そろそろ街がイルミネーションで華やいでくるこの季節。
そんな景色とは反比例して、あたしは寂しくなる。
【Happy X'mas☆ 前】
12月24日。
あたしはこの日が大嫌い。
今まで14回、クリスマスを経験したけど。一度も良い事なんてなかったもん。
今年は素敵な彼氏も出来て、ちょっと期待出来るかも…なーんて思ってたけど、やっぱ駄目そう。
ううん、絶対に。
『ねぇねぇ、周助ぇ。』
ここは周助の部屋。後ろから抱き付いて甘えてみたりする。
「何?。」
『今月の24日…やっぱ駄目?』
すると、周助は困った様に笑って、
「うん…どうしてもはずせない用事があるんだ。…御免ね?」
って言ってあたしのおでこにちゅ、ってキスしてくれた。
ずるいよ、周助。
何でそんなに優しいの?
あたしがどんなに無理言ったって絶対に怒らないよね。
だから、たまにはあたしも我慢しなきゃいけないなって思う。
遂に来てしまった、12月24日。
やっぱり今年も一人みたい。
『…はぁ』
カップルと擦れ違う度に、あたしは大きく溜め息をつく。
…今頃、周助、何してるのかなぁ。
そんな事を考えながらふらふらと家路についた。
家へ帰ると、食卓にはケーキと御馳走が用意されていた。
家族といても、どこか寂しくて…。
プレゼントを貰っても、ケーキを食べても、浮かない顔をしているあたしに、家族はどうしたのって聞いた。
でも、何も言いたくなくて、黙ってたら、弟が「彼氏にふられたんでしょ」って言いやがった!!!!
あたし、それにカチンときて、思わず言えを飛び出してきちゃった。
それから暫くふらふらしてたら、雪が降ってきた。
『今更帰れないしなぁ〜…』
行く宛もないので近くの公園に寄ることに。
ブランコに乗って空眺めてたら涙が溢れてきた。
冷たい夜の空気が頬に刺さる。
雪の降る音が聞こえそうなくらいに静かな空。
あー情けないなぁ、なんて考えてたら、近くで車のブレーキの音がした。
その次に、バンッてドアを閉める音。
「?」
『ほぇ?』
聞き覚えのあるその声。なんだかくすぐったくて、大好きな声。
あたしは空から目の前に立っている人物に目線を落とした。
『しゅ…周助!?』
その声の主の登場に驚いたあたしはブランコから放り出されてしまった。
「姉さんの車の中からが見えたから…急いで来たんだけど。
こんな所で何してるの?…‥こんなに冷たくなってるじゃない。」
周助は地面に座り込んでいるあたしを起こして、ぎゅっと抱きしめてくれた。
それからあたしを見て、ニッコリと微笑んで、
「今から僕の家来ない?」
って言った。
後編(裏)へ
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