恋のハードル 第10話
『エミ聞いてよー!
今日木更津くんと遊園地行って来たよー!
もうお化け屋敷で最悪ー!』
遊園地の日、寮へ戻ったは友達のエミにメールを打っていた。
『木更津と行って来たの?
観月はどうしたのよ観月は!
で、何があったの、お化け屋敷で?』
エミからの返事だ。
「観月ねぇ・・・・」
その名前がやけに目についた。
『観月?あー、いたいた。
可愛い許婚と一緒だったわよ。
なんかお化け屋敷で観月に脅かされるし
その可愛い許婚に挑発されるし。』
返事を待つ。
『あんた何しに行って来たのよ・・・
っていうかその可愛い許婚って
前言ってた麗華って子よね?
あっ、そういえば今日、お月様が綺麗だよーv』
「お月様・・・か・・・・」
エミからのメールにせっかく書いてあったし、とは窓の外を見てみた。
「うわぁ・・・」
本当に今日は月が綺麗だった。
「綺麗な満月・・・・」
大きな、まん丸なお月様だった。
「お月見か・・・・お月見ねぇ・・・・・『月を観る』・・・か・・・・・」
そう一人で呟いていた。
月を観ると思った瞬間、フッと観月の顔が思い浮かんだのだ。
「観月か・・・・会いたいな・・・・・・」
何気なく口から出る一言。
「あっ・・・私何考えてんだろ!」
そう思ってベッドに倒れこんだ。
「私はもうはじめの彼女がないんだから!木更津くんだって優しいし・・・・!」
そう自分に言い聞かせた。
だが、そう思うと余計に会いたくなってくる。
「やっぱり・・・はじめに会いたい・・・・・・」
そう思ってしまったはいても立ってもいられなくなった。
よし!とベッドから起き上がって部屋を出た。
時刻はもう9時。消灯時間は過ぎた。
人に見つからないように、コソコソと隠れながら観月の部屋へと行った。
その頃観月の部屋では
「麗華さん、少し出て行ってもらえますか?」
「え?なんでぇ?」
「今日は来て欲しい方がいるんです。」
「あの女?」
麗華の言うあの女とはのことだろう。
「そんな言い方しないでください。
麗華さんには関係ありません。そろそろ自分の部屋へ帰ってください。」
そう、麗華ももうこの学校の生徒なので一応自分の部屋があるのだ。
「えぇー!帰りたくないようー!!」
「良いから!今日は帰ってください!!」
観月がなぜここまで今日という日にこだわるのか。
それは後ほど分かることになるが。
「さっさと帰りなさい!」
観月の熱のこもった声に麗華は
しぶしぶ部屋を出て自分の部屋へと帰って行った。
その時と会わなかったことは幸いだろう。
そして麗華と入れ替わるようにが現れた。
トントン
「どうしたんですか!?」
扉を開けた観月が思わず大きな声を出した。
「別に・・・・ちょっと・・・・・」
中途半端な返事だったが、
人に見つかってはマズイので観月はとりあえずを部屋へと入れた。
「なんかさ・・・月、見てたら・・・はじめに会いたくなって・・・・」
「月、ですか?」
「観月って「月を観る」って書くんだよね・・・良い・・名前だよね・・・・」
少し照れながらも嬉しそうに話す。
こんな可愛らしいを見るのは観月にとって久しぶりだった。
嬉しさの余り観月の口元が微笑む。
だが、実は観月にはもう一つ、計画が上手く行ったという喜びもあった。
そう、それは今から数時間前、遊園地から帰ってきて、消灯時間直前のこと。
「神楽さん、ちょっとお願いがあるのですが。」
「お願い?」
「えぇ、さんとよくメールするのでしょう?」
「ん、まぁ時々するけど・・・・」
「メールで適当な間を置いて『観月』と『お月様』という言葉を
に印象つけてもらえませんか?」
「はぁ?」
「良いから、あなたは僕の言った通りにすれば良いんです。」
「何とも身勝手な・・・・で、お礼は?」
「裕太くんの寝顔、5枚一組3000円、どうですか?」
「良いわよー!裕太可愛いもんねーv」
こんな裏取引があったのだ。
観月には全て計算づくだったのである。さすが策士。
「でもさん、こんな時間に女性が男の部屋の来るなんて・・・」
「あ、ごめん・・・でも・・・・はじめに・・・・・会いたかったし・・・・」
そう言っては観月にギリギリまで近づいた。
「なんか久しぶりの気がする。」
シナリオ外にが積極的なので観月は一瞬戸惑った。
だが、こんなチャンス次にいつくるか分からないと思い、に抱きつこうとした。
が、その時。
「はじめっちゃーん!忘れ物しちゃったよぉ!」
そう言って勢いよく扉を開けたのは麗華。
まるで見張ってたんじゃないかと思うほどのタイミング。
せっかくの良いムードだった二人はまたしても失敗。
「ごめんーはじめっちゃんーv」
そう言って麗華は観月に抱きついた。
これではの黒スマイルくらっても無理ないですね・・・・
「観月くん、お邪魔しました。」
「あ、っ!」
ガシャン
「はぁ・・・もう少しだったのに・・・・でも・・・・・」
でも?
「はじめちゃん?どうしたのぉ?」
「麗華さん、忘れ物取ったらさっさと出て行ってください。んふふふ・・・・・」
観月、何を考えている!?
「えぇー!」
嫌がりながらも麗華は忘れた物を取るとそのまま部屋を出た。
「んふふふ・・・・」
観月、何かを思いついたのでしょうか。
「これではっきりしましたね・・・・『僕はそれほどさんに嫌われていない』・・・
んふっ、反撃開始です・・・・」
観月のまたしてもを追いかける日々が、木更津への反撃が始まる。
第11話へ
ヲヲオオォォォォ!策士観月復活!!
もう今日のは書いてて結構楽しかったです!
いつも書いてて楽しいのですが今日のは特に!
一番楽しかったのは2話でしたけど。(笑)
観月のお月様ネタ、大分前に考えてたのでいつか使おうと思ってたのですが、
まさかこのシリーズで使うことになるとは。(笑)
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