちゃんの許婚の麗華って言いまーす!」
「「「許婚ぇ〜!?」」」
目が点になる3人。
「ちょっ・・・これには訳があるんですよ!!」
慌てて言う観月だが、時すでに遅し。
「ふーん・・・なるほどねぇ・・・じゃあさんを捨てたんだ・・・・・。」
顔中に笑みを浮かべた木更津が言った。
「な、何考えているんですか、木更津!?」
「くすくす・・・僕、明日さんの教室へ行ってみよっと!じゃあまた明日ね、観月!」
そう言うと木更津は自分の部屋へと歩き出す。
「ちょっ・・・木更津!!」
そう言って木更津をとめようとするが・・・・
「はじめちゃん!行っちゃ駄目えぇぇっVvv」
そう言いながら麗華が自分に抱きつくので動けない。
だが、不運はそれだけでは終わらなかった。
「ずいぶん楽しそうねぇ〜は・じ・めちゃん!!」
真っ黒なオーラと共に現れたのは!
「さん!」
歩いていた木更津はたちまち引き返して、の元へ歩み寄る。
「!どうしてここにいるんですか!!?」
「今日ね・・・テニスコートの近くのベンチにこのハンカチ落ちてて・・・・」
はまるで小心者の女の子が話すかのような話し方で、
照れくさそうにハンカチを差し出す仕草をした。
言うまでもなく演技である。
「それで届けてあげようと思って、
ついでにこの前はちょっと酷かったかなって思ったから
謝ろうと思ってきたんだけど・・・」
段々と表情が黒い笑顔へと変わって口調が黒くなっていく。
「そうしたら観月くんが可愛らしい許婚とイチャついてたってわけ!
じゃ、このハンカチはたしかに返しましたから。それではさようなら。」
はにっこり笑うと女子寮の方へと歩いて行こうとした。
「っ!いい加減に・・・・」
とそんな観月の言葉を遮るように木更津が話し掛ける。
「さん、明日、暇?一緒にどこか行かない?」
観月への当てつけのように、というよりは当てつけで、の手をとり誘惑する。
「木更津っ!」
と言って止めようとする観月の努力も、抱きつく麗華によって無と化す。
はチラと観月を見るとすぐに木更津の方へ視線を戻してにっこりと笑う
「良いわよ。どこへ行くの?」
「さんとならどこでも良いよ。」
木更津もまけずの黒スマイル。
「本当?じゃあとにかく明日の授業後校門前でね。」
そう言うとは自分の部屋へと向かった。
「木更津!授業後なんて言って、練習はどうする気ですか!?」
眉を吊り上げて観月は木更津に向かって言う。
「休むから。だってさんだってずっと休んでるでしょ。」
「馬鹿なこと言わないでください!許しませんよ!」
「別に観月が許してくれなくても良いよ。じゃあね。」
そう言うと木更津も自分の寮へと戻って行った。
柳沢と部長は、その火花の散る空間をただただ恐る恐る眺めている。
「木更津・・・覚えていなさい・・・・・」
観月はそう呟くと部屋に入って扉を閉めようとした。
「良いですか!あなたたちも、このことを誰かに言ったりしたら許しませんよ!」
扉の隙間からそういい残すと観月は扉をガシャリと閉めた。
「しかしだな、観月・・・
こんな時間に男と女が一緒に部屋に入って行っておいて・・・・」
「誰かに言うつもりはないけど怪しまれるのは当然だーね・・・」
二人は観月の入っていった部屋の扉を見ながらそう呟いた。
「観月の・・・・・バカ・・・・・・・」
涙が頬を伝う。その日も眠れなかった・・・・・・・・・
「観月の方から好きだって言ったくせに・・・・・・・・
(いや先に言ったのは私だと言えば私だけど)」
第4話
っていうか木更津が出張ってます(汗)
なんかもう観月さんドリー夢じゃない気が・・・(滝汗)
でも終わりはちゃんと観月さんとラブラブになるようになってるんで!(当たり前)
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